家造りの始め方7-17 -床材の選び方3- | 一級建築士の間取り相談室

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人生で二度とない家造りを、少しでも後悔のない夢のマイホームの実現へ、

次にビニル系の床材を見ていきたいと思います。

 

おそらく住宅で使用される床材で一番安価な材料は

「長尺シート」や「CF(クッションフロア)シート」になると思います。

「木」「石」「タイル」ほか様々な柄があり、

材料費が安価であるだけではなくシートロール状の素材なので

一気に施工ができるため、

1枚1枚貼っていくフローリングやタイルと比べて

施工手間も抑えることができます。

特に「CFシート」はクッション性もあり足には優しい材料ですが、

一方で重い物を置くと跡が付いてしまう等の問題もあります。

 

次に安価な素材が「塩ビタイル」です。

こちらはタイルのように1枚1枚貼っていくタイプなので

シート系の素材よりも少し施工費はかかりますが、

材料自体はフローリングやタイルよりも安価(半額程度)となります。

シート系よりも固めで、少し見た目もよくなります。

 

 

汚れのおとしづらい無垢フローリングなどと異なり

ビニル系の床材は水にも強く、

また基本的にはワックスかけが不要なため

メンテナンスも非常に便利となっています。

値段や施工性も踏まえて施設や店舗で

使用されることが多い商品ですが、

個人的には住宅でも使用方法を工夫すれば

十分に可能性の高い材料であると考えています。

実際に私の設計したマンションリフォームでも、

リビングやダイニングはフローリングを施工していますが

キッチンや洗面所の水廻り空間で塩ビタイルを採用している事例もあります。

 

 

 

本物のタイルを貼った方が質感が出るとは思いますが、

お子様が小さかったこともあり

物を落としたり転んだりした時のことを考えて提案してみました。

使い方によってはその値段の安さを感じないのではないように

演出できるのではないでしょうか。

サンゲツ、東リ、タジマ等、ほとんどの塩ビ系床材は

大手のメーカーから販売されているため、

簡単にサンプルを請求することも可能です。

色合いや肌触りを実際に体感して採用を検討しましょう。

 

 

一方でデメリットとしては、

上記のような塩ビ系の床材は「木」「石」「タイル」などを模して作られた製品で、

あくまで作り物であるため高級感を求めるのはなかなか難しい素材です。

また2~3mm程度の薄い材料であるため、

他の材料を貼った部分と段差ができないように下地処理等の工夫も必要になります。

 

高級感よりもメンテナンスやコスト面を重視する場所に施工するのがお薦めで、

トイレや洗面といった水廻りや、クロゼットなど部分的に検討してみてはいかがでしょうか。