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ご訪問下さり、有り難うございます *------*------*------* ★ 靄 ★ {もや}
立ち込める靄
冷たい水に
私は
川面を這う
川面に浮かぶ
此処には
誰もいない
私は靄の
【参照】
間もなくプロフが終了しますね。
【 お知らせ 】 短編小説・心ゆくまで・は、下段に記載しています。
短編小説 ミステリーロマンの世界へ、ようこそ。 *------*------*------*------*
『どうですか、食欲は出て来ましたか』 4月間近の風が、そっと窓を叩き、 夜中の郊外は穏やかな静けさで、二人を包んでいた。 『沙織さん、僕とこの家で暮らしませんか…』 『はぁ………』 突然の申し出に、 沙織が返答に困っていると、 『余り大袈裟に考えないで下さい。 取り敢えず、この家で暮らしてみませんか…』 柿谷は心配そうな面持ちで顔で、沙織の目を覗き込んだ。 『そうですわ。私には、他に行く所が無いんですものね。 それに、この家は別荘か別邸の様で素敵ですものね。』 沙織の顔に微笑が浮かぶと、柿谷は安堵した様子で、 『この家は、祖父の別邸だったのですよ。 手入れを怠らなかったので、傷んでいないのが幸いしました。 宜しかったら、如何ですか………』 『柿谷さん、喜んでお言葉に甘えさせて貰います。 本当に、色々と有り難うございます。 お世話になりますので、宜しくお願いします』 沙織は頭を下げて、柿谷に礼を述べた。 沙織は自分の置かれている状況に改めて気付かされ、 今は誠実そうな柿谷に、全てを委ねる決意が出来ていた。 『実は、沙織さんを搬送してから非番だったので、 きのうから色々と用意してみたのですが…』 『まあ、そうだったのですか…』 『此処に、車椅子も用意しました。 ベッドカバーは取り敢えず買った物で、 気に入らなかったら遠慮なく言って下さい。 いま正面に見えるのがリビングで、 その奥にダイニングとキッチンが有ります。』 『広い部屋で、気持ちが休まります』 沙織の視線の先に、ソフトブラウンの長いソファーが見えた 広い屋敷の様だったが、 華美な装飾の少ない上品な雰囲気が漂うのを、沙織は感じた。 『沙織さん、もう3時になります。 明日は午後からなので、また話しましょう』 柿谷はそう言ってから、 寝かせ付けた沙織の枕元の灯りを小さくした。 『柿谷さん、本当に有り難うございました。おやすみなさい』 『はぃ、ゆっくりおやすみなさい』 挨拶を残して、彼はそっと部屋を出て行った。 続く】 *----* ご訪問くださり、誠に有り難うございました
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