tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

中仏首脳会談の成果、日中首脳会談は?

2024年05月08日 14時29分46秒 | 国際関係

中国の習近平主席がフランスを訪問、マクロン大統領と2日間に及ぶ首脳会談が持たれました。

パリ・オリンピック開催中の戦闘停止の呼びかけで合意するなど当面する世界の関心事に大きく関わる合意が発表されるなどの大きな成果が発表され、世界的に大きな反響がありました。

フランスはヨーロッパ連合の主要国、自由世界の雄としてロシアのウクライナ侵攻についてはウクライナ支援の国です、一方中国は共産主義国家として国連の常任理事会ではロシアを支持し自由世界と明確に対立する国です。

この2つの、意見の相対立する国の首脳が、2日間にわたり親しく話合うという事に驚いた人も多いのではないでしょうか。

しかし、国という組織体を経営する立場にある首脳であれば、対立はあっても、協調、協力した方が共に裨益し合う事もいろいろある事は当然思慮の内にあるのでしょう。

考えてみれば、政治的、イデオロギー的に対立するという面はあっても、経済的に協力が出来ればその方が良いという事も当然色々あるわけで、対立点はあっても協調できる事は進めるというのが外交のあるべき姿でしょう。

今回の中仏首脳会談でも、五輪中の戦闘停止の呼びかけだけではなく、中国も平和のために力を尽している、ロシアに武器売却をしない、関連品の輸出管理をしているといった中国側の発言もあり、原発や航空機の共同開発、フランスの果実、酪農製品の輸出など多様な話し合いが進んだようです。

中国はアメリカの干渉を意識しつつも、フランスの独自性を尊重し、フランスも自由圏の国、ヨーロッパ連合であることと、独立国であることの意義を意識して中国との対話を進めるという意欲が見えてくるのではないでしょうか。

こうした、当面する立場に違いがあっても話し合い、協調、協力の出来るところから交流を広げ、紛争を避け平和を進めるという姿勢は、独立国である限り可能なのだと考えれば、そうした視点を、翻って、日中の関係に積極的に持ち込むことの重要性を意識する人は多いのではないでしょうか。

特に日中の場合には、千数百年に及ぶ交流の歴史があり、日本文化の中には、漢字が日本の表現様式の基本をなしているように、また殆どの諺が中国の故事に因んでいる事からも明らかなように、基本的に共通な文化があるのです。

しかも改革開放以来の日中交流は、双方の関係を近代化の中で大きく進めたはずです。その中国に頻繁な外遊を揶揄されるほどの岸田総理が、この重要な時期に、日中首脳会談を持たないのは、何故でしょうか。遠いヨーロッパでフランスのマクロン大統領が、自国のためだけではなく世界のために中国とのコミュニケーションを進めたように、日中の間ではさらに多くの二国間そして世界的に役立つコミュニケーションが出来る可能性はあるはずです。

平和憲法を掲げ、先の大戦の衷心からの反省をし、世界の安定に役立とうという日本であるはずなのに、「君子危うきに近寄らず」でしょうか。「虎穴に入らずんば虎児を得ず」という気概と行動が取れないのでしょうか。

「去る者は日々に疎し」では、日本の平穏な明日は来ないのではないかと心配する人も多いのではないかと思うところです。


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