DayDreamNote by星玉

登録ID
1958591
サイト名称
DayDreamNote by星玉
URL
https://blog.goo.ne.jp/daydreamnote
紹介文
創作など。ほぼ幻想系。よろしければお立ち寄りください。
カテゴリ

※最新の記事

  • #65.七色
    【七色】 虹の星で過ごした季節 何通かの便りを土星の人に送った。 それらは一通も届くことはなく、戻ってきた。 便りの束を握り 虹橋のたもとで幾度も足を止め、途方にくれた。 ただ一滴の 虹の雫を求め 七色をなぞった。 虹は溶け、夕陽に焼け、夜…04月20日 10時01分
  • #64.風
    【風】 風の星では絶え間なく風が吹く。 部屋の中にも風は入る。 窓壁扉寝台衣服本…… 朝昼晩何もかもが風に揺れる。 よくよく耳をすませば 風の中に風守の歌が聞こえてくる。 歌を聞き取ろうと ペンを取る。 それを書き記すことができたならと思う…04月19日 16時19分
  • #63.詩
    【詩】 通りで青いうさぎに声をかけられた。 「詩集はいかが」 と本を手渡される。 深い海色の糸で閉じられた青い表紙の本。 なつかしい惑星の色。 礼を言って受け取りページをめくった。 かつて青の惑星で 共に過ごした人と口ずさんだ詩がそこにあっ…04月19日 16時11分
  • #62.毒
    【毒】 蠍の星人から絡まった糸と熟した酒をもらった。 ほぐしながら飲んでください、と。 糸も酒も艶やかでとても美しかった。 持ち帰り糸をほぐしたが簡単ではない。 幾晩かけてもほどけそうになく ほどけないことが分かっていても 毎夜、糸をほぐし…04月18日 15時48分
  • #61.蠍
    【蠍】 この時期、蠍の星の港には赤い雨が降る。 知り合いになった星の人はわたしの言葉を好んでくれた。 が、どんなに好んだものでもすぐに忘れてしまうのだと言う。 明日には忘れる話でも、と蠍は物語を抱きしめ泣く。 その赤い涙はひとすじ光り海に漂…04月18日 15時44分
  • #60.星粒
    【星粒】 水の色が濃くなったのは 夕刻が深くなったからだ。 海底の星粒はひとりで数えるのがよいと分かったのは 金星号に乗った人を見送ってから。 海に潜り声を殺して数え続けた。 金星号はとうに通り過ぎたので もはや二度と会えぬ人なのか、 海の…04月17日 16時12分
  • #59.氷
    【氷】 方位の見えない地を往く。 なにものかを さがしているのかいないのか わからなくなり 夜の深い氷河にもたれ 氷片を握りしめる。 鋭さに幾度も自分は自分でなくなった。 手に余る心と痛みは 凍りつく宇宙の氷山に置くがいい。 心と名のつくも…04月17日 15時54分
  • #58.熱風
    【熱風】 土星の人と笑い合ったのは 太陽が近くなる日 熱い風が吹く惑星の夏だった。 星へ繋がる一本の糸は 度重なる強風で力を失い 切れてしまうことを わたしたちはおそらく分かっていたのだ。 糸の切れ端はもう空には見えないが 季節の激しさは残…04月16日 19時01分
  • #57.花火
    【花火】 打ち上げられた花火を眺めていると 光を帯びた欠片が流れてきた。 花火の音で星樹の葉が散り風に流されるのだ。 森の星で出会った人は 花火音に飛ばされた葉の光り方をとても気に入っていた。 光るのは一夜だけだから、と。 散った欠片を繋ぎ…04月16日 15時49分
  • #56.書物師
    【書物師】 書棚の奥にしまっている緋色の本は 数年前 書房通りの書物師が作ったものだ。 今その書物師が暮らしていた工房は空室で 師も姿を消した。 本を持ち金星塔を上る。 展望台で表紙に手をかけた。 三千三回目だ。 頁をめくることを試みた回数…04月15日 12時11分
  • #55.橋
    【橋】 星の川に架かる橋に辿り着く。 橋の下には銀の星のかけらが流れていた。 いつの時代だったか 土星の人と共に橋を渡り向こう岸に行った。 川を眺め、かけらを数えた。 星の消える刻、戻る時はひとり。 数えた星のかけらだけ暁を迎えれば 時は橋…04月14日 16時03分
  • #54.青砂
    【青砂】 丘を越え海の香りのする方角へ歩くと 青の砂浜が見えてきた。 一面の青砂海岸は 海との境目が曖昧だ。 砂を一掴み握り、飛ばす。 海風に乗せると この砂はどこか別の惑星の 青砂海岸に着くという。 風の軌跡を知る鳥は砂の行方が分かると聞…04月13日 10時57分
  • #53.墓
    【墓】 丘の上の墓所に 石でできた小さな墓がある。 この星を訪れた日には それに草花を飾ったり 貝殻を繋いだ輪をかけたりするのが 慣わしだ。 わたしはここに誰が眠っているのか知らない。 ただこの墓が愛しい。 そのことを墓守の黒ヤギに気づかれ…04月12日 16時01分
  • #52.紙船
    【紙船】 「夏至船に今年こそは乗りたかったのですが この紙で船を折り海へ流しに行きます…」 キツネが言う。 キツネの手元には水玉がびっしりと描かれた紙があった。 ほんの束の間波間を漂うだけの紙船は 行き場を失くしたその絶望でしか行けないとい…04月11日 15時48分
  • #51.酒庫
    【酒庫】 宿の薄暗い階段を下りると 星樹の熟香が香ってくる。 階段は地下の酒庫に通じている。 酒庫には星樹の惑星で作られた酒が寝ているのだ。 番をする酒師は 気まぐれに訪ねた者にグラスを持たせ なみなみと星樹の酒を注いでくれる。 それは焼け…04月10日 16時15分
  • #50.夏至船
    【夏至船】 今夜は森の水辺で夏至の火が焚かれる。 天に上る煙を頼りに森の道を行き炎に辿り着いた。 火の周りでは羽を生やしたヤギ、 王冠をつけた蛙、 草花をまとった小さな人、 などが語らっていた。 輪に加わり、暫く火に当たっていると 港の方角…04月09日 16時21分
  • #49.月
    【月】 土星の人から最後の便りが届いたのは 赤い惑星にとどまって三度目に迎える夏至前 丸い月の夜だった。 夜は短かく行き過ぎ 一緒に月を見ることはなかった。 日が暮れると星のない部屋で ただ小さなランプに灯りをともし 肩を寄せた。 月が歌う…04月08日 10時32分
  • #48.春霞
    【春霞】 霧の惑星で出会った人は船を好んだ。 出会ってすぐ わたしたちは春霞の水上から船に乗った。 交わした僅かな言葉は霧のためか すぐに波間に見えなくなった。 航海の殆どが霧だったことは幸いだ。 霧だけを思い出せばいい。 夏至の前に何かの…04月07日 11時28分
  • #47.荷
    【荷】 空き家になっている森の小屋は 星から星へ荷を運ぶ白ヤギの休み処だ。 温かいお茶を持ち森小屋を訪ね 出立の時間まで白ヤギと過ごした。 白ヤギは言う。 この頃見かけは小ぶりなのにずっしり重い荷が増えて…と。 細い足は誰にもわからぬよう震…04月06日 15時58分
  • #46.水
    【水】 広場に水売りの屋台が出ていた。 水の星から運ばれた様々な色水が並ぶ。 その中からよく冷えた銀色の水を求めた。 水の星で暮らしていたことを 忘れかけては思い出し その度 水を手にする。 そして 思い出す事を何かの色に染めようとしても …04月05日 15時57分
  • #45.軌跡
    【軌跡】 金星塔の小窓から 彼方の惑星へ飛ぶ船を眺めた。 雨雲の切れ間に小さな船影が泳ぐ。 かつて雨の季節 階段ですれ違った彼方の人が別れも告げず乗った船は どこへ向かったのだろう。 どこに着地したのだろう。 あるいは 未だ回遊し続けている…04月04日 15時04分
  • #44.声
    【声】 丘に登る途中 銀色の小さな欠片が飛んできた。 陸に住む魚が 丘の上で ウロコを風に散らせているのだった 痛くて…と魚は言った。 剥がれた所が? 聞くと 魚は途切れ途切れに何かぽつりとつぶやき すぐに口を閉ざした。 魚の声は海風とすぐ…04月03日 15時31分
  • #43.夕刻
    【夕刻】 雨の夕刻。 幻燈に火を灯した。 燃料の星砂が燃え立ち上がる炎は青い。 遠い惑星で出会い一度だけ抱きしめたあの記憶の魂のようだ。 魂はそれを忘れかけた頃に歌を歌う。 時間を知らない青さで。 太陽を見ない日の歌声は更に高く。 炎の芯に…04月02日 15時18分
  • #42.旅人
    【旅人】 金星塔の展望台に上り、 星を見ていると旅人がやってきた。 どこから来たのですか、 問うと 旅人は四方を見回し天に流れるひとつの星を指差したので 塔の壁に書いてあった落書きを思い出した。 「瞬きの間に多くの星は流れ、旅は終わった」 …04月01日 15時20分
  • #41.六月星
    【六月星】 星玉工場でグラスを手に入れた。 高多湿が特徴の六月星で採取した鉱物で作られているものだ。 炭酸水を注いで指で弾くと雨音様の音が鳴った。 六月星で星の人と一日雨音を聞いたことを思い出す。 あれは奏でられた途端に指から溢れ落ちる音だ…03月31日 16時46分
  • #40.琥珀
    【琥珀】 惑星の夜と朝とは 幾度も幾度も永遠に近く 交互に重なっては浮び沈みを繰り返す。 金星稲穂の揺れる夜更け。 琥珀の酒を飲み始めた。 すでに溺れていることを 自分に教えるために。 窓を開け 宙に浮かぶ船の汽笛を聞く。 トランクの鍵を開…03月30日 16時33分
  • #39.箱
    【箱】 雨の夕方。 小さな箱がひとつ 宿に届いた。 箱は透明で中身は見えていた。 水玉。 箱の中には水玉が入っていた。 送り主は誰だろう。 しばらく水玉をながめた。 隣室の音楽師がつま弾く弦の音色が 雨音と混じる。 ああそうだ。 あの曲もこ…03月29日 10時29分
  • #38.酒
    【酒】 弦楽器を演奏し星を巡っている音楽師から 酒を分けてもらった。 遥かM1204星の蔵人が造ったという酒。 その琥珀色は 土星の人と見た金星稲穂のそよぐ光景を思い出させた。 グラスに注ぐ。 あの琥珀に溺れたらよかったのだ。 たった一日の…03月28日 15時16分
  • #37.約束
    【約束】 花を持ち金星塔の階段を上る。 段を千と少し数え上った所に 小窓があった。 窓から星を見るうち 数がわからなくなり数えるのをやめた。 塔の展望台から 星間便の出航を見送る約束。 間に合わないかもしれない。 階段を上り続ける。 船に乗…03月27日 15時27分
  • #36.飴
    【飴】 32惑星で採れる星糖草は食用で その茎も根もとても甘い。 宿の近くにある飴屋では 星糖草を使い飴を作る。 歌を歌う森の少女は よくここに飴を買いに来る。 歌うためには甘い甘い飴がたくさん必要です、 と少女は言う。 乾いた夜に星糖飴を…03月26日 16時16分
  • #35.銀色
    【銀色】 銀色の表紙の本をいつも鞄に入れ持ち歩いている。 33惑星に通っていた頃、 そこに住む書物師が とびきりの星砂染料を使い 銀色表紙の本を作ってくれた。 だが、本の頁はすべて白紙なのだ。 一文字の活字もない頁に 時の流れが浮かび上がる…03月25日 11時05分
  • #34.雫
    【雫】 雫木の森の小さな茶店。 メニューは 雫木の実を炒って淹れたお茶。 樹液入りの焼き菓子。 テーブルには雫木の繊維で織った布。 「この布を頬に当てると、微笑みが戻るのですよ」 と店主が言う。 「本当?」 問うと、 「微笑む頬は壊れやすい…03月24日 15時03分
  • #33.記憶
    【記憶】 土星の人が 21惑星の扉の向こうで 放った言葉を思い出そうとするたび、 あれは言葉ではなく歌だったのかもしれない、 歌ではなく視線だったのかもしれない、 視線ではなく沈黙だったのかもしれない、 と、 気憶の雨粒は 小さく細かく 霧…03月23日 15時48分
  • #32.十三月
    【十三月】 鏡の中 十三月の星で会った鳥が見えた。 鳥は鏡の空を旋回していた。 何か白いものがふわりと手元に落ちてきたので 星の人からの手紙だと思ったが 羽だった。 十三月の星に広がる荒野の色をした羽。 荒野にはいつも 羽が降っていたことを…03月22日 14時58分
  • #31.歌
    【歌】 森の奥深い場所に行くと 羊を連れた少女に出会う。 少女は歌を歌う。 わたしは少女の歌を 言葉に書き記したくて ペンを持つ。 が、 少女はわたしの知っている言葉で歌わない。 ペンを離し じっと耳を傾ける。 羊も一緒に歌っていると気づく…03月21日 16時32分
  • #30.港
    【港】 港のそばの図書庫。 ここで待ち合わせたのだった。 待ち人は船から降りてくるはずだった。 船は何便も着岸したが、 待ち人はどの便からも降りてこなかった。 何年も何ヶ月も船を待った記憶がいつもあり、 ここは待ち合わせ場所という場所になっ…03月20日 16時12分
  • #29.魚
    【魚】 星樹の紅い酒を手に 海の見える丘に登った。 草の上に腰掛け飲んでいると、 陸に住むという魚がやって来た。 一緒に飲んだ。 彼のウロコはすぐにはがれるようで ひらひらと風に飛ばされている。 魚が言う。 「まだウロコが残っているのです、…03月19日 15時06分
  • #28.桜
    【桜】 宿のある町では、 桜の花はとうに散ってしまった。 21惑星で暮らしていた頃は、 毎日桜を見ることができた。 が、 今21惑星の花の季節は終わりを告げたことを、 星間便の船乗りから聞いた。 21惑星の桜で染めた布をトランクから出し、 …03月18日 15時27分
  • #27.破片
    【破片】 光る小さな破片を拾った。 通りかかった牛乳店の配達人が 「これは陸で暮らすことになった魚のウロコですよ、 彼らは慣れない陸で生きるために、 一枚一枚からだのウロコをはがしていくそうなんです」 と教えてくれた。 陽にウロコを透かして…03月17日 17時21分
  • #26.雨足
    【雨足】 しんじつという言葉を覚えました、 雨の中 池の周りをぐるぐる歩いている子ヤギが言った。 それをさがしているの? ときくと首をかしげる。 ぼくはぼくの会いたいものをさがしているのですが そうではない言葉を 知るばかりです…… うなだ…03月16日 14時53分
  • #25.夕暮
    【夕暮】 窓ガラスをたたく音がするので 見ると 夕暮れがいた。 夕暮れを部屋に招き お茶を淹れる。 銀果玉の砂糖煮も添えて。 微笑む夕暮れに 似ていますね、と言うと 夕暮れはさらに微笑んだ。 夕暮れの微笑みは 紫の色だけで絵を描く絵描きの絵…03月15日 16時25分
  • #24.波
    【波】 青玉の実を絞りジュースを作った。 よく冷やして 水玉キツネに持って行く。 水玉キツネは最近引っ越し 海のそばにすんでいる。 「水のような水玉が描きたいのですがなかなか…」 キツネはそう言って 青玉ジュースを飲み干すと 空のコップに小…03月13日 16時59分
  • #23.笛
    【笛】 笛の音をよく耳にする。 Z牧場の羊飼いが よく吹いていた笛の音だ。 あの羊飼いは とうに羊を飼うことをやめて牧場を捨て 別の星へ行ったというのに。 聞こえるのはなぜ。 Z牧場まで行ってみた。 やはり牧場は無人だ。 が、笛の音は止まな…03月12日 09時30分
  • #22.疑問符
    【疑問符】 シャボン屋でシャボン玉液を買い 宿に持ち帰った。 疑問符をシャボン玉に変えるために 液をストローで吹き 窓から飛ばす。 だが 多くの疑問符は シャボン玉にはならず はじけてしまう。 疑問符は疑問符のまま あちらこちらに散らかる。…03月10日 16時17分
  • #21.虹
    【虹】 雨後の夕方、 虹が見えた。 土星の人が残した虹色のマフラーを思い出し、 クローゼットや箪笥をさがしたが見当たらない。 前の宿に置き忘れたのかもしれない。 見当たらないことを嘆くと同時に ほっとしたりもする。 虹が消える前に珈琲を淹れ…03月06日 15時45分
  • #20.彷徨
    【彷徨】 雨の中 黒ヤギが彷徨っていた。 この星のどこかに何かさがしものがあるらしいのだ。 ヤギはとても疲れたふうだった。 体を拭いてやると気持ちよさそうに震えた。 さし出したミルクに少し口をつけて すぐに歩き始めた。 「彷徨いさがすことは…03月05日 15時54分
  • #19.手紙
    【手紙】 届かなかった手紙は 風になると聞いたけれど まれに風にならないのもあるらしくて、 その手紙は再びわたしのもとに戻ってきた。 「世界は例外と予想外だらけですからね こういうこともあるのですよ別料金で炎にすることもできますがいかがでし…03月02日 16時43分
  • #18.香
    【香】 森の中を歩いていると、 白ヤギに声をかけられた。 「森番の人からことづかったのです」 ヤギはそう言って 草色のとてもよい香りのする小袋をくれ、 「これからすぐ土星便に乗りますので」 と去っていった。 小袋を胸に抱くと いなくなった人…03月01日 17時28分