暖冬傾向は2月に入っても続いた。それだけに夜になると雲が広がることが多かった。諸事雑事も重なり、晴れ間を見計らって3日間だけ、未明の夏星空を見ることができた。
午前2時過ぎに海岸に着くとすでに夏の天の川が淡い雲のように東の太平洋上に横たわっていた。薄明開始は午前5時前、暗夜は3時間弱しかない。すぐに波打ち際近くの小高い砂丘に機材をセットした。
姿、形や明るさがよく似た兄弟姉妹のような3彗星を視野に捉えていく。南西の空、おとめ座の62P紫金山第一彗星はたくさんの暗い銀河を縫うように少しずつ東に動いている(画像上中)。
東天のへびつかい座にあるC/2021S3パンスターズ彗星は天の川の星々の中を尾ひれを広げて泳いでいるようにも見える(画像上右)。
薄明が始まって空が白んできた頃にははくちょう座デネブを下った低空に12Pポン-ブルックス彗星がコバルトブルーの姿をみせる(画像上左)。
この3兄弟姉妹は肉眼では見えない10等前後だが、現在てんびん座を13等で密かに移動しているC/2023A3紫金山-アトラス彗星は9月末には一等星くらいの明るさになると予想されている。長大な尾が秋空を飾るかもしれない。