経済なんでも研究会

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月とスッポン : 日米の金融政策 (上)

2024-05-09 07:20:18 | 金融
◇ 中央銀行はそれぞれの難問を抱え込んだ = FRB(連邦準備理事会)はアメリカの中央銀行、日本銀行は言うまでもなく日本の中央銀行だ。この2つの中央銀行はいま、それぞれに大きな問題を抱え込んで苦しんでいる。中央銀行の使命の1つは、通貨価値の維持。同時に経済の健全な成長にも、目を配らなければならない。だが近年は、その目的をなかなか達成できない。金融政策の効力が低下してきたためである。

アメリカの場合。FRBはコロナ不況に対処するため、20年3月から22年6月にかけて金融を緩和した。具体的には政策金利をゼロにまで引き下げ、市場から国債などを無制限に買い入れた。この結果、景気は持ち直したが物価が上昇。FRBは22年6月、金融政策を引き締めに転換した。しかし物価はなかなか下がらない。いまはいつ引き締めを解除できるか、その見極めに苦慮している。

日本の場合。日銀は16年1月からマイナス金利を導入した。同時に市場から国債などを大量に購入し始めた。いわゆる“異次元の金融緩和政策”である。ことし3月になってマイナス金利をやっと解除したが、まだ政策金利はゼロ。このため円相場が異常に下落、物価を押し上げている。利上げを期待する声も強いが、日銀は引き締め政策に転換することに踏み切れない。

このようにFRBと日銀は、ともに大きな問題を抱え込んでいる。だが何を金融政策の目標にしているか。その鮮明度は、全く異なっていると言っていい。FRBの目標は、満月のようにきわめて鮮明。これに対して日銀の政策目標は、きわめて曖昧。不透明な目標を掲げてゼロ金利に固執する様は、あたかも食いついたら放さないスッポンのようにみえる。

                      (続きは明日)

        ≪8日の日経平均 = 下げ -632.73円≫

        ≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

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