本記事ではともに米国の優先証券 ETF である iシェアーズ 優先株式&インカム証券ETF (PFF) とグローバルX 米国優先証券ETF (PFFD) をその基準価格 (株価) と分配金 (配当) の観点から比較したものです。
記事の前半では PFF と PFFD の投資対象やベンチマークなどといった基本情報を掲載しています。中盤では PFF / PFFD の基準価格 (株価) の推移を掲載し、記事の後半では分配金 (配当) やその増配率、分配金利回り (配当利回り) といった情報を掲載しています。
- PFF / PFFD の基本情報の比較
- PFF / PFFD の基準価格(株価)の推移の比較
- PFF / PFFD の分配金(配当)、増配率、分配金利回り(配当利回り)の比較
- PFF / PFFD の最新の情報を確認したい場合は...
- PFF / PFFD 以外の ETF 情報を把握したい方へ
- おすすめ書籍
PFF / PFFD の基本情報の比較
まずは PFF と PFFD の基本情報について見ていくことにしましょう。PFF / PFFD のベンチマークや経費率といった基本情報は以下の通りです。
項目 | 内容 |
---|---|
名称 | iシェアーズ 優先株式&インカム証券ETF (PFF) |
運用会社 | ブラックロック社 |
ベンチマーク | ICE Exchange-Listed Preferred & Hybrid Securities Index (USD) |
設定日 | 2007/03/26 |
経費率 | 0.46% |
分配金(配当)の支払い頻度 | 毎月 |
項目 | 内容 |
---|---|
名称 | グローバルX 米国優先証券ETF (PFFD) |
運用会社 | グローバルX社 |
ベンチマーク | ICE BofA Diversified Core U.S. Preferred Securities Index |
設定日 | 2017/09/11 |
経費率 | 0.23% |
分配金(配当)の支払い頻度 | 毎月 |
PFF / PFFD ともに米国の優先証券に投資している ETF ですが、設定は PFF が古く、PFFD は比較的新しい部類に入ります。毎月分配である点は両者共通ですが、経費率が PFFD は PFF の半分に抑えられているのが特徴的です。
さらに、両者の大きな差分はベンチマークとしている指数の違いにあります。PFF が連動しているのは ICE Exchange-Listed Preferred & Hybrid Securities Index (USD) であり、PFFD が連動しているのは ICE BofA Diversified Core U.S. Preferred Securities Index です。
優先株式とは?
優先株式とはそもそも何でしょうか。SMBC日興証券のHPでは、優先株 (=優先証券) について以下のような説明がなされています。
優先とは、種類株式の一種で、他の株式に比べて優先的地位を持っている株式のことをいいます。多くの場合、配当(剰余金)や会社清算時の残余財産を普通株より優先して受ける権利を有する一方、議決権に一定の制限が付された株式のことをいいます。逆に、普通株よりも劣る地位の株式を劣後株といいます。一般的に、優先株が上場されるケースは少なく、事業会社に対する支配規制のある金融機関などが引き受けるのが通常です。
優先株│初めてでもわかりやすい用語集│SMBC日興証券
PFF / PFFD の最新情報
本記事は2024年05月01日時点での PFF / PFFD のデータを用いて記載されています。両者の最新の情報を把握したい場合はそれぞれの ETF の記事ページをご参照ください。
PFF / PFFD の基準価格(株価)の推移の比較
つぎに、PFF と PFFD の基準価格 (株価) を比較してみてみましょう。基準価格(株価)の情報はTradingViewが提供しているデータを用いています。
基準価格 (株価) の時系列チャート
過去1年間の基準価格 (株価) の推移
以下に PFF と PFFD の基準価格 (株価) の推移を掲載します。まずは過去1年間の推移です。青線が PFF、黄色線が PFFD です。
一見して分かるように、両者の基準価格 (株価) の推移はよく似ています。しいて言えば、青の PFF の方が黄色の PFFD よりもやや高めの水準で推移していると言えます。
設定来の基準価格 (株価) の推移
上記のグラフでは PFFD の方やや基準価格 (株価) の水準が低く推移しているようにみえました。
以下は PFFD の設定来の基準価格 (株価) の推移を示したグラフです。2023年以降は黄色の PFFD の方が青色の PFF よりも低く推移していることが分かりますが、2021年までの推移では黄色の PFFD の方が好調でした。
一概にどちらの ETF のほうが基準価格 (分配金) が高いとは言い難いようです。
PFF / PFFD の分配金(配当)、増配率、分配金利回り(配当利回り)の比較
つぎに PFF と PFFD の分配金 (配当) と増配率、ならびにその分配金利回り (配当利回り) の推移を比較していきましょう。
分配金(配当)の情報は当該ETFを提供している会社の公式データをもとに、筆者が作成しています。
PFF の年次の分配金 (配当)、増配率、分配金利回り (配当利回り) の推移
まずは PFF の方から見ていきましょう。年次のデータは各年の最終日の終値を用いて分配金(配当)利回りを計算しています。
銘柄コード | 年 | 分配金(配当) | 増配率 | 終値 | 分配金(配当)利回り |
---|---|---|---|---|---|
PFF | 2023 | $2.0682 | 12.71% | $31.19 | 6.63% |
PFF | 2022 | $1.8350 | 4.53% | $30.53 | 6.01% |
PFF | 2021 | $1.7555 | -4.89% | $39.43 | 4.45% |
PFF | 2020 | $1.8458 | -7.60% | $38.50 | 4.79% |
PFF | 2019 | $1.9977 | -7.61% | $37.59 | 5.31% |
PFF | 2018 | $2.1622 | 1.52% | $34.22 | 6.32% |
PFF | 2017 | $2.1298 | -2.21% | $38.06 | 5.60% |
PFF | 2016 | $2.1780 | -2.72% | $37.20 | 5.85% |
PFF | 2015 | $2.2389 | -10.13% | $38.84 | 5.76% |
PFF | 2014 | $2.4912 | 2.43% | $39.43 | 6.32% |
PFF | 2013 | $2.4322 | 2.06% | $36.83 | 6.60% |
PFF | 2012 | $2.3830 | -4.17% | $39.61 | 6.02% |
PFF | 2011 | $2.4867 | -12.55% | $35.61 | 6.98% |
PFF | 2010 | $2.8435 | -1.54% | $38.79 | 7.33% |
PFF | 2009 | $2.8881 | 4.62% | $36.70 | 7.87% |
PFF | 2008 | $2.7606 | 10.73% | $29.20 | 9.45% |
PFF | 2007 | $2.4932 | 0.00% | $41.50 | 6.01% |
PFFD の年次の分配金 (配当)、増配率、分配金利回り (配当利回り) の推移
銘柄コード | 年 | 分配金(配当) | 増配率 | 終値 | 分配金(配当)利回り |
---|---|---|---|---|---|
PFFD | 2023 | $1.2600 | -1.87% | $19.39 | 6.50% |
PFFD | 2022 | $1.2840 | -2.16% | $19.37 | 6.63% |
PFFD | 2021 | $1.3123 | -1.70% | $25.76 | 5.09% |
PFFD | 2020 | $1.3350 | -2.63% | $25.79 | 5.18% |
PFFD | 2019 | $1.3711 | -2.02% | $25.03 | 5.48% |
PFFD | 2018 | $1.3994 | 190.63% | $22.54 | 6.21% |
PFFD | 2017 | $0.4815 | 0.00% | $24.87 | 1.94% |
分配金利回り (配当利回り) の比較
上記の表をグラフ化したものが以下のチャートになります。まずは分配金利回り (配当利回り) の両者比較を行います。
以下のグラフを見ると、経費率の低い PFFD の方が若干分配金利回りが高いようにもみえますが、2023年に限っては両者同等の水準になっていることが分かります。
増配率の比較
次に PFF / PFFD の年間での分配金 (配当) の変化は確認しておきましょう。
以下のグラフは PFF / PFFD の年間の分配金 (配当) の増配率を示したものです。グラフが上に大きく抜けているのは PFFD の 2年目の増配率で、これはたまたま1年目の分配金 (配当) が少なかったことによるものであまり気にする必要はありません。
それよりも、PFF / PFFD ともに若干増配率がマイナスをたどっている点に注目すべきでしょう。優先証券 ETF の代表格である PFF / PFFD ともに、中長期でじわじわと分配金 (配当) が減っていくような形になっていると言えます。
PFF / PFFD の最新の情報を確認したい場合は...
本記事は2024年05月01日時点での PFF / PFFD のデータを用いて記載されています。両者の最新の情報を把握したい場合はそれぞれの ETF の記事ページをご参照ください。
PFF / PFFD 以外の ETF 情報を把握したい方へ
以下ページで本ブログで取り上げているETFの情報をまとめています。ぜひ他のETFについてもご参照ください。
はてなブログのランキングに参加しています。本記事をいいなと思っていただけたら、ぜひお気軽にバナーをクリックしていただけるとありがたいです。