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オウンドメディアは司令塔的存在がいなければ成功しない

オウンドメディアに失敗した企業

以前、「専門の部署を立ち上げ、人員も十分に当てたにもかかわらず、オウンドメディアがまったくの失敗に終わった企業」を紹介しました。

また、「オウンドディアの担当者にはどういった人材を当てるべきか。どういった体制にするべきか」も書いています。

最初の記事に取り上げた企業の失敗の原因は、「司令塔がいなかった」に尽きます。

今回はその企業を題材に、2つ目の記事の趣旨に合わせ、「オウンドメディアの運営には、なぜ司令塔が必要か」と「司令塔がやるべき仕事はなにか」について考えてみます。

失敗したオウンドメディア担当部署と本来あるべき担当部署

今、振り返ってみると、題材にした企業はスタートから間違っていたのがよくわかります。人員の配置が、紙の広報誌を作っていた時代のままでした。

その企業がとっていた体制

その企業のオウンドメディア運営体制は以下の通りでした。

  • ・オウンドメディアを担当する部署として「編集部」を置いた
  • ・編集部の人員は専属の社員3〜4人。加えて、外部スタッフも専属でいた
  • ・経営トップが「編集長」を務めた。ただし、これは名目上で、実務にはタッチしていない

この体制の問題点は以下の通りです。

  • ・社員も外部スタッフも、記事制作要員以外はいなかった
  • ・編集部員とはいうが、記事制作の知識もなく、ほかの部署からの転用だった
  • ・記事の制作に終始し、ユーザー視点での戦略的な運営ができていなかった
  • ・外部のリソース利用はライターやカメラマンがせいぜいで、各分野の専門業者をまったく使っていなかった。サイトとしてのレイアウトがおかしいのも「制作業者との契約が切れて、直せない」としたぐらいだった

つまり、専門性の高い人員を配置できておらず、デジタル人材の重要性に対する経営層の理解も不足していたため、社員数300人程度の企業とすればぜいたくな人数を配置しながらも無為な活動に終始してしまったというわけです。本来あるべき適切な人員体制からはかけ離れていました。

「編集部」「編集長」「編集部員」の名前を使ったのも失敗につながったのかも知れません。これでは印刷物の広報紙を作っていた時代と同じです。「デジタルシフト」はまったく念頭になく、単に「『紙』でやっていたことを『ネット』に移した」ぐらいのとこだったのではないでしょうか。

本来あるべき体制

オウンドメディア総括責任者(1名)

  • ・デジタルマーケティングの知見を有する役職者
  • ・編集方針の決定、外注管理、予算統括など全体をコントロール

コンテンツ企画・制作担当(2〜3名)

  • ・ターゲット理解力、クリエイティブ力のあるコンテンツクリエイター
  • ・ネタ出し、ライティング、撮影、編集など制作を一手に担う

ウェブ解析・マーケティング担当(1名)

  • ・ウェブ解析、SEO対策、デジタル広告運用などの専門知識を持つ
  • ・ユーザー動向分析、施策の最適化、効果測定を実施

加えて、デザイナーや編集者、ライター、カメラマンなど外部の専門性の高い人材を確保しておかなければいけません。特にウェブ解析・マーケティングの分野では専門業者との連携も必要です。

こうやって、デジタル人材の専任配置と、コンテンツとマーケティングの両輪が機能することで、オウンドメディアの継続的な改善サイクルを回すことができます。

これらの中であえて1人だけ最重要人物を挙げると総括責任者です。その総括責任者が適切な権限とリソースを持ち、メンバーの専門性を生かせる体制を構築します。つまり、「司令塔」となる必要があります。

最少人数でオウンドメディアを運営するには

何人もの社員をオウンドメディアに当てられないところも少なくないでしょう。その場合、割り切ったやり方をしなければいけません。

担当者を1人だけならば残すのならばディレクションの能力のある社員

もし、1人しかいなければ当然、その担当者には幅広い役割とスキルセットが不可欠です。

まずは、デジタルマーケティング全般に亘る高い専門性が不可欠です。マーケティング戦略の立案、ウェブ解析、SEO対策、コンテンツ企画、プロジェクト管理など、あらゆる役割をこなせる知識が必要になります。加えて、デザインやコーディングなど一部の技術的なスキルも身に付ける必要があるでしょう。

一方で、コンテンツ制作の実務作業などは、内製化するよりも外部の専門業者に委託した方が現実的です。そのため、その1人だけの担当者にはベンダーマネジメントの能力、すなわち外部リソースを適切に選定し、ディレクションを行う力が求められます。

さらに、デジタル分野は変化が激しいため、常に自己学習し続ける強い意欲と行動力も不可欠となります。1人で総括的に全てを担う以上、主体性と向上心を持ち続ける資質が重要なのです。

間違っても専門知識や適性がない、興味もない人間を担当者に当ててはいけません。思いつきや消去法で人選しても、おそらくその人は任に耐えられないでしょう。どうしても適任者がいない場合は、新規採用を選択肢に入れなければいけません。

上司にもデジタルリテラシーがないと担当者は孤立する

特に1人体制の場合、オウンドメディア担当者の上司にも、デジタル分野に関する理解が欠かせません。マーケティング、ウェブ解析、SEO対策などの専門用語や重要性を把握し、部下の適切な人事評価を行える知識が必要不可欠です。

同時に、デジタル人材の確保と育成に対する強い意識を持つ必要があります。デジタルリテラシーの低い上司では、優秀な部下の能力を十分に生かせず、モチベーション低下も避けられません。部下の成長を後押しし、適切な権限とリソースを与えることが何より大切です。

加えて、上司自身のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進への強い意欲と行動力も求められます。部下の活躍を支援するだけでなく、経営層に対してデジタルシフトの重要性を力強く提言し、会社全体のDX化を主導できる資質が必要となるでしょう。

こうした高いデジタル・リテラシーと推進力を備えた上司がいなければ、1人体制の部下は適切な評価を得られず、孤軍奮闘を強いられます。上司自身のデジタル化への理解と本気度が、成否を分ける大きな鍵となるはずです。

デジタル人材は内部育成・新規採用、どっちにする?

オウンドメディア担当者、上司ともに適切な人材が不在の場合、内部育成と新規採用の2つの選択肢があります。それぞれのメリット・デメリットは以下のようになるでしょう。

【内部育成のメリット】

  • ・コスト削減が図れる
  • ・社内の文化・ノウハウの継承が可能
  • ・デジタルマインドの浸透が会社全体に広げやすい

【内部育成のデメリット】

  • ・時間と手間がかかり、成果が出るまでに期間を要する
  • ・社内リソースに限界がある場合、育成の質が十分でない恐れがある
  • ・デジタル先進企業の最新知見を取り入れにくい

【新規採用のメリット】

  • ・即戦力を確保でき、スピーディーな体制構築が可能
  • ・デジタル先進企業での実績を持つ人材を登用すれば、最新の専門知識を取り入れられる
  • ・フレッシュな視点の導入により、組織のデジタル化が促進される

【新規採用のデメリット】

  • ・人件費の高騰などコスト増が避けられない
  • ・デジタル人材の獲得競争が激しく、良質な人材の確保が難しい
  • ・社内とのミスマッチや組織文化の違いから、なじめない可能性もある

このように、どちらの選択肢にも一長一短があります。社内の状況を見極めて判断しないといけません。

オウンドメディア成功への取り組みこそ、DX時代の生き残りをかけた試練

今回のケーススタディに挙げた企業の失敗をオウンドメディアの話だけに留めるべきではないでしょう。

オウンドメディアとは、マーケティングとITが融合した新しい領域です。そのための人材を確保しようとはせず、ノウハウにも興味を示しませんでした。DX全般に向けた体制と意識が大きく遅れていたと見るべきでしょう。デジタルシフトへの危機感の欠如、人材育成の怠慢、経営層の理解不足ですから、構造的な問題が根底にあったはずです。

このまま手をこまねいていれば、同社は次の時代への対応から取り残されてしまう恐れが極めて高くなります。AIやIoTなどの新技術の活用が進む中で、デジタル化への遅れは企業存続の危機にもつながりかねません。

オウンドメディアは、おそらくは、デジタル時代に企業が取り組むべき最重要課題です。そこでの成功を通して、デジタル人材の獲得と育成、DX推進態勢の確立などを実現できます。

経営陣が本気でデジタル変革に取り組む決意を持ち、オウンドメディアを最重要プロジェクトと位置付けることが何より肝心です。そうでなければ、この企業の二の舞になり、時代に取り残されてしまうリスクが高くなるでしょう。

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