ミニF55/F56のステアリング交換とMFSW有効化

自動車&バイク

BMWミニF55のステアリングを、ステアリングスイッチ(MFSW MultiFunctionSWitch)付きのものに交換し、VO(FA)を書き換えて有効化する。

ステアリング交換

スイッチのみを購入して取り付ける場合でも、ステアリングホイール自体を交換する場合でも、エアバッグユニットを外す必要がある。
エアバッグユニットをいじるので、バッテリーの線を外していく。
エアバッグ制御ユニットは短時間ではあるがバックアップされているので、バッテリーのマイナス端子を外して10分程度放置してから作業を開始する。

エアバッグユニットはステアリングホイール裏側のサービスホールに棒を突っ込んで、内部の金属棒を押し、ロックを外す。
うまく外れれば1分もかからないが、外れない時には全く外れない。

通常はサービスホールにドライバーなどを入れて内部の金属棒を押す。
先端が平らなトルクスドライバーなどが使いやすい。

エアバッグユニットと金属棒は、下の写真のような感じになっている。
赤矢印方向に棒を押すことによって、青矢印で示したプラスチックのロックを押し、外れる。

サービスホール裏側から懐中電灯で照らしてみた。
金属棒の代わりに竹ひごを置いている。
黒く書き足した部分は、プラスチックのロックの概念図だ。

上の写真を見て分かるように、金属棒(写真では竹ひご)をステアリングホイール中央方向に押さなければいけない。
サービスホールにマイナスドライバーを差し込んだ写真が下のものだ。

ロックの爪が斜めになっているので、ロックを外す方向に金属棒は動こうとする。
しかし金属棒の剛性と、プラスチックのロック爪の反力によって、何をやっても外れない場合がある。

5分やって外れなければ1時間やっても、たぶん外れない。
そこでステアリングホイール側の金属爪の所に引っかかっている、プラスチックのロック爪を直接押してしまうことにした。

赤矢印で示したのがステアリングホイール側の爪(上の写真では竹ひごを引っかけている爪)なので、隙間から金属棒やプラスチックのロック爪を押す。
押す為にはステアリングホイールのスポークのカバーを外し、エアバッグユニットのカバーをめくる必要がある。

エアバッグユニットが外れたら、コネクタを外し、ステアリングを抜く。
ステアリングのセンターは対辺16mmのナットで留められている。
スプラインは一部が欠けていて、入るようにしか入らないのでセンターあわせは不要だ。

ステアリングを交換、或いはステアリングにスイッチを付けてコネクタを元に戻す。
スイッチ無しのステアリングではエアバッグのトリガ用の線と、ホーンの線があるのみだ。
ステアリングスイッチを装着すると、CAN+/CAN-と電源線の3本が増える。

コネクタを差し込んだ状態で、運が良ければスイッチのバックライトが、車両のライトONで点灯する。
ホーンが鳴るかどうかも確認し、OKであればエアバッグユニットを元通りに嵌める。

VO(FA)書き換え

MFSWを有効にするには通常のコーディングではダメで、VO(Vehicle Order)を書き換える必要がある。
VOの書き換えにはBimmerUtilityを使用した。
従来のe-SYSを使った方法より簡単で、BimmerUtilityのみで作業が完結する。

BimmerUtilityを使用する為には、車両側のLAN(ELAN)とPC或いはスマートフォンを接続しなければいけない。
ELANケーブルは千円程度(中に入っている部品は抵抗1本だけで、いわゆる変換コネクタ)で購入出来る。
BimmerUtilityは1台のPCにしかインストールが出来ない(1台分しかライセンスがない)ので、インストールするPCはよく考えた方が良い。
PCが壊れた場合は救済措置があるとは書かれているが、申請内容などに関しては不明だ。

Bimmerのページで購入手続きをすると、程なくして(Mailで)ライセンスキーが送られてくる。

有効にする(チェックを入れる)のは249のマルチ機能ステアリングホイールと544のブレーキ機能付きクルーズコントロールである。
下の写真はスマートフォンでBimmerUtilityを実行した時のものだ。

PCの画面だと以下のようになる。
PC版はネイティブのWindowsでのみ稼働し、仮想マシン上では動作しない。

変更(チェックを入れる)したら、車両に書き込んで終了だ。
書き込み(VO)は「音声」と訳されているものがある。

e-SYSの場合は書き込み後に車両の各ECUをリセット(リロード)させる必要があったが、BimmerUtilityの場合は、書き込みだけで完結する。

MFSWが有効化されない場合

VOを書き換えたつもりなのにMFSWが有効化されない場合がある。
これはVOの書き込みが正常に終了していない可能性が高い。
PC版のBimmerUtilityでエラー(DTC)を見て、MFSWのエラーが出ている場合にはコーディングを初期化してから、再度VO変更の書き込みを行う。

MFSWをコーディングで有効化しようとした場合や、他のコーディングで矛盾が生じている場合はVO書き込みが出来ない。

BimmerCodeでコーディングを行ったとすると、最初にバックアップが作られているはずなので、そのバックアップ(BDC,ボディードメインコントローラ)を車両に書き戻す。
当然コーディング内容は消えて初期化される。

BimmerUtilityでも初期化は出来ると思うが、やったことはない。
他のソフトウエアで初期化を行う場合、工場出荷時に初期化してしまうと設定された車両データまで消えてしまうので、再設定が相当面倒になる。
初期化は工場出荷時に戻すのではなく、ディーラからの納車時(メーカ出荷時)に戻さなければいけない。
工場出荷時に戻してしまうと、言語がドイツ語になるなどする。
この場合は焦らずに、再度メーカ出荷時のデータに初期化し直せば良い。
初期化データはVINから取得出来るはずだが、このあたりは私はやっていないので明確なことは言えない。

コーディングを初期化すればVOの書き込みがうまく行くはずだ。
BDCだけの初期化でもうまく行かない場合は、念のため他のモジュール(ヘッドユニットなど)も初期化してみることをお勧めする。
VOの書き込みがうまく行ったら、初期化により消えてしまったコーディングを元に戻して作業終了である。

有効化出来るもの

ステアリング右側の上下矢印ボタン(選曲/選局)、音量調整ボタン、ハンズフリーボタンは有効になるが、音声認識ボタンは動作しない。
ボタン自体は認識するが、これを有効にする為にはBMWAGからライセンスコードを買う必要がある。

左側のリミッタ設定やDCCは動作する。

ENET接続

ENETと接続するにはOBDコネクタ⇔RJ45コネクタの変換ケーブルが必要だ。
内部には510Ωの抵抗が1本入っているだけで、それ以外の電子部品は入っていない。
ENET⇔WiFiのユニットもあるが、有線接続の方が安定で設定も簡単だ。

スマートフォンとの接続は、USB C⇔有線LANアダプタを使用する。
おそらくどんなものでも大丈夫だとは思うが、私は中華製のBENFEIと書かれているものを使用した。

Android14の場合は、以下の設定を行う。
スマートホン本体の設定→ネットワークとインターネット→テザリング⇒イーサネットテザリング ON

スマートフォンとの接続後にPCに接続し直しても、IPアドレスが取得出来ない場合がある。
この場合は車両の電源を切って(ドアをロックして)数分待った後で再度接続するとうまく行く。

有線LANが使用出来ない場合はWiFiかBluetoothを使うことになる。
いずれにしても既存のWiFi APに自動接続しないような設定を行い、モバイルネットワークを切断した上で、ENET接続を試みる。

スマートフォン・PC

PCはWindows10かWindows11のインストールされたものが必要だ。
BimmerUtilityはそこそこ重いソフトなので、8GB程度のRAMがあった方が良い。
私はWindows10の入ったレッツノートで作業を行った。

BimmerUtilityは仮想マシンでは動作しないので、MacにWindowsを入れるような使い方ではライセンスが有効化出来ない。

スマートフォンはAndroid14のものを使用した。
Androidのバージョンの違いによる影響は有線接続だけの問題だと思うので、たぶんAndroid10以上であれば使える可能性が高い。

iPhoneの場合はモデルとiOSのバージョンによって、有線接続が可能な場合と不可能な場合がある。
AndroidスマートフォンでもiPhoneでも、BluetoothやWiFi接続であればOSバージョンによらず使える可能性が高いが、モバイルネットワークへの接続を切らなくてはいけない(OSなどによってはそのままで可能な場合もある)ことや、他のWiFi APへの自動接続をDisableにする必要があるなど、少し手間がかかる。
またENETとWiFi接続するとインターネット接続が切れる状態になるので、インターネットアクセスを行って何かを調べながら作業するという使い方は出来なくなる。
ネットワークは接続されるがインターネット接続が出来ていない状態になるので、スマートフォンによってはその旨のエラーが通知されてくる。

Bluetooth接続であればWiFi接続時のような面倒さはないが、伝送速度が遅い。
こうした点を考えると、有線接続が最も安定で使いやすい。
有線でENET接続すると、そのままBimmerCodeアプリも使えるので、通常のコーディングも素早く行うことが出来る。

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