ザ・ビートルズ:Let It Be(4K UHD/Disney+)|Apple TVで観た映画のレビュー

ザ・ビートルズ:Let It Be(4K UHD/Disney+)|Apple TVで観た映画のレビュー

No Image 原題 The Beatles:Let It Be
レーベル Apple Films Ltd.
制作年度 1970年/2024年
上映時間 88分
監督 マイケル・リンゼイ=ホッグ
出演 ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン
画面 1.33:1&1.78:1(イントロダクション&エンドクレジット)
音声 DOLBY ATMOS 英語
字幕 日本語

あらすじ

1970年、ザ・ビートルズはスタジオで「Get Backセッション」を行っていた。ポール・マッカートニーがリードをとり、メンバーはセッションを行なっていくが、どことなく不協和音が見え隠れしていた。ジョン・レノンの傍にはオノ・ヨーコが絶えず存在していたし、ジョージ・ハリスンは文句を言っていた。

そのセッションの終盤、ザ・ビートルズはApple本社の屋上で「ルーフトップ・コンサート」を開催する。無料で行われたこのライブには、近くを歩く通行人の足を止め、街は混乱に陥っていた。警察も対応に苦慮していたが、ザ・ビートルズの面々は自分たちのパフォーマンスを楽しんでいた。

レビュー

世界的に旋風を巻き起こした伝説のロックバンド、ザ・ビートルズの解散直前のレコーディング風景と、ルーフトップ・コンサートの模様を記録したドキュメンタリー映画が、この「ザ・ビートルズ:Let It Be」です。「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズで名を馳せたピーター・ジャクソン監督が、この時に収録したフィルムをもとに「ザ・ビートルズ:Get Back」という長編ドキュメンタリーを制作、公開して話題になりましたが、それがきっかけとなり、「ザ・ビートルズ:Let It Be」が4Kスキャン&DOLBY ATMOSで修復されて、Disney+で独占配信となりました。映画としての評価は比較的高く、Rotten Tomatoesの批評家評価は79%、観客評価は88%と好意的に見られています。

ザ・ビートルズはこのドキュメンタリー撮影時にはすでにライブコンサートから手を引いていまして、実験的なスタジオレコーディングを繰り返し行っていたのと、ジョン・レノンがオノ・ヨーコと親密な仲になっていったことで、メンバー間に亀裂が生じていましたが、このドキュメンタリーを見ますと、ポール・マッカートニーがボーカルをとり、メンバー間で主導を握っているところが、ザ・ビートルズの解散の予兆を図らずも映し出されています。

映画の中ではジョン・レノンの傍にはいつもオノ・ヨーコがいて、彼女の何も喋らないがそこにいる存在そのものが、ザ・ビートルズのバンドとしての結束を崩壊させていますが、ジョン・レノンからしたら大切な存在であることが一目瞭然です。

スタジオレコーディングでは、メンバー間の会話も少なく、ジョージ・ハリスンが文句を言ったり、絶えずポール・マッカートニーがボーカルを取る演奏をメインに置いています。どうしてもボーカルを取る人を主に捉えてしまうところがあり、ポール・マッカートニー以外のメンバー、ジョン・レノン、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターの存在感は薄いです。

その分、最後の公でのライブとなったApple本社の屋上で行ったライブパフォーマンス、ルーフトップ・コンサートの充実感は素晴らしいものがあります。人気絶頂のザ・ビートルズがいきなり公の場で無料のライブを開催したとなれば、近辺にいた通行人が足を止めてルーフトップ・コンサートに釘付けになるのもうなづけますし、ライブパフォーマンスも魅力的です。

ルーフトップ・コンサートをいきなり行ったことでイギリス警察も対応に苦慮している様子が画面から伝わってきて、その辺の雰囲気も興味深いものがあります。

映画は1970年に制作された作品の4K復元化ですが、2024年に再公開するにあたってピーター・ジャクソンとマイケル・リンゼイ=ホッグによるイントロダクションが追加で挿入されたり、エンドクレジットも2024年のレストア版制作スタッフが追加されていますので、単に1970年版「ザ・ビートルズ:Let It Be」を4Kスキャンしただけでなく、それなりの修復作業も入っています。

映像は4K/DOLBY VISIONで収録されています。アスペクト比が1.33:1のスタンダードサイズなので、ワイドテレビでは左右に黒帯が入ります。オリジナルフイルムをレストアした上で4Kスキャンを行っていますで、映像の質は高いです。フィルムの粒子は絶えず見えていますが、それが映像の立体感や精彩感を生み出しています。DOLBY VISIONによる色彩管理もフィルムの質感を大事にした表現で、映像に魅了されるところがあります。

音響はDOLBY ATMOSでリミックスされていますが、スタジオレコーディングの時にはほぼ2chステレオでの再生です。時々サラウンドチャンネルに音が回る時もありますが、基本はフロント2チャンネルで音は鳴っています。しかし、ルーフトップ・コンサートのシーンでは屋上でライブを行う、という趣旨を音で再現しているため、サラウンドや頭上にも音が広がり、一気に三次元サラウンドが展開されます。ポール・マッカートニーやジョン・レノンの声が、頭上から聞こえるのは新鮮です。

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