磧礫(せきれき)
0■磧礫(せきれき)
ただの石ころかも知れない
私たちは激しい水の中
いのちを削り削られながら
いくさを聞く流るる川音に
あなたと拾い集めた日々は
岸辺の石だったかも知れない
石には森や木やそよいでて
二人にはそれが世界だった
ふと胸をつらぬく 互いの目をみつめ
あの時さびしさを聞いた
難儀(なんぎ)なものです 人の世は
人と人とがなぜ難しい
でもふたりは知っていた
なぜこんな石ころが美しいのか
吸い込まれてゆく石の中には
老いさらばえた夢が見える
気嵐(けあらし)や寒茜(かんあかね)
森羅万象を石は映している
石ころ積み続けても石ころひとつ
残せぬ人生を笑うな 最後は誰もさざれとなる
不思議なものです 人の世に
人と人は通います
そうわたしには今もあたたかい
こんな石の心はがとてもあたたかい
頑なな岩だった私たちは
川原の丸い石を拾った
「歌詞のようなブログ」
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