東野圭吾と聞くと、ある程度安心感があります。
しろあです。
やっぱり『容疑者xの献身』、『さまよう刃』が良かったからでしょうか。
割と最近まで映画で放映されていた作品がアマゾンプライムで見れるようになってました。
作品としてはかなり古めなようで、その分安心感も増して見てみようと思いました。
※ちなみにこのブログは”ネタばれ上等主義”でやってます。詳しくはこちらのリンクを。
映画『ある閉ざされた雪の山荘で』をざっくり説明しましょう。
・新作のオーディション、最終選考が行われる。
・最終選考に残った数名が別荘に招待された。
・そこで舞台監督から「2泊3日」の間、ここでの生活を演技してもらうと言われる。
・そこでどう動き、対処していったかを考査して主役を決めるという。
・春先(だと思う)の別荘地だが、設定としては
”雪の中、孤立した山荘。外に出ることはできない”となっており、
その設定を守らないといけない。
・初日は普通に過ごし終わるが、翌朝、一人が殺されたと告げられる。
ということで話が進んでいきます。
さて、一人は殺されるわけですが、実際に死体があるわけではなく、
山荘からいなくなっております。
舞台監督からの説明もありますが、あくまで”演出”であると捉えることができ、
殺されたからその俳優は舞台から”退場”しただけととれます。
しかし、もしかしたら本当に殺されたかも知れない
という”シュレディンガーの猫”の状態で物語は進みます。
ここがこのドラマの面白いところです。
ぜひ、いろいろ考えながら見てみてください。
殺人事件が起きる。
となれば、その真相を推理したくなります。
この映画は2時間弱の映画ですが、2泊3日都合3つの殺人事件がテンポよく展開され、
残り約1時間を残しての解決編という珍しい構成となっています。
金田一ものも解決編は長いけど、そこまでも長いからね。
当然みてるこっちとしては、解決編に入る前に推理を楽しみたいんだけど、
どう考えても手がかりが足りない。
こりゃミステリーとしてはダメだ、と思いながら呆れつつ解決編を見てやっぱり。
解決編でようやく重大な情報を提示というご法度です。
結局真相を推理するのは不可能なものなので、残念ながらミステリーとしては落第した作品といわざるをえません。
それでもおおよその骨組みである、真犯人が舞台監督をかたって場を演出した、ということや、
殺人に見せかけて、実際には殺していなかった、という部分は予想通りでしたけどね。
でもその奥の部分は解決編の情報が無ければ無理でしたね。
だからこの映画を楽しむ場合は、ミステリーとしてではなく、ドラマとして楽しんでください。
映画としては、なかなか演出は面白かったですよ。
特にラスト。解決編が長いのには理由がある。
鏡の間の理由、彼らの過去、犯人をあざむく真犯人のシナリオなど。
これまたテンポよくぽんぽんと進みますので飽きません。
そしてなんといってもラスト。
事件の真相が暗かったのに、恐ろしいほど爽やかで綺麗なハッピーエンドになる。
そしてその演出に小説では不可能な、映像演出の力を遺憾なく発揮しているところはいいですね。
ということで。
いくつかダメダメポイントはあるものの、全体的に見たら
ドラマ、映画としてはとても楽しめるいい作品だと思います。
無難に楽しめる作品が見たいなぁというときにおすすめ。
……ただミステリーという観点では見ちゃダメですよ。