新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

内閣総理大臣・岸田文雄というお方

2024-03-05 07:50:15 | コラム
凄いお方だと敬意を表したくなった:

今回は敢えて得手としていない政治問題を論じてみようと思う。何度かお断りしてきたことで、私が政治の問題を論じる場合の根拠は、全てマスコミ報道にあった事柄に基づいているのである。それ以外の情報源などない。

故に、そこに何か見当違いの論旨でもあれば、それはマスコミ報道が不正確だったか、折角の報道の内容を理解できていなかったか、マスコミが実態を承知していても如何にも知らないような報道をしているからなのである。

そもそも、正直なところを言えば、失礼なことで、私は自分たちが選んだ岸田文雄内閣総理大臣を余り尊敬もしていないし、多くを期待していなかった。官邸におられる(のか)飯島勲氏は「チャンとやるべき事を成し遂げておられるので、非難は不当である」と何度も書いておられた。私も例えば福島の処理水放出のような難問題を解決されたのは、一つの立派な業績だと思っている。賃金の大幅上昇だって出来ていた、大手だけだったようだが。

だが、岸田総理は自らが課した数件のやるべき案件を処理されたのは確かだと思うが、国民というか一般論的にやって頂きたかった事柄では達成されたのは少ないと思って見てきた。それが歯止めの利かない支持率の低下傾向に表れているのだと見ている。そこに、政倫審や予算委員会で野党に責め立てられている通称「裏金」即ち「政策活動費」等の不鮮明な使われ方の問題が現れて、一層旗色が悪くなってしまったようだ。

そこで、意欲的に政倫審の審議(質疑応答か)も相当な時間見ていたし、予算委員会の野党の質問攻勢も聞いていた。昨日などは参議院の一番手が辻元清美議員だと知って、ジムに出かける前の貴重な時間を割いて見学してみた。結論を言ってしまえば「あれは辻元清美の負け」であろう。岸田さんは何を言われても一向に動じることなく、表情も変えずに「訊かれたことには答えない戦法」で対応仕切っておられたのは凄いと感心した。

何が凄いのかと言えば、例えばdebateで痛いところを突かれた方が反論に出ていく時には、血相を変えて感情を露わにして反撃に出るか、強い語調で否定しにかかるか、論旨を組み立てて相手方の主張を論破しようとかかっていく場合が多いと経験上も言えるのだ。だが、岸田総理は違うのだ。絶対に後々言質を取られないと意図されるのか、殆ど同じ見当違いの答弁でも委細構わず繰り返して唱えて行かれ、問題の核心を外してしまうのだ。

辻元清美だけとは言わず、野党側の誰もがあの答え方では揚げ足を取ることも出来ていなかった。元々余り感情を表さず、失礼を顧みずに言えば能面のように表情を変えずに淡々と、訊かれたことに対して反応していない答え方を続けておられるのだ。あそこまで耐えておられるのが「岸田式野党に対する処し方なのか。偉いものだ」と感心せざるを得なかった。

特に「他派閥の内部の事情までは知らぬ」と言い切られた辺りは、社長が株主総会で「その件は自らのグループでの出来事ではないから責任は持てない」と言い切ることがあるだろうかという事だ。鋼(ハガネ)の如き加圧に対する固さというか強さだと感じていた。

実は、ここからが本論なのである。私も「自由民主党の内部における政策活動費、パーテイ券の売上金の処理法、責任を負うべき安倍派の幹部たちの『知らぬ存ぜぬ』と言い募る逃げ腰の態度」は重大な問題の範疇に入れても良いかも知れないとは思う。だが、朝日新聞が「裏金」と表現して以来、現在我が国が抱えている国の内外の大いなる諸問題への対処を置き去りにしてまで審議せねばならなくなったかの感がある。私は違うのではないかと思う。

私は岸田内閣総理大臣という方は「マスコミが恰も天下国家の一大事の如くに報道する案件に対しては速効で対応される傾向があるが、何度も使ってきた表現である『民の竈に煙が立ち上る為』のような策には中々打って出られないのが遺憾なのである。今回も「裏金」をマスコミが騒ぎ立てていても、平然と「規定に則って納税を」と、あの面倒くさい確定申告をしてくださいと言い放つ神経をお持ちなのだ。私は「強いお方だ」と尊敬したくなった。

私は「内閣総理大臣という職務では、国全体で何が何時何処で起こっていて、何時何処で如何なる事件が生じているのか、あの外国とはどのように対処したら最善か等々を絶えず充分に掌握している必要がある」と思っている。そして、統治しておられる諸々の分野に適材適所の人材を長として配置して対応させ、その長たちとは常に緊密に連絡して如何なる問題にも遅滞なく対処していくべきだと考えている。

これまでに何人かの会社経営者に伺ってみたことがあった。それは「社長/副社長/専務という任務に就かれて、全社で何が起きているかを常に掌握出来ていましたか」という質問だった。売上高8~9兆円という規模の専務/副社長級の方は「解りません。自分が嘗て担当した部門を除けば」と言われた。国家予算が100兆円を超える国の全容の把握は、もっと難しいだろうがご承知でなければ困る。

であれば、総理を支える副官は有能で多数であって欲しいし、寧ろ総理以上に有能でなければ務まるまい。私は何度か「岸田総理は側近に人を得ておられないのでは」と疑問視してきた。今日、混乱しているかの如くに見える状態の主な原因はこの辺りにあるのではないのだろうか。総理大臣には「人を見る目」が備わっていて、側近はより良き人材を配置して頂きたいものだと思う。


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