108 『軍師二人』-司馬遼太郎 | おかのうえまで

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書評書いていきます。

『軍師二人』
司馬遼太郎



発刊 1985年
出版 講談社文庫


昔から歴史シュミレーションゲームが好きでした。
「三国志」とか「信長の野望」とか、
ゲームは数値だけれどやはり何処かで大事な転機がある。
勝ちや負けを決定付ける転機が面白いんです。

そんな今回は司馬遼太郎さんの『軍師二人』
司馬遼太郎作品はここでは2回目。
8巻続いた『坂の上の雲』ぶりですが、
うってかわって今回は短編集です。

時代は戦国時代、
関ヶ原の戦い周辺から大阪冬の陣あたりまでの話、
タイトルの通り軍師の話が中心かと思いきや、
きらびやかな采配といよりドロッとした謀り。
当時の価値観、男女の関係が違うのも中々見所。
というか、むしろそこが違いすぎてびっくりする。

戦や争いというのは実際は
武力の違いの前の人間関係で決まっている場合もあるのだろう。
女によって左右される男も、
男達の争いの影にいる女も、
時代背景の違いもあって生々しくて面白かった。

そして何より勝つ軍勢や負ける軍勢の詳細な雰囲気、
階級の高い人々や武士達の暮らし、
「雨おんな」の中に出てくる
「雨の日に知らない女と交わると吉」とか、
なにそのジンクス!ってなる。
でも、それがとても面白い。

表題作の「軍師二人」は真田幸村と後藤又兵衛だったり、
雑賀衆や渡辺了なんて中々マニアックな人物が中心で
司馬遼太郎さんの作品を気軽に読める戦国時代の小咄8編といった1冊。


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