神話好きの人はぜひこれらの英単語を覚えましょう!
(1) hygiene「衛生,清潔」 /haɪdʒiːn/
ギリシア神話の健康の女神ヒュギエイアから来ています。アスクレピオスの娘ですね。英語の発音は「ハイジーン」だから気を付けて下さい。
むかし学習塾で教えていた時,男子生徒が何度も電子辞書で hygiene の音声を再生するんです。何だろうと思ったのですが「廃人」みたいに聞こえるからでしょうね。
(2) euthanasia「安楽死」 /juːθəneɪʒə/
"eu, ev" は「良」です。thana 部分はギリシア神話の死を司るタナトスから来ています。ニュクスの子ですね。発音は「ユーサネイジャ」です。
なお euthanasia が難しければ mercy killing という言い方もあります。
(3) insomnia「不眠症」
死の神タナトスの弟にヒュプノスがおり,眠りの神です。ヒュプノスはローマ神話ではソムヌスと言われます。これに打消しの in- が付き,インソムニアは「不眠症」です。「月光」が収録された鬼束ちひろのアルバムタイトルでもあります。
(4) victory「勝利」
これは簡単ですね。ただウィクトーリアが victory の語源になったのではなく,「勝利の女神」という意味を込めてウィクトーリアと呼ばれたのでしょう。ウィクトーリアはローマ神話の勝利の女神で,ギリシア神話ではニーケーが対応します。スポーツ用品メーカー,ナイキの由来です。
(5) aeon, eon「永劫,非常に長い時間」 /iːən, iːɑːn/
ギリシア神話のアイオーンは時間の神です。グノーシス主義では非常に重要な存在だったようです。英語では「イーオン,イーアン」です。
(6) iris「虹彩」 /aɪrɪs/
ギリシア神話のイーリスは虹の女神です。英語では「アイリス」のようになります。
(7) charisma「カリスマ」 /kərɪzmə/
ギリシア神話のカリスは美と優雅を司る女神たちです(複数はカリテス)。ウィクトーリアなどにも言えますが,カリスが優雅だったから「カリスマ」という語が生まれたのではなく,もともとカリスという語が「優雅」を意味していました。英語では ri に強勢があり,s は /z/ と濁ります
ローマ神話ではグラティアと呼ばれ,grace「優雅」と関係します。
(8) chronic「長引く,慢性的な」,chronicle「年代記」
ギリシア神話のクロノス(Chronos)は時間の神です。ゼウスの父クロノス(Kronos)は別の神なので要注意です。
(9) zeal「熱意,熱狂」,zealous「熱狂した」
ギリシア神話のゼーロスは熱意,激情,競争心の神です。勝利の女神ニーケーの兄弟です。英語の zeal は「ズィール」ですが zealous は「ゼラス」なので注意してください。
(10) psychology「心理学」
ギリシア神話のプシューケーは魂を意味する女神(もと人間の娘)です。
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(11) volcano「火山」 /vɑːlkeɪnəʊ, vɔlkeɪnəʊ/
ローマ神話のウゥルカーヌス(ウルカヌス,ムルキベル)は火の神で,ギリシア神話のヘーパイストスに対応します。
(12) cereal「穀物,シリアル」
ローマ神話のケレースは豊穣神,大地の女神です。なお同じシリアルでもシリアルナンバーのシリアル(serial)は別語源で,こちらは sow「種をまく」と関係しているようです。
(13) concord「一致,調和」
ローマ神話のコンコルディアは調和,協調の女神で,ギリシア神話のハルモーニアに対応します。harmony も「調和」ですね。
(14) confide「信頼する,秘密を打ち明ける」,confidence「信頼,自信」
ローマ神話のフィデースは信頼の女神です。"con" は「共に」とか「強く」を意味する接頭辞です。
(15) jevenile「未成年の,青少年の」 /dʒuːvənaɪl, dʒuːvənl/
ローマ神話のユウェンタースは青春の女神です。
(16) narcissism「ナルシシズム,自己陶酔」 /nɑː(r)sɪsɪzəm/
ギリシア神話のナルキッソスは神ではなく,美少年です。「ナルシズム」でなく「ナルシシズム」なので注意してください。
(17) その他
エロース(→erotic),オーケアノス(→ocean),カオス(→chaos),希ニュクス・羅ノクス(→night),羅ソール(→solar),羅フォルトゥーナ(→fortune),羅リーベルタース(→liberty),羅ユースティティア(→justice),羅フローラ(→floral)
~~ここからフレイニャの妄想に入ります。正しくないので注意して下さい~~
(18) tyrant「専制君主,暴君」
ティラノサウルス(T-Rex,暴君竜)も tyrant からですね。
北欧神話のテュール(Tyr),ティウ(Tiw)は軍神・剣神ですが,ゼウスやインド神話のディヤウスと同格(同語源)の天空神とみなされたこともあるようです。tyrant がテュールから来ていれば面白いですね。Tuesday(Tiw's day)の語源ではあるようです。
(19) mead「蜂蜜酒」
アイルランド伝説のコナハトの女王メーヴ(Medb)やインド神話のマダ(Mada)の語源は「酩酊」です。mead「蜂蜜酒」と関係していればいいですね(Wiktionary を見ると違うようです)
(20) order「秩序」,ordeal「試練」,ordain「定める」
これらが北欧神話のオーディン(Odin),オージン(Óðinn),ウォーデン(Wōden)から来ていたらわくわくしますね。Wednesday の語源ではあります。Wiktionary で調べてみるとどれも違うようですね。逆に Óðinn の語源を調べると「怒れる主(Lord of frenzy)」のようです。
受験生の皆さんは語源をしっかり調べ,少しでも興味を持って英単語を覚えていきましょう。