▼ レミケード®で長期寛解が続いていたら、やめてもいい?
生物学的製剤のレミケード®は、販売されてから20年以上たちます。関節リウマチでの治療に使う人が主流ですが、潰瘍性大腸炎/クローン病やほかの難病にも使われることから、世界中で3百万人の人たちが治療を受けている。
診察の予約、来院、検査、痛い、薬を買いに行く、毎日、決まった時間に薬を飲む。
点滴注射だと、副作用がある、長時間拘束されるなど、精神的、肉体的負担は大きい。
なかには、薬はできるだけ使いたくない、なのに、使わざるを得ない。そんな自分の中の葛藤がいやだ。
潰瘍性大腸炎/クローン病の治療で、薬を使った結果、長期に渡って症状が出ず、内視鏡検査でも異常が発見されなかった場合、薬を止めたいと思う人がでてくる。
薬は、やめてもいいのか、絶対にやめてはいけないのか。
患者のそんな疑問に対し、誰も答えてくれない。
2021年、日本で14の研究施設と病院が共同し、患者のデータを集め分析し、レミケード®を休薬すると、どのようなことが起きたのかについて、世界で初めての発表がありました。
結果データは、ひとつでした。ですが、結果についての見解は、各医療機関によって読んでみると少しずつ違うで気になったので、連載で紹介します。
▼ 研究の共同声明
この研究に参加した医療関係機関は、次のような告知をしています。(抜粋)
◎ 研究のタイトル:
寛解期 潰瘍性大腸炎 患者におけるレミケード®の休薬についての多施設共同比較試験
◎ 研究の目的
潰瘍性大腸炎の治療レミケード®、ヒュミラ®、シンポニー®)は非常に有効な治療選択肢です。
ですが、感染症などの有害事象のほか、長期投与に伴う発癌の可能性も危惧され、さらに、非常に高価な薬剤という問題があります。
薬で寛解(症状がほぼみられず落ち着いている)状態が維持されている場合、安全で確実なこの薬をどう中止するかの方法は、未だ確立されていません。
またこの薬には、はしばしば免疫調節剤(飲み薬のイムラン®/アザニン®が併用されます。ですが、免疫調節剤の有無がレミケード®の薬中止後に再燃が起きるかについては、一定の見解は得られておらず、その他の要因についても詳細に調査されていないのが現状です。
本研究では、レミケード®で寛解維持の患者うち薬を中止した人を対象とし、中止した際の免疫調節剤の併用の有無や、その他の因子がその後の再燃と関連するかについて、14の医療施設との共同研究で解明することを目的としました。
◎ 対象者:
2010年6月1日から2019年3月31日までに当消化器内科において、レミケード®の投与を中止した潰瘍性大腸炎の患者を対象としています。
◎ 方法:
診療録 (カルテ)から抽出した診療データを匿名し、究代表施設に提供し、薬中止と再燃との関連を検証します。
【研究に用いられる試料・情報】
下記の情報を診療録 (カルテ)より取得します。
- 性別、
- 抗TNF-α抗体薬中止時の年齢、
- 喫煙の有無、
- 病型、
- 抗TNF-α抗体薬導入時の臨床的重症度、
- UC確定診断日
- 薬中止時までの罹病期間
- 薬治療歴
- 薬の寛解維持投薬継続期間
- 薬中止時の血液検査
- 薬中止時の併用内服薬
- 薬中止時併用免疫調薬投与量
- 薬中止理由
- 中止した薬の種類
- 薬中止後再燃の有無
- 薬中止後再燃までの期間
- 薬中止後手術移行の有無
- 薬中止後手術移行までの期間
- 薬中止後免疫調節薬の継続投与期間
- 薬中止後の入院を有する有害事象発生の有無
- 薬中止前下部内視鏡検査所見
- 薬中止後の観察期間中の脱落の有無
- 抗TNF-α抗体薬中止後の観察終了日、
- その他関連する事項
続く