米企業の年金と公務員の年金

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日本の年金との違いを覚え書き

3月に入り慌ただしさが増しました。こういう時は実験機器の故障が起きたりして、中々前に進めません。我慢だと思っていても、なかなかつらい。

アメリカ人は年金を切り崩してる?

年金制度の種類

日本で自分が受けられなかった教育で唯一残念なのは、お金に関することです。誰からも資金の運用について説明を受ける機会は皆無でした。数年間とは言え日本で働いていたときも、老後の資金なんて考えたことはなく、ただ漠然と貯金(定期預金がせいぜい)をしていました。企業に長年勤めていれば退職金が出るし、一定の年齢になれば年金も出るからどうにかなるだろう、と考えていました。渡米前にNISAやiDeCoなんて制度はありませんでした。

アメリカの場合、基本会社からの退職金はないです。州にもよりますが、公的年金をもらうにはソーシャルセキュリティに毎月一定量支払う必要があります。企業が提供する年金制度では給料の数パーセントを積み立て、企業側が福利厚生として一定の割合をそれに付け加える(マッチする、と言います)という具合です。これは通称401Kという制度で、州立大学とか公の機関だと401Bがそれにあたります。ルイビル大学にいるときは選択肢なく401Bプランでしたが、現在の大学では俗にいうペンション・プランという年金制度を選んでいるのでこの限りではありません。このことは後述します。

さて401Kとか401Bという制度ですが、積み立てていればお金は増えていくか?と言うと必ずしもそうではありません。お金は運用会社(フィデリティとかヴァンガードとか)を通じて投資に回り、そのファンドの上げ下げに短期的には一喜一憂するのです。歴史的にみればアメリカの年金運用は利回りがよく優秀なのですが、今後これが続くかどうかは知る由もありません。ルイビル大学時代のわずかな年金資金が401Bでそのままになっていますが、決して多くないお金でさえどうなるか気になります。

ちなみにこの年金資金は59歳半まで我慢しないと、引き落とす際に税金がかかったり、ペナルティーが発生(確か10%)するのが普通です。

年金口座に手を付ける事情

つまり年金口座にお金があっても使わないのが通常なのですが、WSJの記事によるとそうでもないようです。

More Americans Are Treating Their 401(k)s Like Cash Machines
(401(k)をATMのように扱うアメリカ人が増加)

記事によるとより多くのアメリカ人が、退職のための貯蓄だけでなく、緊急時の資金源として401(k)口座を頼っているとのこと。普通のアメリカ人は現金(日本語でいう現金だけでなくすぐに引き出せる普通口座や定期預金のことを指す)をあまり持たず、投資や別なところに回すのが普通です。つまり何か起きると対応できないことが多々あります。それで今そんな時に恐らく401K口座に手を付けてるのでは、と想像します。

統計だと手を付けた人は2022年には2.8%だったのが、2023年には3.6%になったそうです。これは多いのか少ないのか、余りよくわかりません。

生活費の上昇やクレジットカードの借り入れ増加などの財政的圧力がこの傾向に寄与しているかも知れませんが、一方で最近市場のパフォーマンスがよくて残高が急増しているから、暮らす向きを良くするために少し使っている可能性もあります。最近の連邦法改正により、401(k)の貯蓄を緊急時にはペナルティーなく引き出すことも可能になったことも理由にあげられるそうです。

多くは老後に資金を回してる

ちょっと意外だったのが以下の文章です。

Nearly three in 10 plans with automatic enrollment started workers out at a savings rate of 6% of pay or higher. (自動引き落としプランの10件のうち約3件が給与の6%以上を天引きさせている。

WSJ

それなりにアメリカ人も貯蓄している感じです。さらに堅実なプランが書いてありました。

A majority of plans that automatically enroll new hires also automatically increase employees’ savings rates, typically by 1 or 2 percentage points a year until reaching a cap that is often 10% or more of pay.(新入社員が自動加入するプランの大半は、従業員の貯蓄率も自動的に引き上げるものである。通常給与の10%以上となる上限額に達するまで、毎年1~2%ずつ引き上げる。

WSJ

これに企業からのマッチングが入ります。つまり勤労者は給与の平均11.3%を年金に拠出しているので、多くのアドバイザーが推奨する年間貯蓄率12%から15%に近くなっているとのこと。これが本当ならそこそこ老後にお金を用意している感じがあります。どうも身近の人の感覚とは違います。さらに人によっては個人でも年金(通称IRA)を運用していますからね。自分の場合、個人年金はついこの間始めたばかりなので、スズメの涙です。頑張らないと。

ペンション・プラン

私が現在の職場で入っている年金はいわゆるペンション・プランというものです。ルイジアナ州の場合、月々給与の8%が天引きされ、大学側は8%のマッチングをしてくれます。62歳以降になると毎月一定額の年金がもらえるようになります。年金額は勤続年数に加え、連続した5年間で天引き額が高かった時の平均積立額に応じて決まる仕組みです。つまり最低5年は勤務しないと権利が発生しません。

こちらが良い所はこの年金、生きている限り支払われることでしょうか。また毎月の金額は減りますが、私が先に亡くなっても家内が生きている限り同額支払られ続けるプランもあります。つまり積立額に関係なく、長生きすればするほどお得なプラン、とも言えます。

つまりどうにかして健康で長寿にならないと元がとれないプランとも言えます。日本の公的年金に近い感じです。

注)一方でルイジアナ州では一般にソーシャルセキュリティは自分で入らない限り、入らないことになっています。

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