金沢ミステリ倶楽部

金沢ミステリ倶楽部の公式ブログ。

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第29回例会『死神の精度』読書会

2024年06月12日 18時22分45秒 | 例会
金沢ミステリ倶楽部の例会を振り返ります。

第29回例会は2010年12月18日、参加者10名で『死神の精度』(伊坂幸太郎)を合評しました。
伊坂作品自体が初めての方も何人かいらして、やはりミステリというよりエンターティメント作家というイメージが強いようでした。しかし、作品には概ね高い評価、感想がいただけました。共通の感想として、「テンポがよく読みやすい」「会話が面白い」「設定の割にSF的ではない」「短編だが、全体を通してミステリになっている」「生きる執着がなく、シニカルである」などがありました。他には、「文字だけで音楽や風景が浮かぶ」「文章が音楽のようなので残酷な描写も生々しくない」など文章の技術を評価する感想もありました。
「成熟社会ならではの作風で、時代小説と比較するとライトで悪い意味ではなくエネルギッシュさがない」という感想には、確かにクールな情熱と熱い情熱は表現方法が違うので、自分自身が伊坂作品の後は司馬遼太郎や山崎豊子の大作に挑みたくなるのも然りか、と感じました。
「死神が映画「ターミネーター」のように徐々に人間性をもってきている」という死神の成長(逆に退行になるのか?)を評価した感想もありました。

◆近況報告
『東京島』(桐野夏生)『イニシエーションラブ』(乾くるみ)『映アムリタ』(野﨑まど)『借金取りの王子』(垣根涼介)『笑う警官』(佐々木譲)『6スティン』(福井晴敏)『硝子のハンマー』(貴志祐介)『李歐』(高村薫)『Q&A』(恩田陸)『都筑道夫名探偵全集』(都筑道夫)『鳥獣戯画』(瀧田明葉)『調書ヨットの殺人』『巫女の館の密室』(愛川晶)『ジークフリートの剣』(深水黎一郎)『リラ荘事件』(鮎川哲也)『犯罪ホロスコープ』(法月綸太郎)『あるクリスマス』『海辺のカフカ』(村上春樹)「鋼の錬金術師」(荒川弘)『凍花』(今野敏)『KAGEROU』(齋藤智裕)『マリアビートル』(伊坂幸太郎)『倒錯の死角』(折原一)
映画「ほぼスリーハンドレッド」「Xメン0」「ゴールデンスランバー」「SP」「シングルマン」
ドラマ「24」「渡る世間は鬼ばかり」「SPEC」「目線」「秘密」「SPEC」「花嫁のれん」「相棒」「マークスの山」「幻夜」「CSI」「プリズナーNO.6」
ゲームは「ダンガンロンパ」

第28回例会「ゼウスの息子たち」「ミュージック」読書会

2024年06月11日 17時54分17秒 | 例会
金沢ミステリ倶楽部の例会を振り返ります。

第28回例会は2010年11月20日、参加者は8人で富山て開催しました。カレーうどんを食べた後、ガストで「ゼウスの息子たち」(法月綸太郎)を合評しました。
犯人当てとして読んだのですが、犯人はわかるけど、理由がわからないという意見が。雑誌「ミステリーズ」掲載時には50%の正解率だったそうです。
感想として「導入の神話が興味深い」「理由はわからないが、作家の傾向から犯人はわかった」「犯人当てで謎がはっきりとけるとすっきりする」「ダイイングメッセージで犯人の名前を言えば良かったのに(それを言っちゃ…)」「座布団1枚、だまされた」「星座・神話が好きなので楽しく読めた」「ギリシア神話は神が人間くさい。トロイの遺跡のように現実にあったことか神話かわからない」「だましてやろうという書き方で、してやられた」「名前がミスディレクション」「メイントリックは双子トリックだが(略)。シンプルな不意をつくトリックをちゃんと論理に絡めている点が好印象だった」
続いて「ミュージック」(シオドア・スタージョン)を合評しました。
「感想を言うより味わう作品」「精神病院が舞台だけに最後まで妄想かも」「自分の指の血をすすって妄想しているのかも」「こういう人は隔離しないといけない。外に出してはいけない」「文章が綺麗」「好きなタイプの作品」

◆近況報告
読んだ本『インシテミル』(米澤穂信)『道具屋殺人事件』(愛川晶)『1Q84』(村上春樹)『退職刑事4』(都筑道夫)『誰も知らない名言集』(リリー・フランキー)『ロシア紅茶の謎』(有栖川有栖)『木製の王子』(麻耶雄嵩)『ターン』(北村薫)『屈辱ポンチ』(町田康)『半島を出よ』(村上龍)『国境』(黒川博行』(貴志祐介)「ハルチカシリーズ」(初野晴)『ジークフリードの剣』(深水黎一郎)『ボディメッセージ』『月が死んだ夜』『囲碁殺人事件』(竹本健治)「古本刑事」シリーズ(ジョン・ダニング)、『異常快楽殺人』『いちばんここに似合う人』(ミランダ・ジュライ)『誰のための綾織』(飛鳥部勝則)『アルファベットパズラーズ』(大山誠一郎)『さむけ』(ロス・マクドナルド)『隻眼の少女』(麻耶雄嵩)『アリスミラー城殺人事件』(北山猛邦)『葉桜の季節に君を想う』(歌野晶午)『完全犯罪研究クラブ』(こるもの)『法月綸太郎の冒険』『マレー鉄道の謎」(有栖川有栖)『46番目の密室』(有栖川有栖)『退出ゲーム』『初恋ソムリエ』『空想オルガン』(初野晴)『ジークフリードの剣』(深水黎一郎)」『神様のカルテ』『神様のカルテ2』(夏川草介 )『マレー鉄道の謎』(有栖川有栖)『巫女の館の密室』(愛川晶)」『孤島の鬼』「D坂の殺人事件」「火縄銃」(江戸川乱歩)『鎌倉の闇』『黒い仏』(殊能将之)

観た映画「ファイヤードッグ」「ビバリーヒルズチワワ」「レスラー」「華麗なるアリバイ」「鏡の奥の秘密」「ドアーズ」「真実の行方」
ゲーム PSP「トリックロジック」
ドラマ 「霊能力者 小田霧響子の嘘」「秘密」「SPEC」「ギルティ」「相棒」「マークスの山」

第27回例会「江戸川乱歩を語ろう」

2024年06月10日 17時37分13秒 | 例会
金沢ミステリ倶楽部の例会を振り返ります。

第27回例会は2010年10月23日で参加者は9名、県立図書館のトークイベント「江戸川乱歩を語ろう」への参加を例会としました。
講師の学校での少年探偵団の読み聞かせの話、毎日新聞の小学生のよく読む本にまんが日本の歴史、三国志、に次いで少年探偵団シリーズが3位に入ったこと、「地獄の仮面」の男子生徒に人気の場面とその元になった大人版「吸血鬼」を朗読しての比較、谷崎潤一郎の「金色の死」と乱歩の「パノラマ島奇譚」の関連性、乱歩が谷崎にサインを求めたら断られたこと、など語り、参加者に好きな乱歩作品と乱歩との思い出を書かせると1人1人意見を求めました。参加者が自然に気楽に語れて、またその場にはかなり詳しい方々が(詳しすぎるほど詳しい方々が)いたので、楽しかったです。
乱歩画像出典:国立国会図書館「近代日本人の肖像」

第26回例会大阪ミステリツアー

2024年06月09日 19時14分58秒 | 例会
金沢ミステリ倶楽部の例会を振り返ります。

第26回例会は2010年9月25日に2人で大阪の紀伊国屋梅田店で本格ミステリ作家クラブの記念イベントがあるということで、大阪ミステリツアーを例会としました。ただ大阪は遠いということと、帰宅が遅くなるということ、そして皆さんの様々な理由で、参加者は2人だけとなりました。
金沢を朝6時頃に出発して大阪には10時前に着きました。高速を使って約4時間でした。駐車場に車をとめた後紀伊国屋梅田店に向かいました。
梅田駅の中にあるだだっ広い書店です。そこではイベントのセッティング中でした。
作家ごとのコーナーが設定されていて、その前の背の高い小テーブルでサインをしてもらえて、別の小さな部屋でトークショーをするという店員さんの話でしたが、それは無理があるだろう、大混乱に陥りそうな気がしました。
しかしイベントまで時間があるので、カッパ横町の古本街を見て回りました。古本屋さんが並んでいるのですが、値段的には高めでした。講談社文庫の乱歩全集全巻揃いがなかなか素敵でした。
ぶらぶらした後もしかしてサイン会のやり方を変更していないかと心配で、紀伊国屋に戻ってみましたが、特に変更はないようでした。ミステリファンらしき人たちがちらほら集まって来ていました。
本格ミステリ作家クラブの記念刊行物が3冊出ていますが、それに寄せ書き的にまとめてサインをもらってもいいですよ、と店員さんが言っていたので、それで行こうということになりました。
昼食の時間になり、大阪と言えばお好み焼き、ということで食べ物屋が集まった狭いスペースにあるお好み焼き屋に入りました。もちろんおいしかったです。
さて時間になるとトークショーの小部屋は人でいっぱいになりました。それよりもサインだろうと書棚の近くで待っていると、帽子をかぶった見たことある人が書店の中をすっすっと歩いていきます。あれ、綾辻行人さんだ!
その後続々と作家たちが登場しました。
結局急遽机と椅子が用意され、とりあえず麻耶さんと有栖川さんがすわりました。2人は別行動でサインをもらいました。
麻耶さんと有栖川さんに『ミステリーオールスターズ』(以後『MA』)に寄せ書きサインをもらいました。
戸川安宣さんは事務局で来られていたので先日のお礼を言い、『MA』にサインももらいました。
その後芦辺拓さんに『MA』にサインをもらいました。近藤史恵さんに『サクリファイス』文庫版にサインをもらいました。
門井慶喜 さんがいて、図書館のレファレンスサービスを題材にした日常の謎ミステリ『おさがしの本は』にサインしてもらいました。この本は特に取材したわけではなく、近くの図書館の様子を見て書いたそうです。ただその本に出てくる本は購入したとのことでした。
汀こるものさんと小森健太郎さんに『MA』にサインをもらいました。辻真先さんは日曜日に来るはずだったのですが、土曜日も来ていて、『完全恋愛』に「牧薩治と辻真先の両方の名前を書いていただけますか」と言うと、快くサインしてくれました。『MA』にもサインしてもらいました。北村薫さんがテーブルについたので『MA』にサインしてもらい、「『朝霧』の続きはまだ書かれないのですか」と聞くと「うーん」という感じでした。
綾辻さんのサイン会が始まると、長蛇の列でした。その横で我孫子武丸さんのサイン会も始まりました。綾辻さんのサインをもらってからそちらに移動するつもりが、綾辻さん→我孫子さんに動く人が思ったほどいなくて、我孫子さんのサイン会は先に終了してしまいました。サインをもらえなくて残念でした。綾辻さんに『MA』にサインをもらいました。
最後に法月綸太郎さんに『MA』にサインしてもらいました。サイン会もまばらとなり、北村さんが他の作家さんたちにおすすめ本の紹介をしていましたが、戸川さんにお別れを告げてその場を去りました。無事23時頃金沢に帰り着きました。
とっても贅沢なイベントで、そこかしこにミステリ作家がいました。行った甲斐がありました。大阪とか京都なら車でも行けそうなので、ミステリ的なイベントがあったら部員みんなで行けたらいいと思いました。

第25回例会『告白』読書会

2024年06月08日 19時09分50秒 | 例会
金沢ミステリ倶楽部の例会を振り返ります。

第25回例会2010年8月21日参加者は9名で『告白』(湊かなえ)を読んで感想を話し合った。『告白』は輝かしい様々な賞を受賞している一般的にも評価が高く人気の小説。
◇結末で爽快感を持った 3人
 「小生意気な良識のない少年Aにしてやったりと、いうところでしょうか?」「それとも、子どもを殺された母親の成功した復讐劇に万歳…なのか?」
◇不快感を持った 3人
 「読後感が最悪。罪のない5歳の子どもが何も考えない中学生に殺されるなど残酷で救われない話。ドラマチックな展開」「中学生レベルで破壊力のある爆弾は作れるのか?読ませる力量はあると思う」「救われない重い話。面白いが人にはお勧めできない」「本格ミステリではない。シリアス、リアリティがある。新しいタイプのミステリなのか」
●面白かったが…
 「一人称のそれぞれの視点で書かれていてそれぞれの章で、感情移入のバトンタッチがあった。2回目を読んでそれぞれの置かれている立場、状況がわかった」「いろんな視点で描かれていて、人によってこんなにも考え方が違うのか。(特に母親のところがリアル)あと、HIVに関しての知識を披露していただきました」「中学生が正義でいじめをするとは思えない。正義のいじめはあるのか?」「先が読めなくて面白かった。「聖職者」という短編から連作で長編を完成させた作者の才能に感心する。すごい!」「単純にエンターティメントとして面白い小説。一話ずつが一つのミステリとして完成された上で全部がつながっている見事な構成力。子どもを殺された母親が自分が直接手を下さずじわじわとターゲットを追い詰めていく怖さ、残忍さ。執拗さ。執念を感じる。不確かな計画犯罪。成功するかどうかもわからない復讐劇を影で操作している。ドラマチック」

◆近況報告
読んだ本 『告白』『アクターズスタジオインタビュー』『修道士の首』『鏡の中の日曜日』『1Q84 BOOK1、2』『Wドライブイン』『火天の城』『臨場』『町長選挙』『パズル崩壊』『人形はこたつで推理する』『城塞』『刺青殺人事件』『霧の果て』『動物のお医者さん』『秘密トップシークレット8』『硝子のハンマー』『道具屋殺人事件』『奇譚集』「jojo」『闇の喇叭』『プラチナデータ』『八月の魔法使い』『スウェーデン館の謎』『ブラジル蝶の謎』『英国庭園の謎』『恐怖は同じ』『家庭教師ヒットマンリボーン』
映画「サマーウォーズ」
ゲーム「ゼルダ 大地の汽笛」「ルパン」
ドラマ「ジョーカー」「逃亡弁護士」「デスパレートの妻たち」