110 『つむじ風食堂の夜』-吉田篤弘 | おかのうえまで

おかのうえまで

建築家の卵の読書ブログ。
読むスピードの遅さと仕事の関係で
更新が追い付かない時は雑談...
そんな感じで、ゆっくり
書評書いていきます。

『つむじ風食堂の夜』
吉田篤弘



発刊 2005年
出版 ちくま文庫


気付けば3月も半分過ぎて…早過ぎます。
時間に逆らってゆったり、ふんわりと生きたい。
そんなお話。

今回は吉田篤弘さんの『つむじ風食堂の夜』
映画化もされて、続編もあり、
吉田さんの代表作と言っても過言ではないはずです。
吉田篤弘さんとその奥さんを中心にしたユニット、
クラフトエヴィング商會でも有名ですね。

月舟町のつむじ風の吹く交差点の角っこにある、
なんか懐かしい食堂。つむじ風食堂。
お店のマスターとサエコさんと可愛いネコのオセロ。
果物屋さんや帽子屋さんや劇団員など、
常連でいつも賑わうその店に通う主人公。

主人公の雨を降らせる研究も不思議だけれど、
主人公の父の手だけを見せる手品師も不思議。
そんな不思議でまったりとした表現と言葉がたっぷりつまっています。

そのまったりゆっくりのペースで
核心的な事にするっと近付く言葉は不思議。
常連のうちの交流がほとんどだったりして、
事件なんて全然起きないし、
なんかよくわからないところもたくさんある。

建築家として階段の段、高過ぎるだろ!ってのは突っ込みたくなるし
飛んでいったお父さんの袖口はよくわからない。
でも、唐辛子の話や二重空間移動装置なんて良いなーって思う。

そんなに全部理解しようとせず、
ふんわり包み込んで雰囲気を楽しめる人の本なのかなー。
少し哲学的で、あまり読んだ事のない雰囲気の1冊でした。

では、次回!


小説(読書感想) ブログランキングへ