偏差値表を見る際の注意点を書きたいと思います。当然なことから少し一般的ではないことまで書きます。
 
・塾によって(それどころか同じ塾でもテストごとに)母集団が違うから偏差値の意味は変わる
・四谷大塚だけは男女別の母集団で偏差値を出している(→同じ点数なら女子の方が1〜2くらい偏差値が高めに出る)
・塾によって学校の難易度の序列が逆転することも多々ある(理由は塾のカリキュラムと入試問題の相性、塾の思惑、他)
 
※「塾の思惑」について、参考になる外部リンクを追加しました。
 

 

・試験科目が少ない学校や複数回入試の学校は偏差値が高めになる
・偏差値が高くなるように「操作」している学校もあるとかないとか…
・偏差値表は合格しやすさ/しにくさの指標であり、実際の入学者の偏差値はまた別
・同じ偏差値の学校同士でも実際の難易度は違う場合もある
 
以下で後半についてだけ少し補足したいと思います。
 
・試験科目が少ない学校や複数回入試の学校は偏差値が高めになる
大学受験では(数字の意味が違って比べられないから)国立と私立を同じ偏差値表に載せたりしないものですが、中学受験では何でも一つの偏差値表に載せてしまうのが慣例です。そうすると、科目が少ない学校と複数回入試の学校は見た目の偏差値が高くなる傾向にあります。
 
科目が少ないとー算数1科入試で顕著ですがーその科目(だけ)が得意な人が集まった中での勝負になるのと、不確実性が高まる中で80%と言うには高めのラインで切る必要があるため高くなるでしょう。
 
複数回入試で偏差値が高くなるメカニズムは、例えば、同じ300人を取るにしても、1回で300人取らずに3回に分けて第1回で200人、第2回で70人、第3回で30人というとり方をすれば、第1回は(1回で300人取るなら合格になっていたはずの)201~300番の人が不合格になるわけですから偏差値は上昇します。第2回も同じメカニズムが働くほか、第2回、第3回では日程的に受けやすくなったことにより群がる優秀層と少ない枠を争うことになるので偏差値が上昇するでしょう。
 
でも、そうやって「見た目の」偏差値が上がってくると、実際に人気が出てきて入学者の偏差値も上がってくるということも多いです。
 
・偏差値が高くなるように「操作」している学校もあるとかないとか…
これはあまりに闇が深い話なので、興味ある方は動画を見て下さい(→こちら)。 
これは地方のトップ校など、地理的な制約がある場合に顕著です。地理的に他に通える学校が他にないために、例えば偏差値70以上の(あるはそれだけのポテンシャルを秘めた)子でも「偏差値60」の学校に入る(つまり入学者の偏差値分布が広い)なんてことはよくあります。
 
このような学校では、見た目上は「偏差値いくつなのに東大や国立医学部に◯人も受かってる!」ということになりますが、これを「お得だ」とか「レバレッジが高い」とか言うのは少し違和感があります。
 
逆に、合格した人のうち入る人の割合が少ない(第一志望率が低い)学校だと、偏差値表ではかなり高いけど、実際には高い偏差値の人はほとんど入学せず(蹴って他の学校に行き)、実際に入学する人はギリギリで受かった人や繰り上げ合格者ばかりということもあり得ます。
 

 

・同じ偏差値の学校同士でも実際の難易度は違う場合もある
多くの人が志望校別特訓も受けて過去問もたくさんやって万全の準備で臨んだ学校で80%の人が受かった偏差値と、志望校別特訓どころか過去問も1年分かそこらで臨む人が多く、しかも行くだけでも疲れてしまうほど大変なコンディションで受ける人もいるような前受校で80%の人が受かった偏差値では、仮に同じ数字がついていたとしてもその意味は全然違うと思います。
 
すなわち、前受けで受ける人が多い学校の場合は、みんなよりしっかり対策をして良いコンディションで受けるなら、偏差値のわりに受かりやすいということが言えるでしょう(書いた意味、伝わっているでしょうか…分かりにくかったら聞いて下さい)。

 

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