ゴールデン・ウィーク中、久しぶりに書棚から取り出して読み返した本の後書きに、新聞記者が寄せたこんな一文がありましたので皆さんにご紹介致します。(※一部編集・抜粋)
◆ ◆ ◆ ◆
今の政治には期待を抱けない。 望みをかけられない。
これが最大の問題ではないか。
歴史上、転換期には必ず 〝悪党〟 が現れて時代を変えた。
平清盛・織田信長、いずれも旧来の社会制度・伝統・因習を叩き潰して新しい時代への道を開いた。
『太平記』の足利尊氏も、南朝の忠臣・楠正成でさえも悪党と呼ばれた。
決して悪人のことではない。 強い人、頼もしい人に近い。
終戦後の日本では大小の悪党が走り回っていた。
保守本流の吉田茂を始め三木武吉・松野鶴平・岸信介、いずれも悪党の顔・・・河野一郎・池田勇人や佐藤栄作も悪党の匂いがする。
田中角栄は悪党の時代の最後のヒーローだ、と言ってよい。
現在の政治家には強さと個性が欠如している。
よく言えばアカ抜けしているのだが、頼もしさが全くない。
〝優等生〟である。
ますます激しい国内外の情勢に対応していくには、新しい政治の流れを作っていかなくてはならない。
既成勢力の枠を超え既得権を排除していくため、力強いリーダーシップが必要だ。
今こそ悪党が必要不可欠ではあるまいか。
先日政治記者の先輩と焼き鳥屋で酒を酌み交わした。
70歳を過ぎて、なお雄弁。
「田中角栄は悪党かもしれないが、何かやってくれるという期待感があった。ところが今は期待感なんてどこを探してもない。」
隣のの席で見知らぬ中年サラリーマンがいきなりテーブルを叩いた。
「そうだ、その通り!」
◆ ◆ ◆ ◆
思わず私も机を叩きたくなるような文章ですが・・・この 『田中角栄回想録』 (早坂茂三・著 集英社文庫・刊)が出版されたのは、今から30年以上前の1993年。
残念ながら、それから現在に至るまで日本の政界は何ら変わることなく・・・いや、むしろ更に劣化しているとさえ言えましょう。
喧嘩もしたことないような優等生の世襲議員やハニトラに引っかかった媚中議員ばかりが幅を利かせる政界に、戦後最大の危機に直面している現代日本を救う頼もしい悪党 は、果たして出現するのでしょうか?