傾向は堅持されている? ~高松宮記念

以前から高松宮記念は、わりと明確な傾向がありました。それは上位馬の前走がほぼ限られていること。最も多いのは、3つのG3レース、シルクロードS,阪急杯,オーシャンSで連対するか上位人気に支持された馬で、過去10年の連対馬20頭の内13頭が該当します(他に2019年2着のセイウンコウセイがシルクロードS 5番人気15着から)。
そのほかは、香港のG1が2頭、京都牝Sが2頭、フェブラリーSと阪神Cが各1頭という状況。
これは2020年モズスーパーフレア(9番人気1着)、2022年ナランフレグ(8番人気1着)、2023年ファストフォース(12番人気1着)などの人気薄で勝った馬も例外なく、シルクロードSやオーシャンSで連対するか上位人気に支持されていたのです。

特にシルクロードSからの連対馬が多く、今年強い勝ち方をしたルガルが1番人気に支持されたのは、ある意味当然だったと思います。
ただし個人的には、ルガルが直線平坦の京都で良績が多いことに、やや不安を感じていました。過去3年シルクロードSは高松宮記念と同じ中京で行われていたのですが、今年は4年ぶりに京都に戻ってきました。そこでのルガルのパフォーマンスは確かに素晴らしかったのですが、最後の坂を考えると、そのまま当てはめることはできないと思えたのです。

そして今年のレース。評判通りの出足で逃げたのは、香港から来たビクターザウィナーでした。前走は香港芝1200mのG1を逃げ切っていて5番人気に支持されたのですが、初の左回りとテイエムスパーダなどの速い同型の存在から、個人的には軽視してしまいました。
それを追ったのがウインカーネリアン、マッドクール、ママコチャ、ルガルなどの先行勢。しかし600mは34.8と、重馬場とは言えかなり遅めのペース。
4コーナーで左回りに慣れないビクターザウィナーが膨らんで馬場中央まで行くと、空いた内をついてマッドクール(6番人気)が脚を伸ばして、残り400mで早くも先頭。残り200mでビクターザウィナー以下を一気に突き放すと、唯一内ラチ沿いから追ってきたのが中団の内を追走していたナムラクレア(2番人気)。素晴らしい末脚を繰り出して、1完歩ごとにマッドクールとの差を詰めますが、アタマ差まで迫ったところがゴール。
マッドクールは初の重賞制覇がG1となり、昨年のスプリンターズSでハナ差2着に終わった雪辱を果たしました。
そしてナムラクレアは昨年に続く2着となり、またもや悲願のG1勝利は達成できませんでした。これでG1は0・2・2・3。特にスプリント戦での安定感は素晴らしいものがあるので、なんとか勝利をおさめてほしいものです。

終わって上位勢について見てみると、マッドクールは前走香港スプリント8着で、ナムラクレアは京都牝S2着、3着ビクターザウィナーは香港のG1 1着ということで、毎年必ず連対していた3つのG3からの馬が1頭もいなかったのです。
これは傾向が変わってきたかとも思ったのですが、よく見てみると、前走香港のG1と京都牝Sから連対した馬は過去10年でそれぞれ2頭ずついて、決して傾向が変わったわけではなかったのです。
しかも上位2頭は昨年のスプリンターズSで2,3着だったということで、ある意味順当な結果と言えるでしょう。

そしてもう1つ気になっているのが、今年の4歳世代はレベルが低いのではないかと言われていること。昨年の有馬記念で3歳代表のタスティエーラ、ソールオリエンスが見せ場なく敗れたあたりから言われはじめ、期待された菊花賞馬ドゥレッツァが金鯱賞で完敗したことで、さらにその声が大きくなっているように思われます。
今回も牡馬3頭、牝馬2頭の4歳馬が出走し、ルガルは1番人気となったのですが10着と大敗。4歳世代の最先着はビッグシーザーの7着でした。

これについては、来週の大阪杯である程度見えてくるのではないでしょうか。
タスティエーラ、ソールオリエンス、ベラジオオペラのダービー上位馬が出走を予定しており、6戦5勝のロードデルレイも人気が予想されます。また牝馬もエリザベス女王杯3着のハーパーと愛知杯勝ちのミッキーゴージャスが出る予定で、かなり強力な布陣といえるでしょう。
まずは予想を4歳馬から入るか、あるいは5歳馬中心にするかですが、結果が出た段階で、少なくとも春の時点での4歳世代の評価が固まってくると思われます。

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