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円取引量、22年介入に匹敵か 「激しい値動きに声失った」 佐伯遼

2024-04-30 16:25:13 | 日本経済・金融・給料・年金制度



29日の外国為替市場で円相場が1ドル=160円を付けた後に急騰した。

市場では政府・日銀による為替介入があったとの見方も浮上する。財務省の神田真人財務官は30日もノーコメントを貫いたが、市場参加者の間では為替介入の「証拠」探しが進んでいる。

 

一方向の円安進行に歯止めはかかったものの、米利下げまでの時間稼ぎにしかならないとの声は根強い。

「ドル円相場が円安方向にあんな動きをするのは初めて見た。(急落とその後の急騰について)だんだん声も出なくなるような激しい値動きだった」。祝日の29日も出勤していた邦銀の為替ディーラーはこう振り返る。

 

日銀が金融政策決定会合を開いた先週26日、円相場は1ドル=155円台から158円台まで下落した。祝日だった29日の東京市場では、政府による為替介入を警戒し休日出勤する外為市場の参加者が多かった。

そこで市場が目の当たりにしたのは一瞬で158円から160円まで急落するフラッシュ・クラッシュのような異例の値動きと、大規模な円買いによる急反騰だった。

 

29日午前10時30分すぎに急落し、34年ぶりに1ドル=160円台の大台を付けた。祝日で輸出企業の円買いが細るなか、投機筋の円売りが円相場を押し下げた。

雰囲気が変わったのが午後1時すぎだ。円が断続的に上昇し、一時154円40銭まで円高が進んだ。円安に振れるのを阻止するような断続的な円買いが続いたことで、市場では為替介入との観測が強まった。

 

SMBC日興証券の野地慎チーフ為替・外債ストラテジストは「投機筋に対して160円を超えて円安が進むのは難しいという印象を植え付けるには効果的なタイミングだった」と指摘する。

政府は為替介入の実施について認めていない。神田財務官は30日午前、「過度な変動が投機によって発生すると国民生活に悪影響を与える」と強調したものの、介入の有無については「私から申し上げることはない」と語り、言及を避けた。

 

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神田真人財務官は介入の有無について明言を避けた

 

参加者は介入の証拠を探し回っている。米ゴールドマン・サックスによると、電子ブローキングシステム(EBS)における29日の円の取引量は約700億ドルと、2022年10月21日に政府・日銀が為替介入に動いた際の規模に匹敵するという。通常ではみられない円取引量の膨張が介入実施を示唆する。

市場で介入観測が浮上したタイミングは3回あった。日本時間29日の午後1時ごろと午後4時ごろ、30日午前1時台だ。介入規模は3回合計で数兆円規模との見方が浮上している。その「答えあわせ」として市場が注目するのは、日銀が30日夕に公表する5月1日の当座預金残高の見通しだ。

 

政府・日銀が円買い介入を行うと民間金融機関が日銀に預ける当座預金から円が国庫に移動し、当座預金が減少する。

決済は2営業日後になるため、29日の為替介入は5月1日の当座預金残高に反映されるとみられている。短資会社は介入を反映しない残高予想を別途出しており、その差額が介入規模として推測される。

 

主要通貨に対する円の値動きからも介入の足跡が見え隠れする。

円相場は前週、各国の通貨に対して独歩安となっていた。日銀の植田和男総裁が26日の記者会見で足元の円安について「基調的な物価上昇率に、ここまでの円安が今のところ大きな影響を与えているということではない」と言及。足元で進んでいる円安に対応した利上げは遠いとの見方が広がり、円安・ドル高が加速した。

 

ところが29日の大規模な円買いで相場は急反転した。対ドルで上昇したのと同様に、他の通貨に対しても円高が進行。一時1ユーロ=171円台と単一通貨ユーロ導入後の最安値を付けていたユーロに対しては165円台まで上昇。1ポンド=200円を超えて円安が進んだ対ポンドでは193円台を付ける場面もあった。

ドル以外に対する円の取引は基軸通貨のドルを介して取引することも多く、対ドルの円高が波及しやすい面がある。例えば円高・ドル安が進んだ一方でユーロ・ドルの相場の水準が不変なら、対ドルの円高を受けて円高・ユーロ安が進むことになる。

 

円は一夜にして全面安から全面高となった。日本や世界の経済環境に大きな変化がないなかで、前週までの流れを変えるほどの大規模な円買いが入っている。

日本が祝日で国内勢の円買い意欲も乏しく、これほどの買い手は当局しか見当たらない――。市場にはそんな思惑が広がる。

 

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市場では為替介入の有無に加え、その効果にも関心が集まる。野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは「初動として155円超えまで持って行った。

時間を稼ぐという短期的な効果はあったといえる」と指摘する。

 

今後の焦点は効果の持続性だ。みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジストは「再び介入があるかもしれないという警戒感は拭えず、円売り・ドル買いを抑制する効果はある」と指摘する。「為替介入」があった1ドル=160円を政府・日銀の「新介入ライン」として警戒する声もある。

ただこうした効果はあくまで「円安・ドル高トレンド」の転換を待つ時間稼ぎにすぎない。30日の東京市場でも早朝の1ドル=156円台前半から10時50分ごろには157円台まで下落したように、国内勢のドル調達意欲は依然として根強い。

 

りそな銀行の田中春菜アドバイザーは「160円を付けたことで(一定の水準を超えるとオプション市場でドルを調達する権利が消失する)ノックアウトが発生し、ドル需要は足元で増加している」と指摘する。

米連邦準備理事会(FRB)の早期利下げ観測が後退するなか、5月1日には米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表やパウエル議長の記者会見も控える。

 

日米金利差など円安をもたらしてきたファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)が変わらない限り、介入をしても円安基調は不変――。

円安に振れた30日の東京市場はそんな市場参加者の心理を映しているかもしれない。

(佐伯遼)

 

 
 
 
 
 
 
日経記事2024.04.30より引用
 
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※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

 

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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト

 

ひとこと解説

東京が休場の4月29日にドル/円相場は一時160.24円まで円安に動いた。

平成以降のドル高値は90年4月2日の160.35円。非常に大きな節目にあと10銭ほどまで迫った。

4月のドル/円は上旬に150円台後半で推移する場面もあった。

1か月以内に大台が10円も動いたわけで、G7・G20が容認する、為替が「過度な変動や無秩序な動き」をした場合には経済に悪影響が及び得るので値動きを落ち着かせるため実施する「スムージングオペ」の発動要件は、十分に満たされたと言える。

神田財務官は介入の有無に関して明言を避けているが、米紙ウォールストリートジャーナルはこの問題に詳しい人々の話として、介入があったと報じた。

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