ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

日和田でHTさんが初リード練習!

2023年10月19日 | 岩登りトレーニング

5日の日和田は天気も良く最後まで雨にも降られずに思い切り練習できました。日曜日の天気予報があまり良くなかったせいなのか、これまで経験したことのないほどのクライマーたちの少なさでした。人数的にはこれほど少なかったこともあったと思うのですが、何故だかみんな男岩西面を登っていて、南面にはゼロ。僕たち3人パーティー独占状態がずっと続きました。奇跡的出来事ですね。HTさんのリード練習を祝福しているのでしょう!

この日のHTさんへのコーチ役はN村さんです。N村さんはジムでリード講習を受けたばかりですし、最新のリード方法をHTさんに教えます。HTさんには現代最新のリード方法をまずは学んで欲しいですからね。僕が教えると、ひと時代古い方法になりますからね。まずは最新の方法をマスターして、その後の崩し方なら幾らでも教えられます(笑)。

 

2023年3月5日(日) 日和田

▲9:40。N村先生はやおら杉の幹にシュリンゲとヌンチャクをセットしていきます。何をするんだろうと見ていると、ザイルをヌンチャクにクリップする方法から教えています。そんなことを最初に教えるなんて、如何にも現代的ですね。僕の時代はハーケンにシュリンゲを通して、カラビナ1個をシュリンゲとザイルに通すという時代でした。くるくるとよく動くのでザイルをクリップする方向なんて考える必要はありませんでした。それに「絶対に落ちるな!」といった時代でもありましたから、落ちた時にどうなるかなんて考える必要もなかったんです。ハーケン等信用していませんから、実際問題落ちてはいけなかったのです。今のゲレンデはピンがしっかりしていることが多いですから、フリークライミングの進歩もあって、落ちることを前提にしたスポーツになっています。

 

●1本目:男岩南面左端 4級

▲10:33。N村さんのリード、HTさん確保です。出だしは易しい3級です。

 

▲10:41。最上部を登るN村さん。そのまま直上するつもりのようです。少し前傾していますが、ガバホールドがあるので4級ですね。

 

▲10:57。HTさんは中間でヌンチャクを回収しながら登りました。最上部のちょっとハング気味の箇所を直登していますから、そこでHTさん苦労しています。ザイルにもぶら下がりましたが、易しいルートに逃げることなくなんとか直登しました。

 

▲11:20。ラストは僕がフォロウ。全員で懸垂下降しました。

 

▲11:29。下に降りると、N村先生の講習が行なわれます。今度は上でのフォロワーの確保法です。HTさんはATCガイドやルベルソを持っていませんから、自分の8環を使っての確保法を教えてあげています。きっちりと教えてあげています。

 

●2本目:上のルートと同じ

▲11:50。さ~て、HTさんのリードです。

 

▲12:03。苦労していた最上部のハング気味の箇所も1回落下しましたけれど、すぐに立て直して登り切りました。

 

問題は上での確保が正しく出来るかどうかです。僕も昔、同様のケース(初めてリードして、初めてフォロワーの確保をする)でフォロウしたことが何度もあります。その内のひとりのケースでは、口を酸っぱくして確保法を何度も教えたのに、本番ではパニクってしまって、まったく確保になってなかったことがありました。当然、僕もそんな可能性を考慮していますから、絶対に落ちない決意でフォロウします。ただ、HTさんは精神的に安定した人ですから、教えられたことをキチンと出来る筈との信頼感があります。N村さんが「○○さん、セカンドで行きますか? ラストで行きますか?」と聞くので、僕がセカンドで登ることにしました。

 

▲12:30。HTさんは教えられた通り、正しくセットできていました。もちろん、微妙な修正点はありましたけれど、その辺は慣れるにしたがって、徐々に修正されるでしょう。ラストはN村さんで、懸垂下降で降りました。

 

この時だったかなと思いますけれど、僕が微妙な修正点をHTさんに言うと、すぐ隣りで仲間を確保していたお年寄り(僕より少し年上かな?)が言うんです。「私も言おうかな、と思ったんだけど、悪いかなと思って」。さらに、「岩登りではATC使うけど、沢登りでは8環使ってますよ。みんなもっと8環の良さを認識した方がいいと思うな」と。確かに、8環は少し重くて、ザイルがキンクし易いけれど、制動もよく効くし、懸垂下降中の仮固定も簡単だしね。そうかもしれませんね。僕も沢登りでは8環に戻してみようかな。この方、僕よりずっとクライミングも上手そうですし、沢登りも実力者なんでしょうね。

 

▲12:41。HTさんが懸垂下降で降りて来ます。青空バックで格好いい!

 

●3本目:男岩南面中央の凹角~クラック 4級

▲13:26。N村さんリード。凹角を抜けるところで、Zクリップの失敗。この失敗は誰しもがやってしまうものですね。緊張する箇所でやってしまいがちなんです。僕も何度もやってしまったことがあります。早めに気付けば問題はないのですけどね。

 

▲13:51。HTさんが中間でフォロウ、最後のクラックで苦労しています。1度くらいぶら下がったかな? 僕がラストで登ると、最後のクラック部分にヌンチャクが残されています。N村さんのHTさんへの優しさですね。ただ、この日のように我々だけで男岩南面を独占しているからこそ出来るワザではありますね。

 

●4本目:上と同じルート

▲14:24。HTさんリード。凹角の途中で、どうしても左のフェースに出たがってしまいますね。それでは少し易しくなってしまいますから、あくまでも凹角をどん詰まりまで登って欲しいのです。でも、無事に突破。 

 

▲14:38。最上部のクラックを苦労するかと思いきや、一発で突破、見事でした。N村さんがセカンドで、僕がラスト、懸垂下降で降りました。

 

▲15:06。懸垂下降するHTさん。

 

●5本目:女岩南面の中央ルート 3級

▲15:22。最初からHTさんがリードしてオンサイト。まったく問題なし。

 

N村さんセカンドで、1本目のヌンチャクを外してから西面との境い目のカンテを登りました。気を抜いてしまったせいなのか、登り始めで落下。絶対に気を抜いては駄目ですよ。僕もラストでカンテを登らせてもらいました。N村さんがヌンチャク全て回収したので、下から上までカンテを登ることが出来ました。N村さん、ありがとう。このカンテルートにもピンがあればいいんですけれど、1本もありません。3級+くらいなんですけれどね。女岩の上からは徒歩で降りました。

 

●6本目:男岩南面右端(と言うか右隣り)のルート 3級

▲16:08。HTさんがリードしてオンサイト。

 

▲16:14。終了点ではこれまでのピン(ボルト)を使ってのシステム構築ではなくて、3本のしっかりした木の幹を使うものです。僕が上に行って、アドバイスしました。N村さんセカンド、僕ラスト。ここも安全な場所まですぐなので、移動して、その後歩いて下りました。

 

本当は最後にN村さんが男岩南面右端の3段フェースルート4級+~5級-をリードする予定でした。でも、N村さんの花粉症の症状が酷くて断念。ここでこの日の練習は終了です。

HTさんのリード練習がこの日のメインメニューでした。4本の比較的易しいルートをHTさんはリードしました。最初の2本は上部が難しくて、ザイルにぶら下がったりしていたのに、怖がらずにリードにチャレンジしていました。精神的に強いと思います。最後の2本はHTさんはオンサイトしています。オンサイトというのは、一度も登ったことのないルートを登り方のアドバイスを受けることなく自力で完登すること。その人のオンサイト能力が本当のその人の実力だとも言えますから、HTさんには3級レベルの登攀能力が備わっているということですね。この能力を少しずつ押し上げていって欲しいと思います。この日登ったくらいのルートを今後数多くリードして欲しいと思っています。

N村先生、お疲れさまでした、ご苦労様でした。教え方が上手ですし、細かなところまで心遣いが行き届いています。自分にとっての練習はあまり出来なかったでしょうけれど、人に教えることで上達できる部分も大きいですよ。必ずN村さんにとってもプラスになっていると思います。

僕も久し振りに反省会をして、楽しかったです。


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