貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

アンソフィライト

2024-05-12 10:38:39 | 国産鉱物

などと言われても「は?」という人も多いのではなかろうか。(自分と一緒にしてはいけませんよ)
直閃石。ああ、あの……何だっけ。角閃石の仲間?

アンソフィライト。Anthophyllite、直閃石。(Mg,Fe)7Si8O22(OH)2。
基礎的な造岩鉱物。「苦鉄質」そのものですな。角閃石という超巨大グループの一員。
とにかく「~閃石」というのはごちゃごちゃでわけわかめ状態。複鎖イノ珪酸塩、つまり繊維(鎖)状結合が二重になっている連中で、単鎖だと輝石。ふむ、なるほど。いやわからん。

しかし直閃石なんかが商品になるなんてめったにない。売る方はよっぽど変わっているし、買う方はもっと変わっているかもしれない。(昨日もそう言ってなかったか?)
でもね、いいんですよ、これ。
岩手県北上市和賀町仙人遠平夏畑鉱山産。

ぱっと見はなんか雑っぽい石だなと思うけれど、そこに直閃石の針状結晶群が輝く。





なんか写真の方がきれい。見た目はもう少し地味。こういうことって時々ある。とあなたを見てて(やめなさい古い) いつもはカメラに文句ばかり言ってるのにね。

直閃石は広い意味での「石綿」に入るけれど、毒性はない。おさらい。
角閃石のうち毒性があり使用・販売が禁止されているものは
  クリソタイル Chrysotile Mg3Si2O5(OH)4。温石綿。
  クロシドライト Crocidolite Na2(Fe2+3Fe3+2Si8O22(OH)2。繊維状リーベック閃石 Riebeckite。青石綿。最も毒性が強い。
  アモサイト Amosite Fe7Si8O22(OH)2。 繊維状グリュネル閃石 Grunerite。茶石綿。

それに対して毒性はないとされているもの。普通に売られている。
  アンソフィライト
  トレモライト 透閃石。Ca2(Mg,Fe)5Si8O22(OH)2。
  アクチノライト 緑閃石。(Ca2(Mg,Fe)5Si8O22(OH)2。

トレモアクチノも持ってるな。(わざと際どい所狙ってる?)

     *     *     *

アンソフィライトはそれ自体ではまず商品にはならないけど、複合石として珍重されるものがある。ヌーマイト。
ここでも何度か上げている、39億年前の古ーい岩石。こちら。実はヌーマイトがアンソフィライト主体だということをあちきは忘れていた。(やっぱねw) アンソフィライトとジェドライト(Gedrite、礬土直閃石/ジェドル閃石、Mg5Al2Si6Al2O22(OH)2)が層構造をなしていて、そこでラブラドライト状の虹色が光る。とても美しい石です。ちょっと撮り直してみようかな。

まあ直閃石にしろ他の角閃石にしろ、地殻の基礎を構成する重要な鉱物と言えますわな。熱水性の華々しい結晶たちとは別に、こういう渋ーい力強い姿を味わうのもまた岩石趣味の一端ではないでしょうか。なんてね。
(この前、きらきらならどーでもいいじゃんとか言ってなかったか?)
あれは魔境です。


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