日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ

いらざる感情摩擦を誘起しないか?USスチール買収

2024年04月17日 07時38分39秒 | 政治
 「日本企業による総額141億2600万ドル(約2兆100億円)に上る巨額買収の成否が、米国の大統領選挙に翻弄されている。日本製鉄は昨年12月、米鉄鋼大手USスチールの買収で同社と合意したと発表した。しかし、かつて粗鋼生産量世界一を誇った<米国の象徴>買収に対し、全米鉄鋼労組(USW)や米連邦議会の一部議員が反対を表明すると、トランプ前大統領も阻止を宣言。負けじとバイデン大統領までもが反対姿勢を明言し、11月の米大統領選を争う前職と現職がそろって反対する異例の事態に発展している」(2024/04/12時事)
日本製鉄㈱によるUSスチール社の買収という第一報を聞いた時、筆者は心底びっくりした。1980年代のジャパン・アズナンバーワンなどと言われていた成金時代なら、エンパイア=ステートビルの買収などという驚天動地の「大買収事件」にも驚かなかったが、なにしろ世界ベスト100企業にトヨタ自動車一社を数えるのみというほどに衰弱し切った日本の企業が20世紀の大半を生産量世界一を続けてきたUSスチールを買収すると聞けば一体全体どこの国の話だ?と驚いてしまった。
そこで世界の国別粗鋼生産量がどうなっているのかとネットで調べてみると、筆者の頭に残留していた記憶は全く役に立たず、なんと中国が世界一の生産国で日本の10倍以上、次いでインドにも抜かれて日本はその約6割レベルだ。以下、日本と並んでアメリカ、ロシア、ドイツ、韓国などがドングリの背比べ状況になっていることが分かった。かつての鉄鋼王国アメリカとドイツが並んでいるとはいえ日本より粗鋼生産量が低いという産業構造の変化の大きさに大いに驚いた次第である。「鉄は力なり」と言ったのは19世紀ドイツの宰相ビスマルクだが、もはやこれは全くの死語になっていることが分かるのである。
と、ここまで考えてきて別の思いが湧いてきた。現代は、20世紀的観念たる粗鋼生産量にこだわる時代ではもはやないこと、そんな時代に国をあげてUSスチールの企業買収とはアナクロニズムではないのか?・・と。
ましてや、もっとアナクロな今秋の米大統領候補老体の二人ともがUSスチール売却反対を公約しているという事実。日米の国民感情にいらざる摩擦を誘起しないか?
 


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