tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

防衛装備品を建設国債で:福田蔵相の発言は反故

2024年05月07日 12時40分16秒 | 政治

政府が今年度5117億円の建設国債を発行して防衛費として使う事が明らかな以なったというニュースが入ってきました。これは昨年の20%増、国債を発行して防衛費に当てるというのは昨年からだそうで、安倍政権の時の構想を岸田総理が実行に移したという事のようです。

これはかつて日本が太平洋戦争の戦費調達のために大量の戦時国債を発行し軍艦や飛行機を作ったが、それらはすべて空や海の藻屑と消え、その上に、国内の軍事施設もすべて廃墟と化し、結果300万人の命まで失われたという惨禍を日本にもたらした「戦争と財政問題」という悲惨な関係の再現に繋がる可能性をはらんでいる問題です。

戦後、日本はもうそういう馬鹿なことはやめよう、戦争のために国債発行は勿論、国債発行そのもの避けるべきだという決心をしていたのです。

しかし戦後最大の不況と言われた昭和40年不況脱出のため、当時の福田赳夫大蔵大臣が国債の再発行を決めましたが、その時も、「防衛費は国債発行の対象にすべきでない」と答弁をしているとのことです。

同じ自民党ですが、かつての自民党は、平和憲法に則り、戦争は避けるべきだし、戦争に使うための設備投資、防衛装備品などは結局は戦争のためにしか使えないもので、経済発展のためのものではないから、国債発行で賄うべきではないという線引きの明確な意識を持っていたからでしょう。

ところが安倍政権になって自民党は変わったようです。アメリカと一緒になって戦争をやってもよい、日本も防衛という意味で戦争をすることは当然、という事になったようです。

国債発行、特に建設国債の発行といった問題は、経済理論として考えるべきものか、政治の理論として考えるべきものかという事になりますと、多分これはいくら議論をしても「理論ではなく主義主張の問題」ですから一致点も、妥協点もないでしょう。

経済理論として考えれば、国債発行が持続的な経済成長を可能にするかどうかが判断基準になるのでしょう。

政治の理論になれば、それはリーダーの判断(安倍総理、岸田総理など)によることになり、リーダーが民主的であれば通常経済理論に戻りますが、リーダーが独裁的であれば、それは戦争による破壊と破滅にいたる可能性が高いという事になるのでしょう。

現状から考えれば、現実がこのどちらになるかは、日本には選択の力はなく、台湾有事という中国とアメリカの関係の進む方向によって決まることになるのでしょう。

そして、国債発行で用意したものは、有事が無ければ無用の長物になり、若し有事が現実になれば、総ては破壊の対象となり、加えて人命の損失を生じるのです。

経済理論というのは社会を豊かにするための理論ですが、独裁的なリーダーの下では、往々にして経済理論は無視され、意味を持たないのです。

この困った状態、ある意味では大変不幸な状態を避けるためには、自民党が、嘗ての戦争はしないという立場に戻るか、日本国民が平和憲法を大切にする政権を選ぶという行動を取るかのどちらかしかないのではないでしょうか


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