ICOMのAC-DCアダプターAD-55J
前回に引き続きIC-R8500にまつわるお話です。
実は私のR8500にはS-メーター以外にもう一つ不具合がありました。それはボリュームを一定に保っているのにもかかわらずAF音が変化するという不具合です。
具体的には
Cold状態から電源をONにすると普通に受信音が聞こえてきます。それから注意深く聞いていると、じわじわと受信音が大きくなってきます。無限に大きくなるのではなく、数分たつとプラトーに達してそれ以上は大きくなりません。
音量が一定に達した後に電源を一旦OFFにして、その後すぐに電源をいれてみても音量に変化はありません。
お休み前に聞こえるか聞こえないかのギリギリの音量でラジオを聞く私には、この不具合は非常に面倒くさいものです。電源ONでお休み用の音量に設定して一旦寝床に入りますが、その後数分して寝床を抜け出してまた音量調整をしなくてはなりせん。
今回ICOMのリペアセンターさんにはSメーターの不調とともに、受信音の不具合についても対応をお願いしたのでありました。
リペアセンターさんからのお返事は
「ご指摘のAF音が変化する現象を確認しました。付属のACアダプター(AD-55J)が故障しており、出力電圧が低下しております。AD-55Jの販売は終了しており、在庫もございません。申し訳ございませんが、外部電源装置(13.8V)をご用意いただき、付属されているDC電源ケーブル(OPC-023D)を使用して頂けるようお願いいたします。」
といったものでした。
R8500本体ではなく、ACアダプターならパーツも大きいことだから何とかなるんじゃないか?と思い、とりあえずACアダプターをばらしてみました。
図1 AD-55J内部
AD-55J内部にはトランスとダイオードブリッジ、平滑のコンデンサーなどが収められていました(図1)。
ACアダプターに負荷をかけない開放状態での出力電圧は約20V。外見上は電界コンデンサーの腹ぼてでもなく、ダイオードの焼損も見られません。ただ、ダイオードの両端電圧にはばらつきがあり、ダイオードの不良が疑われます。
ダイオードブリッジ4本のうち何本かが不良のようですが、実装状態ではどれが不良かははっきりせず、すべてを交換することにします。
使用されているダイオードは1N5400(50V3A)、また念のため平滑の電解コンデンサーも交換することにします。ダイオードと電解コンデンサー25V6800μFはその日のうちにAmazonに発注しました。便利なもので翌日夕にはパーツが届き、交換作業に移ります。
取り外しにはパーツにダメージを与えないよう放熱クリップを使用して慎重にハンダと取っていきました。平滑の電解コンデンサーもあまり熱を加えないように、またトランス2次側のフィルムコンデンサーも取り外していきます。
取り外したパーツを調べてみると、ダイオード1本の故障(図2,図3)と、平滑の電解コンデンサーの容量抜け(図4)が確認できました。フィルムコンデンサーには不具合はなかったものの念ため交換です。手持ちパーツの関係でフィルムコンデンサ―は0.33μF→0.47μFに変更しています。
図2 正常なダイオード
図3 故障したダイオード(開放となっています)
図4 電解コンデンサーの容量ぬけ(6800μF→99μF)
左が不良品 右は異常なし
図6 交換後の内部の様子
見た目は電解コンデンサーの色がかわったくらい
AD-55Jの修理も終わり、R8500に接続し電源を入れてみます。
さて、受信音はどうなったでしょう。聞こえるぎりぎりの音量でセットしてみます。うーん、時間とともに大きなっていきました。ただし修理前と比較しプラトーに達するまでの時間が若干短縮されているような印象です。
修理したかいはあったと思います。でもこれですべてが解決したわけでなくR8500本体側にも何らかの異常が存在がうかがわれますが、深追いはせずとりあえず今回のトラブルシューティングはここで終わることとしました。
最後に一言。実はAD-55Jを分解したところすでに一度分解された形跡がありました。おそらくはリペアセンターさんでも分解検査され、ダイオードの故障については把握されていたものと思われます。修理をお願いした際に2万円までと予算制限をしたため修理されなかったのかもしれません。今回の修理でのパーツ代金は1300円ほど。自分で交換したため技術料は不要で、SメーターとAD-55Jの修理の総額は2万円の予算内に収まりました。
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