逢魔時堂

登録ID
1852105
サイト名称
逢魔時堂
URL
http://yuzuriha-shiho.hatenablog.jp/
紹介文
闇に慣れると人の目は宵闇の暗さに慣れ、暗闇の中でも物の形が区別できるようになる。それは、人の心の闇にも似ている。
カテゴリ
  • 現代小説 (30%) - 12 / 59人中
  • 長編小説 (30%) - 8 / 66人中
  • Web小説 (40%) - 19 / 115人中
  • ※表示されている順位は重複を含まないため実際の順位より低くなる場合があります。

※最新の記事

  • 四月馬鹿.7
    夕方、ささやかなリフレッシュタイムだったがすっかり元気になった私たちは逢摩堂へ戻り、しばらくすると上京組から第一報が入った。 「首尾は上々。追って詳細」 とある。まるで電報のようなメールである。 こう、なんていうか――もうちょっと具体的に書…02月22日 01時05分
  • 四月馬鹿.6
    さて、いよいよの四月一日。 ここまで来たらあとは氏にお任せするしかないのは重々承知しているが、留守を守っている私たちは早朝から落ち着かないことおびただしい。 慎重なひなこがガラスの置物に躓いて割ったり、いつもにも増して丁寧に煮物の下準備をし…02月19日 22時40分
  • 四月馬鹿.5
    明くる日、再訪した柊氏に私たちはすべてを白状した。 しばらく呆然と偽茶碗を見つめていた柊氏だったが、本物の在り処を尚も打ち明けられたあと爆笑していた。 「ああ、こんなに笑ったのは生まれて初めてです」 氏は眼鏡を外し、目尻を拭いながらまだ笑い…02月15日 15時51分
  • 四月馬鹿.4
    ボスがその箱を受け取り、開いて「これですじゃ」とごく自然に手渡そうとしてその手が止まった。 「ん?」 急いで残りの二つの箱も開く。 「ん?」「んん?」 ボスのその一連の動きの間に柊氏は最所に開かれたそれを見て 「すばらしい……」 と息を呑ん…02月12日 23時33分
  • 四月馬鹿.3
    ? とにかく、その会が開催されるまであと一月あまりしかない。自然な形でその場に加わる方法はないものか。 その御大尽が何者なのか、事件との関連性があるのかどうかは別問題としても、私たち全員の動物的な勘が動いたからには探りを入れたい。 ひとつに…02月11日 23時12分
  • 四月馬鹿.2
    ? 「それは……しかし、その方の身になれば大変なことですねえ」 京念も話を合わせた。 「やはり、それだけ奥深い世界ということなのでしょうねえ」 会長は茶碗を桐箱に戻しながら低い声音で吐き出すように言った。 「いや、あいつはどう見ても世間に憚…02月10日 00時27分
  • 四月馬鹿
    さて、意外なことに新しい情報は京念からもたらされた。 それはここのところずっと「振り回されている」感が強い彼のクライアントの話題からだった。 古い馴染みの同業種からぜひとも、と紹介されたそのクライアントは、不動産業を幅広く手掛けている人物で…02月08日 15時04分
  • 語り継ぐもの6
    ? 折しも咲良さんの部屋も夕焼けに染まり、それが段々と群青に変化しだしたころ、庭の木戸口を開けて誰かが厨房の方へ小走りに急いでくるのが見えた。 「あ、麦ちゃんだ!」 それは忙しくなった「塀のむこう」が新しく雇い入れた娘さんで、コロコロとよく…02月07日 13時57分
  • 語り継ぐもの5
    つまり私の考えは、咲良さんの茶碗を追う一味と、駒鳥を忘れるなとメッセージを送ってきた人物は同一ではない。全く別の人物ではないだろうか、ということである。たまたま時期が重なったのではないだろうか。 しかしそうであれば誰が一体、なんのためなのか…02月07日 02時59分
  • 語り継ぐもの4
    ? そして私はもう一つの、これもずっと引っ掛かっていたことを話しだした。実はずっと感じていたモヤモヤをひなことふたば、咲良さんに聞いてほしかったのだ。 通りの衆も、件の茶碗についての知識はほとんど無いと言ってもよい。 それは夜咄の夜の驚きぶ…02月05日 00時18分
  • 語り継ぐもの3
    ? そうこうしている内にテーブルにひょいと飛び乗った小雪が茶碗の中の水をちょろちょろと舐め始めた。 「こら小雪。ちゃんとお水茶碗持ってるでしょ。そっちのお水を飲みなさい」 そう言いながら慌てて小雪を抱き上げた私はふと何かが心に引っかかったよ…02月04日 00時08分
  • 語り継ぐもの2
    ? 「いいのぉ」 しげしげと作品を見るボスにひなこは「単なる道具ですよ」と恥ずかしがったが、 「ひなちゃん、みんな道具として作られるんじゃよ。初めっから名品と呼ばれるものは無いんじゃないかの。作り手の目的は元々はそういうもんじゃないかの」 …02月03日 01時53分
  • 語り継ぐもの
    その後も話し合いは何度も開かれた。というよりかは、今やほとんど夕食を共にしている我々だったので食後のコーヒータイム、デザートタイムは咲良さんの部屋で、というスタイルが定着したに過ぎないのだが、みんなで車座になってはああだこうだ、と話し合うと…02月02日 10時59分
  • 玉響6
    「そんなことはない!」 会長にそんなことを叫ぼうとしたとき、会長がふと顔を上げた。 「ん?」 怪訝な顔で私たちを見る。 「え?」 「今誰かわしの背中を撫でたかの?」 「いえ……」 会長の椅子は私たちと少し離れた場所にあり、もちろん後ろには誰…01月29日 21時41分
  • 玉響5
    そのようなことを話していると、店のドアが開く音が聞こえ、店番の猫たちの甘えるような声も聞こえた。 「ごめんなさいよー!」 どうやら来客者は鬼太郎会長のようで、私がはーい、と飛び出す前に会長はすでに部屋まで来ていた。 「おおう、まあ揃いも揃っ…01月27日 13時29分
  • 玉響4
    「やっぱり、それほどの価値があるんだ……」 私たちは件の茶碗が納められた古ぼけた箱を見つめた。 価値があるとは聞かされていたものの、それがどれほどのものなのかを実感する機会があまりなかった。 しかし国際的に狙われているということを聞かされた…01月27日 03時20分
  • 玉響3
    「こんなところでしょうか。他にある?」 私はそう言って両隣を見る。それを聞いたひなことふたばは口々に、私もそう思ってました、と応じた。 その様子を見ていた男たちは目で相談し合ったようだった。ボスが頷き、るり子姉さんが口を開いた。 「その内の…01月25日 18時45分
  • 玉響2
    ? ではみいこさんから――と話を振られ、私は話を始めた。 「いくつかわからないことがあります。それはるり子姉さんが以前この店が――たしか色んな筋から狙われている、と言ったこと。あの後の露敏君の指輪事件やら逢魔時堂の都市伝説やらで、このことな…01月24日 17時20分
  • 玉響
    最所とふたばが新婚旅行へ飛び立ってから一週間後、帰国した二人はかのハリー・ポッターグッズを山のように買い込んできたのでしばし私たちはもちろんのこと、通りの皆もそのコスプレを充分に楽しんだ。 猫たちも各々、作中に登場する四つある寮のシンボルカ…01月23日 11時38分
  • Who Killed Cock Robin? 6
    「それ以来咲良も、五人の娘たちもおらん」 「たくさんの犠牲者が出て変わり果てた姿で見つかった。しかし見つからんかった。五人の娘たちがいた置屋は、他の者は皆逃げたそうじゃ。五人の娘らは誰も見かけんかったと言うておった。――いや、自分の身と自分…01月22日 14時18分
  • Who Killed Cock Robin? 5
    「あの夜――」 少しの沈黙が訪れたあとにボスはまた口を開いた。 「山が崩れた」 「そうじゃ。予兆はあった。昼間から山鳴りがしとった。長老たちはこんな音は聞いたこともない、逃げろと言うた。若いもんは――わしらは、大丈夫じゃ、ちゃんと土留めもし…01月22日 00時58分
  • Who Killed Cock Robin? 4
    あれらがどんな経緯で売られてきたのか知っとるもんはおらんかった。 この地には流れに流れてきたのじゃろう。その世界ではよくあることじゃった。 しかし、咲良にはもちろんのこと、あの娘たちもそんな世界にいたにも関わらずなんとも言えぬ品格があった。…01月19日 23時33分
  • Who Killed Cock Robin? 3
    「駒鳥? 駒鳥じゃと?」 ボスが呻くように呟いた。 「ひなちゃん、すまんがそれ全部読んでおくれ」 はい、とひなこがその歌詞を読み始めた。マザー・グースの中では異例なほど長いのだ。 朗読を続ける途中でボスの顔色が悪いのに気付いた。 「父さん、…01月19日 02時40分
  • Who Killed Cock Robin? 2
    「うーん、なんともはや」 ボスがうめいた。 「こりゃまた疲れるもんじゃのう。まだこの後二回もあるのか。いやいや、楽しみなことじゃな」 それを聞いたひなこと私は噴き出した。 「父さん、私たちは――いえ、少なくとも私は当分行きませんから」 「私…01月18日 01時02分
  • Who Killed Cock Robin?
    こうしてすったもんだの末、ふたばと最所は結婚式を挙げた。 家族のみ立ち会った厳粛な挙式の後は、咲良さんの庭で流行りのガーデンウェデイングパーティーが行われた。 「誰でもウェルカム!」 という二人の希望のまま、それはそれは賑やかな祝宴となった…01月17日 00時36分
  • ひいふうみい11
    「ふーたちゃん! ひーなちゃん!」 やはりふたばはそこにいて、その側にひなこがいた。二人は子どものように足を投げ出し座っている。夜空を見上げながら座っている。 「いーれて!」 そう言って私もふたばの隣に座る。 「風邪ひくぞ、ふたりとも」 三…01月16日 11時10分
  • ひいふうみい10
    「私は! 私はこう見えて剣道二段です!」 最所が顔を真っ赤にして叫んだ。 「ほう、そうじゃったかい」 ボスはそう言いながら件の釣書をガサゴソと引っ張り出した。 「あ、惜しいの。ラグビー男は空手三段じゃ」 「私は、私はこう見えて一応弁護士です…01月15日 03時19分
  • ひいふうみい9
    「他の皆さんは?」 「ああ、今ちょうどリビングでレッスン中なんですよ」 その答えに「じゃ、皆さんによろしく」とまた出ていこうとしたのだが、ドアの前にはるり子姉さんが立ちふさがっていて動こうとしない。 仕方なくデスクに座り、なぁーん、と擦り寄…01月13日 20時55分
  • ひいふうみい8
    しかし、ないことはない。むしろ大いに有り得ることだ。そしてそれが正しいのであれば、ここのところのふたばのイライラがなんとなくわからなくもない。なんだ、そういうことか。 ぷりぷりと怒りながら店先に去っていったふたばを見送り、 「ひなちゃん、気…01月11日 15時40分
  • ひいふうみい7
    それから一週間経ったが最所と京念は顔を出さない。 はじめのうちこそ体調が悪くて歩けないのじゃないだろうか、もしかしたら餓死寸前になっていないかと気を揉んだのだが、様子を見に行ってくれたるり子姉さんは 「放っておきなさい。ったく、なに考えてん…01月11日 01時21分
  • ひいふうみい6
    ここで、この場所で私たちは運命のように出会い、そして心の中の欠けていたものを見つけたのだ。 それは紛れもなく私たちが欲していたものであり、一生手に入らないものと半ば諦めていたものでもあった。 「ボスに――お父さんにそう言おうね。ふたちゃんも…01月09日 23時59分
  • ひいふうみい5
    「さてさて、どう思う?」 ボスは私たちを見る。私たちも答えが出ない。誠に申し分のない縁組なのだ。学生時代にラグビー部でも活躍していたという青年は笑顔の爽やかな好男子でもある。 「うーん……」 ひなこが腕組みをする。 「みいこさん。みいこ姉さ…01月08日 22時46分
  • ひいふうみい4
    そんな折に例の吹き矢事件で道を外しかけ、心底手を焼き、手をこまねき心配していた一人息子を見事な形で更生させてから私たちに並々ならぬ感謝と尊敬の念を抱いている、例の馬井獣医師から「恐れながら……」とふたば宛に一件の縁談話が持ち込まれた。 あの…01月08日 08時00分
  • ひいふうみい3
    さて、しかし大きな変化がなかったわけではない。 ? それは私たち三人に次から次へと縁談話が持ち込まれてくることだった。全くどこで情報を仕入れてくるものか。お相手も年齢、職業、国籍が多岐に渡っており、始めのうちこそみいこさん、ひなこさん、ふた…01月07日 11時26分
  • ひいふうみい2
    ドアがコツコツとノックされ、ボスがうっそりと入ってきた。 「ほれ、わしが言うた通りじゃろ。この娘たちには、この手の話は不要じゃ。下手をすれば、そんなんじゃったら養子縁組の話は無かったことに――と言い出しかねん」 それはまさに図星だった。私は…01月06日 12時14分
  • ひいふうみい
    さてさて、ボスと正式に親子になった私たちだったが、明け暮れに特別の変化があったかと言われると殆どなかった。 相変わらず「ボス」「ひなちゃん」「ふたちゃん」「みいこさん」とお互いを呼び合い、みんなでわいわいとごはんも食べ、そしてお互いの自由時…01月04日 20時20分
  • 夜咄12
    「ったく、これだから年寄りは困ったもんじゃ」 最長老でもあるやまんばばあさまが声を張り上げた。 「三人を見てみい。どう返事をすればいいもんか困り果てとる。ちったぁデリヘルちゅうもん持っとらんのかのぉ。変わらんのぉ、お前さんは」 「ばあさん、…01月04日 15時24分
  • 夜咄11
    「ええ!?」 この声は私たちから漏れたものだ。そうだったのか――しかし思い返してみると確かに初日の面接時に「なぜひなこ、ふたば、みいこなのか」と尋ねた私に「歴代そうなのだ」と答えがあった気がする。しかし以前のひなこ、ふたば、みいこはどこに消…01月03日 19時11分
  • 夜咄10
    佐月さんが「うっ……」と嗚咽した。マスターが肩を撫でている。座はしーんと静まり返っていた。 最所の声は続く。 「そしてその後の悲劇についても、ここで蒸し返す必要はないものと思われます。ここにおいでの皆様方は、一日たりともお忘れになってはおら…01月02日 14時09分