ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

イランとイスラエル 二重基準と遠近法

2024-04-18 10:22:02 | 日記
今、中東がきな臭い。イランとイスラエルが一触即発の状態にある。にらみ合うこの二国のうち、正しいのはどっちなのか。我々はどっちの国を非難すべきなのか。

そういう問題意識から、きょうの新聞に目を通してみたが、よけいに解らなくなってきた。思惑がらみの非難が飛び交い、さながら各国の思惑と非難の応酬といった趣きがある。

今朝の新聞には、

ロシアのネベンジャ国連大使は14日の国連安全保障理事会の緊急会合で、『西側は偽善と二重基準のオンパレードだ』と批判した
(朝日新聞4月18日)

とする記事がのっていた。記事によれば、

イスラエルがイランへの反撃を検討するなか、日米欧は報復の連鎖を懸念し、イスラエルに自制を促す動きを強めている。一方で、イランの報復攻撃の原因となったイスラエルによるとみられる、シリアのイラン大使館への空爆は明確に非難していない
(同前)

というのが、「二重基準」発言の根拠だという。
どうやら「二重基準」という言葉は、国際社会で相手を非難する場合に使われる常套句であるらしい。

きのうの朝日新聞の記事では、日本がG7諸国と違い、「イスラエルを非難しない」という理由で「ダブルスタンダード(二重基準)」だと批判されていたが、きょうの記事では、日本も米欧も一緒くたにロシアによって「二重基準だ」と批判されている。イランの側に立つロシアからすれば、イランを非難しながらイスラエルを(明確には)非難しない国々は、皆一律に非難すべき対象と映るのだろう。

本ブログでも何度か言及したように、日本はアメリカの同盟国(属国?)として、基本的にはイスラエルに肩入れする立場にたつが、石油資源を中東からの輸入に頼らざるを得ない事情から、イランを非難できない立場にある。
イランを非難しない(非難できない)点では、日本はロシアと同じ立場にたっているといえるが、「日米欧を非難する」という意図が先立つロシアからすれば、日本も欧米と同じ穴のムジナだということになってしまうのだろう。

これは、その国の思惑が事態の客観視を妨げているケースだが、思惑がらみで相手を非難したり、しなかったりするのは、何もロシアに限ったことではない。それが国際情勢を見えにくくしている一因である。

客観的な真理などは存在しない。物とは物の見え方であり、それはこれを見る各人の立場によって異なる、とするニーチェのパースペクティヴィズム(遠近法主義)は、国際社会でこそはっきりした形をとると言えるだろう。

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