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睡眠中の脳は、日中に使ったエネルギーを蓄え、新たな情報を処理します。
睡眠は記憶や学習能力を高める役割を果たすすべての人間に欠かせない非常に重要なプロセスなのです。
今までは心理学的、神経解剖学的情報に欠けていたため、睡眠に関しする謎は多かったのですが、現在、多くの研究により睡眠中の脳の働きが分かってきました。
睡眠中の脳では何が起きている?
夜の休養の間、脳はそれぞれの睡眠段階で様々な活動をしています。4つの段階がノンレム睡眠で、第5段階がレム睡眠です。
ノンレム睡眠(1~4段階)
睡眠で、深い睡眠状態です。大脳は休息しているため、脳や体の疲労回復に必要な睡眠とされています。
- 第1段階で眠気を感じ、筋肉は弛緩し、脳の活動は遅くなります。これは軽い睡眠の状態で、すぐに目覚めることができます。
- 第2段階で、体温、心拍、呼吸が遅くなり始めます。
- 第3および4段階で、眠りは深くなり、脳の活動は非常に少なくなります。また、目覚めにくく、夜驚症や夢遊病などの睡眠時随伴症が起こりやすい時です。
レム睡眠(5段階)
脳が活発に動いていて、記憶の整理や定着などを行っています。レム睡眠は急速眼球運動(Rapid Eye Movement)のことを指します。
- 次がレム睡眠で、急速眼球運動がおこります。筋緊張は劇的に減少し、呼吸や心拍は不規則になります。また、この段階でより鮮明な夢を見始めます。この段階で目覚めると、夢を覚えていることが多いです。
睡眠時随伴症
- 睡眠中に起こる異常な行動を「睡眠時随伴症」と呼んでいます。子どもによくみられる夜驚症(やきょうしょう)と夢遊病は「睡眠時随伴症」の中の代表的なものです。一般には、「寝ぼけ」と呼ばれている現象で、不完全な覚醒になり、錯乱、混迷状態になる覚醒障害です。子どもの脳は発達過程にあり、未熟なために起こると推測されています。
- 夜驚症は、かん高い叫び声や泣き声をあげて、突然目を覚まします。大変怖がって怯えている様子が特徴的です。自律神経症状が出るので、汗をかいて、心拍が速くなり、息がハアハアとなってきます。身体は起きていますが、頭は寝ている状態なので、周囲にはまったく反応しません。呼びかけても聞こえていないし、そばにいる人も見えていません。5~15分くらい続いた後は、再び眠ります。お子さんの100人に2~3人くらいにみられます。3~12歳くらいで発症しますが、5歳前後に多くみられます。はじめは夜驚の頻度は多くみられますが、次第に減ってきます。
- 一方、夢遊病は寝ぼけたまま起き上がって歩き回るのが特徴的です。押入れ、風呂場に行って排尿したり、服を着替えるなどの奇異な行動がみられることもあります。ドアや窓から外に出ていくこともあります。5~30分くらい続いたあと、再び眠ります。3~12歳くらいで発症しますが、夜驚症よりは発症の年齢が高い傾向があります。お子さんの約10人に1人くらいにみられます。
夜驚症も夢遊病もどちらも眠ってから1~3時間後くらいに起こります。なだめたり、目を覚まさせようとすると、逆に興奮し、反発します。事故が起こらないように、危険な物は置かないで、階段や窓から転落しないように注意しながら、そっと見守るのが一番いい方法です。翌朝、起きても夜の出来事は、本人には記憶にありません。
原因はわかっていませんが、昼間のストレスや興奮を伴う体験(発表会、怖いドラマ、事故、遊園地・・)などがきっかけとなる場合もあります。頻度は月に1回くらい起こす場合もあれば、毎日起こすこともあります。発達に伴って思春期になれば自然に消失してきますので、特別な治療は必要ありません。
完全な睡眠サイクルは、約100分です。1~4段階に60~70分が使われます。そして、普通の夜の睡眠は4~6回これが繰り返されます。
睡眠中の脳はなにをしている?
学習と記憶
学習した記憶を整理し、必要なものは残し、不必要なものは捨てる処理を毎晩行っています。また、日中の作業効率を回復させることも睡眠が脳に与える重要な効果の一つです。さらに、アミロイドβと呼ばれる代謝老廃物が睡眠中に取り除かれ、脳の回復効果が高まります。
情報の保持に関しては、短い睡眠(6分間)でも効果があります。記憶にはよく寝た方がよいのです。情報を保持したいのであれば、勉強した後に寝ると良いでしょう。
エネルギーの保持
睡眠は、日中の活動に使ったエネルギーを蓄え保持するのに役立っています。特に第3~4段階で、代謝が下がります。体温が低下し、心拍や呼吸が遅くなり、酸素摂取量が減り、筋緊張も緩みます。さらに、エネルギーを激しく消費した場合にはぐっすりよく眠れるでしょう。
疲労回復
疲労を回復し体を元の状態に戻すために、睡眠は欠かせません。ストレスの多い時間を過ごした後に、身体的疲労には休養が必要ですが、精神的疲労にも睡眠が必要なのです。
解決策を見つける
「一晩考える」というフレーズを科学者が後押ししています。レム睡眠を長くとった人の方が、クリエイティブな解決策を見つけているといわれます。
質の高い睡眠が必要な理由
睡眠は、創造力や問題解決能力を向上させます。
寝ている間に脳は情報を解釈し、アイデアをまとめます。意味の分からない夢は、脳が本当の問題に対する様々な解決策を並べ、探索し、処理しているプロセスといえるでしょう。
あなたの体、特に心は、情報を固め、貯蔵し、新たな観点や解決策を見つける時間を必要としています。睡眠を大切にすることは、脳を大切にすることになるのです。
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