貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

アパタイト

2024-04-06 19:09:48 | 単品

汎産でよく見るけど、いささか捉えどころのない感じがする石。
アパタイト自体は巨大一族で複雑な鉱物。
基本はリン酸カルシウムでそれにくっつく成分によって3種類ある。
 F  フローロ(フルオロ)・アパタイト フッ素燐灰石 Ca5(PO3)F
 OH ハイドロキシル・アパタイト 水酸燐灰石 Ca5(PO3)OH
 Cl クロア・アパタイト 塩素燐灰石 Ca5(PO3)Cl
ただし炭酸フッ素燐灰石(Ca(CO3)F)という化石系の変種もある。は?これ炭酸塩じゃない。変種なの? ちなみに人間の歯や骨は炭酸-水酸燐灰石でできているとのこと。何じゃこれ。
ふう、厄介。まあ基本はリン酸カルシウム。リン酸塩だから美石になる可能性を秘めている。石沼民が愛玩するのはもっぱらフルオロ・アパタイト、フッ素リン酸カルシウム。
フッ素もリンも重要元素だけど、フッ素は蛍石から、リンは化石鉱床からの採取が大半で、幸いなことにFアパタイトはあんまお呼びじゃないみたい。
名前は古ギリシャ語で「裏切り」を意味する「アパテー」から。ひどいね。いろんな色と形を取るので、他の石と間違うかららしい。日本語訳にすると「欺瞞石」じゃない。「あなたがたの歯も骨も欺瞞石からできています」なんてね。もちっといい名前はなかったのかい。

こちらは原石版ブルー・アパタイト。明るい青がきらきら。

おなじみ「ネオンブルー」の薄めのやつ。

濃いめのネオンブルーとグリーンブルー。透過光が素晴らしい。

まあリン酸塩とはいえ相手がカルシウムとフッ素なので、重厚感はない。けれども、澄んだ色光は実に美しい。
青版のフローライトと似ているけれど、なんかが違う。「ネオンブルー」と言われるように、光が散乱してきらきらする。リン酸のせいか。

ちなみに、メキシコ産で鮮やかな黄色のアパタイトがあったのだけどあまりに人気が出て掘り尽くされたとか。
硬度が5でちょっと低い。大きな結晶も少ないし。もう少し堅牢ならば超人気の宝石になったでしょうね。
でもとても美しい石。「ネオンブルー」という形容は他の石でも使うけど、やっぱアパタイトのためにあるような気がします。


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