陰極まって陽に転ず | 35歳年上の夫は師匠でエイリアン! 

35歳年上の夫は師匠でエイリアン! 

【夫】台湾人 × 【妻】日本人

国際結婚? いえ、惑際結婚ですから!

気がつけば2男1女。

あの男を見ていると、とても同じ人類だとは思えない。
漢方薬を水なしで飲めるなんて
一体どんな味覚をしてるんだ、あのおっさんは。

阪神淡路大震災の朝、

私は京都にいた。

 

建物の最上階だったことも

手伝ってだろう。

 

私がいた部屋は、

大きく揺れた。

 

 

 

当時19歳だった私にとって、

あれが人生で初めての

地震であると同時に、

 

それ以降に経験した中で、

一番大きな地震でもあった。

 

 

 

 

今年の元日までは。

 

 

 

 

我が家は、

能登半島にある。

 

金沢で暮らす長男は、

その日の昼過ぎに帰省していた。

 

 

 

 

 

例えるなら。

 

家ごとシーソーに乗せられて、

揺さぶられているかのような。

 

 

海に浮かべたゴムボートの上に

家ごとポーンと乗せられたまま、

大きな波に弄ばれているかのような。

 

そんな感覚を覚えた。

 

 

 

 

 

 

 

あの地震の後。

 

長男、次男がどれだけ

助けてくれたことか。

 

 

高台への避難。

 

ガラス片が散らばった

部屋の掃除。

 

水の確保や運搬。

 

通行可能な道路の

情報収集。

 

 

その他、諸々。

 

 

 

 

私は心強いという言葉を

これほど嚙み締めたことはない。

 

 

 

 

娘にも大いに

助けてもらった。

 

 

地震発生から今日まで、

数え切れない余震の中、

 

大きく怯えた様子も、

動揺している気配も見せず、

 

終始落ち着いた態度で

過ごしてくれている。

 

 

 

親としては、それだけで

十二分に助かる。

 

 

 

 

散らかった部屋を

片付けながら、

私は涙が出た。

 

 

ただただ、

有難かった。

 

 

 

きっと、

子供たちのことは。

 

私よりも父親の方が

誇らしく思っていることだろう。

 

 

 

 

 

 

「先生。あなたの子供たちは、

こんなに立派に成長しましたよ」

 

 

 

 

 

 

棚から落ちた師匠の

位牌と写真を立て直し、

晴れ晴れと報告した。

 

 

 

 

 

 

 

 

長男が生まれる

少し前。

 

台湾で大きな

地震が起こった。

 

921大地震だ。

 

 

 

 

 

 

次男が生まれる

少し前。

 

今暮らしている場所で

地震が起こった。

 

平成19年の

能登半島地震だ。

 

 

 

 

 

 

娘の出産予定日が近づくにつれ、

私は心底怖くなった。

 

 

 

 

 

 

 

また地震が来たら

どうしよう...

 

 

 

 

 

 

ただ単に。

 

大きな地震が起こると

いうだけではない。

 

 

何の因果か。

 

自分にとって身近な場所で

起こるという、おまけつきなのだ。

 

 

 

 

 

実は。

 

長男は台北で出産しようかと

いう話も出ていた。

 

今は亡き義兄が

日本での出産を勧めたので、

この話は流れたのだが。

 

 

そのお陰で

助かったはずだ。

 

 

被災した台北の映像の中に、

半ば崩れたビルが映っていたのだが。

 

何やら見覚えがあったその建物は、

師匠と私が結婚の挨拶のため

台北を訪れた際に泊まったホテルで、

 

師匠の台北の実家に

ほど近い場所にあった。

 

 

 

 

 

 

因みに。

大変有難いことに。

 

娘が生まれる前には、

地震は起こらなかった。

 

 

ああ。

 

ありがとう

ございました。

 

 

 

 

 

現在、私には

出産の予定はない。

 

もしあったら、

私が一番驚くわ。

 

 

 

 

 

でも。

 

もしかしたら、

今後。

 

何かが生まれるの

かもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

数十年前の東京。

 

風呂なしのアパートで

暮らしていた頃。

 

歩いて30秒くらいの

場所にある銭湯に通っていた。

 

 

 

 

 

 

「どこの出身?」

 

 

 

 

 

馴染みになって

しばらくした頃。

 

笑顔が素敵な番台の

おばちゃんに訊かれた。

 

 

 

 

 

 

 

「石川県です」

 

「ああ。うちも元は石川県の出身なのよ。

親戚もいるの。珠洲というところ」

 

 

 

 

 

 

 

父から聞いたことがある。

 

東京で銭湯をやっている人は、

石川県出身の人が多いのだと。

 

 

 

 

その昔。

 

まだ独身だった父が

東京の叔父宅で

居候していた頃。

 

将来、自分も銭湯を

やってみようかと考え、

色々と調べてみたらしいのだが。

 

あまりに大変そうなので、

断念したという。

 

 

 

 

 

 

「能登の人間は、辛抱強い人が多いから」

 

 

 

 

 

 

父はこう話していたのだが。

 

きっと。

父の言う通り。

 

 

 

 

 

 

 

地震の後、

数日過ぎた頃。

 

夕方のニュースで、

雨に降られる被災地が

映し出された際、

ふと脳裏に浮かんだ一節。

 

 

 

 

 

 

 

たとえ今日は果てしもなく

冷たい雨が降っていても

 

 

 

 

 

陸の孤島と

呼ばれる場所で。

 

裏日本と

名の付く場所で。

 

 

 

 

 

この瞬間を

生きている。

 

 

 

 

 

めぐるめぐるよ時代は巡る

別れと出逢いをくり返し

 

 

 

 

陰と陽も同じこと。

 

陰と陽は

ふたつでひとつ。

 

ぐるぐると回る。

 

決して引き離す

ことはできない。

 

だからこそ。

陰は必ず陽へと通じる。

 

 

 

 

 

 

 

負けてたまるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

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