パパ

 まだ小さい頃に、スキーをしていて骨折したという、パパ。

 戦後まもない頃、ですよね。
 添え木をしてもらい治ったそうですが、骨が曲がってくっついたせいで、両脚の長さが少し違ってしまいました。


 だいぶ時が流れて、姉が生まれて私が生まれて、まただいぶ時が過ぎましたが、やっぱり私達は、パパが走っているのを見たことがありません。
 

 性格なのか、小さな頃からの習慣なのか分かりませんが、まあそんなことはどうでも良いです。


 最近は、少し足を引きずっているのを見るようになりました。

 元気の良い時には、引きずっていませんね。
 でも、本当はちょっと引きずっていますよ。


 歩くのが好きで、歩きまわって、色々な物や景色を見てまわって、色々な人に会うのが好きなパパ。

 足が悪いのに歩きまわるのが好きで、口下手なのに、色々な人に会うのが好きなんて、ちょっと良く分かりませんけどね。
 


 まあそんなことはどうでも良いです。
 とにかく一度、ウォーキングポールなるものを使ってほしいんです。

 私達は、登山の時や、ハイキングの時に使っています。
 楽しいんですよ。
 少しなら体重も掛けられますし、足元の草を分けたりもできます。
 ノルウェーの人だって使っています。
 ノルディック・ウォーキングって言うらしいです。ちょっとおしゃれでしょ??


 

 パパが小さかった頃。

 口下手なパパは、何も言わなかったかもしれないけれど、自分も外で、追いかけっこをしたり、かくれんぼをしたり、自由自在に走り回りたかったんじゃないかと思いますよ。

 多分、心は自由に駆け回っていたんだと思います。

 だから、か分かりませんが、あなたは、SF小説が好きで、宇宙の物語が好きで、数学が好きで、大人になってからは外国に住んでみたり、暑いところへ行ったり寒いところへ行ったり、「人に合わせてはいけない」と言って、心はいつも自由でした。


 今だって、ずいぶん自由です。


 


 なんてね……。

 

 

 

 実は、まだ一緒に行きたいところが、二、三カ所あるんです。
 いや実は、ちょっと心細いので……、一緒に来てもらいたいんです。慣れたら、自分たちだけで大丈夫です。最初だけですから。ちょっとだけ。


 だから、ちょっと、このウォーキングポールなるものを使ってみてほしいんです。
 試しにで良いですから。
 ちょっとだけですから。

 どうですか?


 色々あるから、まあとりあえず、見てみてね。

 お手頃なものから、念のため、お高い(?)ものも入れておきます。

 ね、色々あって、色々な人が使っているのが分かるでしょ?
 慣れもあるから。

 

 そしたら、もしかしたら色々なところへ行けるかもしれないから。

 

 


 ではまた。よろしくお願いします。