下路型単径間補剛トラス吊橋 「旅足橋」 | 加納有輝彦

下路型単径間補剛トラス吊橋 「旅足橋」

 この前地元のテレビ番組で、八百津町の旅足橋が、日本でたった一つの構造を持つ橋で、世界でも現存するのは、ブラジルとオーストラリアのものと三橋のみと報じていた。
 そして、今進行中の丸山ダムのかさ上げに伴い水没するという。
そんなニュースを見て、車で35分程度で行ける距離なので、やがて水没する運命の日本でただ一つの吊橋しを是非みたいと思い行ってきた。

 木曽川の支流旅足川にかかる橋。



寂寥感漂うたたずまい。リベット打ちのトラス吊り橋、往時の技術者、作業者の力を感じる。見る人が見れば、非常に珍しい構造なのであろう。私には、そこまで分からないが、いずれにせよ、これが見納めと思えば、写真の撮影枚数も増えた。

 



そういえば、見納めといえば、かつて丸山ダムの骨材プラントの5本の塔が建っていて、初めて見たときは、古代遺跡かと思わせるものだったが、今は写真で偲ぶのみ。

 



近くにお住まいの方で興味のある方は、土日なら通行できますが、平日は、ダム工事のため通行止めですのでご注意を。


土木ウォッチングより
旅足橋の最大の特徴は、補剛トラス中央部の上弦材を主ケーブルに兼用させた特異な構造で、アメリカの橋梁エンジニアD.B.Steinman氏の考案によるもの。
本形式橋の架設例は世界でたったの5橋、現存は3橋のみ。
ウォルター・テイラー橋(オーストラリア)と本橋のみという大変希少な形式の橋と言えます。
その後、橋梁技術の急速な進歩により、アーチやローゼ・斜張橋の時代となり、本橋を最後にこの形式を採用する事例はありませんでした。
 我が国の吊橋技術の進展に貢献し幾多の台風にも耐えた本橋も、新丸山ダム建設工事の進捗により撤去されるものと思われ、湖底に眠る旅足川水路橋のように、ひっそりとその役目を終えようとしています。

 竣 工:1954年(昭和29年)
 構 造:下路型単径間補剛トラス吊橋 他
 支間長/幅員:114m/4.5m
 設 計:笹戸松二 氏

 同形式の橋(竣工年/支間長)
 ・1926年 Hercilio Luz橋  340m(ブラジル)
 ・1928年 Silver橋     213m(アメリカ)(1967年崩壊)
 ・1928年 St. Marys吊橋  213m(アメリカ)(1971年撤去)
 ・1936年 Walter Taylor橋 183m(オーストラリア) 

参考文献
 ・岐阜県八百津町「旅足橋」について 我が国唯一のFlorianopolis橋型の吊橋/山根 巌

 

 


 

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