「男の沽券に関わる。」 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

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好きになれない。  vol.121.

ドキドキ 峻も、焼きながら、
「珍しいっすね~~。武一とここに来ても、そんな事、全くなかったのに。」

奈菜も、
「ねぇ~~~。」

武一も、
「ふんふんふん。小埜瀬さん、酒には、強いですもんね。俺と飲んでても、まず、変わんないですから。」

峻も、
「うんうんうん。」

小埜瀬、口を尖らせて、そして。ようやく唐揚げに箸を。
「私も…。これほどまでに、覚えてないって言うのは…。実に…。初めて…、かな…。」
顔を振り振り、
「なんとも…。」
口を今度は、への字にして…。

武一、
「まっ。これで…、何とか…。」
小埜瀬を見て、
「落ち着いたかと…。」

そんな吉竹に、
「いやはや…、面目次第も…。」

「…と、言うより…。」
武一、
「あの佐津香さんだ。まっ。こういう事も…、ある意味、予測して…。」
そして武一、右手を振って、
「いやいやいや。女性から男性に、そういう事は、まず言わないですから。」

瞬間、奈菜、
「ぷっ。…それこそ、男の沽券に関わる。…ってねぇ~~。」
そして奈菜。
「そうと決まれば…。何れにしても…、後々、サッちゃんと菜帆子に愛結美。そして順平にも、お礼言わなきゃ。…順平なんて、同じ男性だから、言いたくて仕方がないの…、かも…。」

峻と武一、
「かかかかか。」
「まぁねぇ~~。」






それから…。2日目のお昼休みだった。

小埜瀬、いつもならお昼を外に出て食べるはずが…。何と、弁当。
この日は小埜瀬、その弁当を誰にも気づかれないように、
何とか会社には一番のりでの出社だった。


トイレから戻ってきた愛結美が、そんな小埜瀬を見て、目を真ん丸と。
「か…課長…。お弁当~~~???」

その声に、まだ仕事をしていた順平が、
「うそ。」

部署にいるのは順平だけ。

「えっ…???…マジで課長、弁当~~。」
順平、小埜瀬を見て。

しかも…、小埜瀬の弁当、二重になっている。

愛結美、ますます目を丸くして、
「凄~~ご~~。」
そして、
「順平、ちょっと、ちょっと~~。」
順平を手招き。
「お重だよ、お重。凄い。」

小埜瀬、照れながらも、
「いえね。隣に、年老いたおばあちゃんがいましてね~~。先週、そのおばあちゃんが、庭で花壇に水やりをやっていた時に、いきなり倒れて。ギックリ腰だったらしく、私が負ぶって座敷まで。そして布団を敷いて休ませてあげて…。その日は、かかかか。一日中、おばあちゃんの話の聞き役で…。それから、時々、おばあちゃん、私の家の留守番まで…。何だか、仲良くなりましてね。…で、今日は、いきなり朝。小埜瀬さん、これ、持ってきなって。わざわざ朝早く~~。作ってくれまして。」

順平、
「へぇ~~。凄~~い。あ、確かに、隣に住宅、ありましたよね~~。うんうんうん。」

その瞬間、愛結美、順平に、
「順平っ!!!」
右手で順平の左腕をペン。

順平も、口をがっしりと噤んで目を丸く、右手を口に、
「やべっ。」

小埜瀬、そんな順平と愛結美に、ニッコリと、
「愛結美さん。そして、順平君。この間は、本当に、ありがとう。」
椅子から立ち上がり、深々とお辞儀を。
「本当に、ありがとうございました。」

そんな小埜瀬を見て愛結美と順平。
「あ、あ、あ…。課長…。あの…。」
「いやいやいや。そんな…課長~~。」
ふたり、共に小埜瀬に両手をひらひらと…。

小埜瀬、頻りに頭を撫でて、
「その…、あの…。いつ、お礼言えばいいか、困ってしまっちゃってて。…あの…、その…。」

愛結美、照れながらも、
「あは…、はははは。…はは。いいんですよ~~。そんな…お礼…、なんて…。…ねぇ~~、順平~~。」

順平、思わず鼻を指でポリポリと…。

小埜瀬、愛結美に、
「あのぉ~~。それで…、なんですけど…。…佐津香さんと菜帆子さんにも…。一言…。」

その声に愛結美、隣の…、休憩ブースの方を見て、
「え、え~~。えへへへへ。…ふたりは…、今…。向こうでお昼を…。」

小埜瀬、愛結美の向いている方を向いて、
「えっ…???」




お喋りをしながらお昼をしている佐津香と菜帆子。そこに…。

「ふたりとも。」
愛結美。

佐津香、菜帆子、
「あ、はい。うん。」
「えっ…???」

愛結美と一緒にいる男性。小埜瀬。

佐津香、菜帆子、共々、
「課…長…???」

そして、小埜瀬の持っているお重を見て、菜帆子、
「へっ…???…課長、それ…、お重…。まさか…、お弁当…???」

愛結美、
「なんですって~~。課長のお宅の隣の家に、お年寄りが住んでるんですって。そのお年寄りが、課長にって、作ってくれたんですって。」

佐津香も菜帆子も、そのお重を見て、
「凄~~~。」

小埜瀬、照れながらも、
「到底、ひとりでは、食べきれない。出来れば、みなさんにもと、思いまして。」

佐津香も菜帆子も。
「いや。うそ。」
「だって…。」

小埜瀬、そして、お重をテーブルに置いて、ふたりにも…。








好きになれない。   vol,105.  「男の沽券に関わる。」

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