財政収支黒字化目標へ転換か

From 岡田磨左英(中小企業診断士)

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3月19日の日銀の金融政策決定会合で、「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)やマイナス金利政策、上場投資信託(ETF)の買い入れなどの金融緩和策をやめる」と報道がありました。しかし、必要に応じて国債の買取りは引き続き行うとも言っていました。

マスコミはこぞって「金利引き上げ」というタイトルで煽り気味の報道です。金融緩和をやめて引き締めにかかるという刷り込みを国民にしたいのだろうかと思ってしまいます。

マイナス金利は、お金を預けていたらお金が減るということなので、資本主義の精神に反する政策ですから、やめてもよいと思います。

それに伴って、短期プライムレートが上がりさえしなければ、国民生活に大きな影響は出ないだろうと思ったのですが、そうでもないようです。

ある金融機関の職員に聞くと「やはり短期プライムレートは上がるでしょう」とのことだ。

そうなると、国民生活になじみの深い「住宅ローン金利」や「自動車ローン金利」が上がる可能性が高いのです。

そうすれば、また消費や投資が冷え込み、またデフレ不況が深刻になってしまうのです。

そもそも実質賃金が対前年同月比で22カ月連続マイナス、実質消費が同比で11カ月連続マイナスという状況で、今回の決定は良かったのだろうかと思います。

そこには深い理由があるのではなかろうかと勘繰ってしまうのです。6月の骨太の方針に「PB黒字化目標」より厳しい「財政収支黒字化目標」を財務省が入れ込もうとしているのではないかという推測です。

タイミングよく、日経新聞が「国債金利の膨張、このままでは国債の利払い費が2027年度には現在の1.6倍の15.3兆円に増えて大変だ」という記事を載せています。財務省はもちろん想定国債金利を高く設定しています。利払い費を多く見せるためです。

ゆえに、政策的経費と国債の利払い費を税収等で賄わねばならないという「財政収支黒字目標」に転換しようという腹黒い意図が見え隠れするのです。

国民は賢くならねばなりません。
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岡田磨左英(中小企業診断士)