認知症と美しい老後

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1753662
サイト名称
認知症と美しい老後
URL
http://narikawayuichi.jp
紹介文
緑協和病院院長の成川有一です。認知症についてブログ内でご相談をお受けしています。お気軽にご相談ください。
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※最新の記事

  • 想い出は風の彼方に(96)
    夜間の救急患者が当直の脳外科医から内科の浩司に回されたのは2月の寒い朝だった。26才の男性で不明熱による入院だった。何故、当直の時間帯に脳外科での入院となったかは分からないが、39°Cの高熱が3日前から続いていた。熱型は弛張熱(日内変動が1…12月11日 18時00分
  • 想い出は風の彼方に(95)
    こうして綾子の専業主婦としての生活が始まった。主婦業も始めてみると、それなりに忙しい。先ずは家のカーテンを変えてみた。柄物の布地を買って来てミシンで縫って行く。ヒマワリが咲き乱れる絵模様をデザインしたカーテンに心が引かれた。少し眩し過ぎると…12月09日 18時00分
  • 想い出は風の彼方に(94)
    その数日後には、綾子が二人のマンションに戻った。使われなかったベビーベッドが、寂しく彼女の目には写った。誰も吸わない母乳が、まだ沁み出て来る。そんな女の生理を綾子はしばらくの間、持て余していた。洋服箪笥の中には、赤ん坊の下着やオムツが丁寧に…12月07日 18時00分
  • 想い出は風の彼方に(93)
    会社からお見舞いとして、果物籠が届けられた日の夕方、綾子と兄は久しぶりに兄妹喧嘩をした。「綾子、母さんの言う通りだ。会社なんか辞めちまえよ。篠木が可哀想だ、何の為にお前と結婚したんだ。家の中で夫を支えるのが、妻の役目だろう」「何を古くさい事…12月05日 18時00分
  • 想い出は風の彼方に(92)
    綾子は退院後、1ヶ月ぐらいは実家で寝たり起きたりの生活をしていた。浩司は週に2度ぐらいは綾子の元に帰り、夕食を供にしていた。しかし、市中病院での仕事が遅くまでかかると、病院近くの中華料理屋とか和定食の店で食事を取り自分のマンションに戻って行…12月03日 18時00分
  • 想い出は風の彼方に(91)
    市中病院で、浩司はまた忙しい日々を過ごしていた。日本でも頭部CTスキャンが少しずつ普及し始めていた。最初に生産されたX線CT(EMIスキャナーと呼ばれた)は脳の断層撮影に用いられた。2つの断層データを得るのに約4分かかった。そして断層画像を…12月01日 18時00分
  • 想い出は風の彼方に(90)
    沢近医師は、優しさの中にも冷静さを失わずに浩司を受け止めた。「篠木、落ち着け。それで奥さんの性器出血の方は止まっているのか?」「まだ、ここの院長先生に今朝はお会いしていないので性器出血の事は分かりません。しかしDICが合併されているとなると…11月29日 18時00分
  • 想い出は風の彼方に(89)
    綾子の母親は、思った以上に冷静だった。電話をしたばかりの時は、少し涙ぐんでいるようだったが直ぐに落ち着きを取り戻し、「綾子さえ無事なら良いわよ。あなた達は未だ若いんだから、子供はこれからでも作れるわよ」と、逆に慰められた。その綾子の身も未だ…11月27日 18時00分
  • 想い出は風の彼方に(88)
    こんな小さなクリニックで、本当に大丈夫なのか?…浩司は限りない不安を覚えた。出来るなら母校の大学病院に連れて行きたかった。しかし、輸血までしなければならない状態で大学まで搬送するなんて事が可能だろうか?…浩司は胸の中で一人煩悶していた。やが…11月25日 18時00分
  • 想い出は風の彼方に(87)
    綾子は妊娠38週目には実家に帰った。それに伴い浩司も綾子の実家で寝泊まりする事が多くなっていた。二人のマンションから綾子の実家までは、車で30分くらいだ。医師国家試験が終わった直後に、浩司は車の免許を取り、医師になってからはマイカー通勤をし…11月23日 18時00分
  • 想い出は風の彼方に(86)
    綾子は総務部秘書課に配属された。数ヶ月間の研修後、常務取締役の秘書に任じられた。常務の秘書は定員が3名で、最古参は40才で男性の木村、次席がやはり男性で32才の川上だった。常務の福原は原油の買付けと為替動向のチェックが主たる業務であった。先…11月21日 18時00分
  • 想い出は風の彼方に(85)
    沢近医師の言葉は、さらに続く。「篠木くん、若い君だったら街で美しく可愛い女の子に出会ったら、名前を知りたいと思うだろう?」「そうかもしれませんね…」そう言いつつ、頭の片隅で綾子の事を思い浮かべた。沢近医師は得意気に、「だろう!…あわよくば、…11月19日 18時00分
  • 一成さんへの回答
    77才だったお母様は、78才になったのでしょうか?長谷川スケールが22〜23点 だったのが28点ぐらいにまで改善して来たと、前回は伺った様に記憶しています。それが現在ではバラつきはあるものの23~27 点ぐらいで経過しているとの話ですが、少…11月18日 22時21分
  • 想い出は風の彼方に(84)
    翌月曜からは、内科の実習だ。実習期間は6週間と長い。先ず消化器内科で胃カメラや大腸ファイバーの実地研修を受けた。そして胃透視の指導を受ける。バリウムを飲ませながら透視台の患者を色々な体位に誘導してレントゲンを撮って行く。X線予防着には鉛が入…11月17日 18時00分
  • 想い出は風の彼方に(83)
    綾子と母親は、二人の酔っ払いを後にして明日の食事の下準備にかかった。何時もだったら、今夜のオデンの残りで適当に朝食を済ませるのだが、浩司が泊まって行くとなると、そうもいかない。第一、綾子の気持ちが済まない。恋人の浩司に残り物のオデンを食べさ…11月15日 18時00分
  • 想い出は風の彼方に(82)
    冬の夜は早かった。公園の中は真っ暗だった。しばらく二人は何も言わず、ただ抱き合っていた。浩司が何を悩み苦しんでいるのかは分からなかったが、浩司の気持ちの鎮まるまで彼女は待ち続けていた。その内、浩司の口からポツリポツリと言葉が漏れ出した。「俺…11月13日 18時00分
  • 想い出は風の彼方に(81)
    浩司の心は鬱積(うっせき)していた。このまま家に帰る気にもならなかった。足は何時しか酒屋の吉村の家に向かっていた。医学部の同級生とは話をしたくなかったが、誰かと話はしたかった。まるで関係のない吉村が急に懐かしく思えた。夕方6時前には吉村の家…11月11日 18時00分
  • 伊藤裕子さんへの回答
    どの様なお話しをしたら言いのか途方に暮れます。47才の妹さんの辛さは、彼女以外の誰にも分からないでしょう。気管切開をすべきかは、答え様もありません。ただどの様にしたら妹さんが今の苦しみから少しでも逃れられるのか、その事を根本にして考えて行く…11月11日 12時27分
  • 想い出は風の彼方に(80)
    「仮面ライダーなんて、ぼくの病気を少しも治してくれないよ。どこが正義の味方なんだ?」弱々しい声ながらも和也くんはママに噛みつく様に迫った。ママは幾らか困った顔で、「そうね、仮面ライダーはどうしたのかな…でも、小林先生がいるじゃない。和也の病…11月09日 18時00分
  • 想い出は風の彼方に(79)
    こうして和也くんの厳しい闘病生活が始まった。2度にわたる開腹手術、抗癌剤治療など、ただの延命治療に過ぎないが医師たちの闘いも過酷であった。まだ延命治療と云う概念も乏しい時代であった。「生命の尊厳」こそが、医療の最大目的であった。抗生剤の開発…11月07日 18時00分
  • 想い出は風の彼方に(78)
    精神科実習の次は小児科病棟であった。小児科のベッド数も45床だった。大学病院の小児科病棟は、市中病院では見られない重症例が多い。小児癌、白血病、難治性の間質性肺炎、気管支喘息の重積発作などだ。浩司の実習中の担当患者は、関山和也くん4才だ。病…11月05日 18時00分
  • 想い出は風の彼方に(77)
    浩司の指導医は落ち着いた口調で、彼の質問に応じた。「確かに篠木君の言う通りだ。彼女がシンナー中毒から真に解放される為には、それに代わる何かが必要だろうね。彼女の精神的な支えになってくれる良きパートナーの様な人間が見つかれば、シンナーに頼らな…11月03日 18時00分
  • 介護初心者の方への回答(4)
    基本的にはレビー小体型認知症だと思いますが、稀にはレビー・ピックコンプレックス(レビー小体型認知症とピック病の合併)の疑いも捨てきれません。「ただ体調を崩す機会が何度かあり、救急科にお世話」になったとありますが、どの様な状態で救急外来に行か…11月02日 09時52分
  • ご質問と回答欄
    これからのご質問は、すべてこの欄で承ります。ご質問はこちらからスマホをご使用の方は、このページの左下にあります「コメントを書く」からお願いします。ご質問と回答欄のトップへ戻る11月01日 18時01分
  • 認知症の質問を受けつけます。
    横浜市青葉区にあります緑協和病院の成川と申します。これからは皆さま方の貴重なご意見を拝聴しながら、認知症の治療に取り組んで行きたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。 先ず認知症と昨今言われている概念ですが、大雑把に言えば、脳…11月01日 18時01分
  • 想い出は風の彼方に(76)
    奇妙な関係の生活が1年半ほど続いていた。百合子の母親は、彼女にその闖入者を「お父さん」と呼ぶ事を幾度となく強要したが、彼女はどうしても「お父さん」とは呼べなかった。「あの、ちょっと出かけて来ます」という様な言葉が、精一杯だった。それは、百合…11月01日 18時00分