はじめにー過去2つの記事から
経済の先行きを読むのは難しい。
それでも、だからこそ価値はある。
天星人語は23年7月に、「株高はパンデミック対策が原因」、24年1月に「世界インフレ再燃の芽」を書きました。
まず23年7月に公開した記事は、景気後退・株安サインの逆イールドが灯るが、過去とは違い好景気は長続きすると書いています。理由は各国政府が、経済危機を防ぐため歴史上、例のない大規模な財政・金融政策を実施したからです。
次の24年1月には、20年に火が付いたインフレは鈍化しつつあるが、世界的なインフレは再燃するかもしれないと書いています。さらにそこで、経済は金利・物価・景気、そして政治(地政学)に左右されるとも書いています。
「株高はパンデミック対策が原因」に書いた主旨は当時、他では目にしませんでした。
が、24年になると、この点に触れる意見を目にするようになりました。
一体全体、今後はどうなるのかが知りたいところです。
最新データは不況を示す
注目する指標であるISM景況感指数が公表されました。
これは代表的な景気先行指数です。
4月米サービス業、16カ月ぶり「不況」水準 消費鈍化で
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「インフレの長期化で消費者のサービス需要が必需か嗜好を問わず減退してきている。今後は一般家庭の貯蓄の底がつき、負債が増えるにつれ、サービス業の業況は悪化し続けるだろう」と分析する。
米調査会社パンテオン・マクロエコノミクスのシニア米国エコノミスト、オリバー・アレン氏は価格指数の上昇について「価格指数は3月の急落から回復したに過ぎず、全体的にはインフレ再燃のリスクは低い」と分析する。
記事は、このような強気弱気の意見を紹介しています。
また、同じく3日労働省より、4月雇用統計が
発表されました。
米雇用、過熱への不安後退 フルタイム3年ぶり前年割れ
フルタイムの減少には「極度の人手不足で長い労働時間を強いられてきたパートがフルタイムとして集計されてきた反動が出た」(金融大手サンタンデール)との見方もある。
働き方の変化や大規模な労働移動など、多くの構造変化が同時に起きるコロナ禍後の米経済は先を読みづらい。過熱と失速、両方のリスクに目配せしなければならない新たなステージに入り、FRBのかじ取りはますます難しさを増す。
長期化する逆イールドカーブ
逆イールドについては過去何度か書きました。
米国の長短金利逆転、40年ぶり大きさ 強まる不況警戒
(更新) [会員限定記事]
金利は通常、満期までの期間が長い方が高くなる。長い期間お金を貸していると、その分返ってこないリスクが高まるためだ。反対に逆イールドは長い期間の金利を短い金利が上回った異例の状態を指す。期間が短い金利は金融政策の動向を映す一方、長期金利は中長期的な経済成長率や将来の物価上昇率の見通しを織り込む。逆イールドは現在の金融政策が中長期的に景気を抑制する状況を映す。景気後退による利下げを市場が織り込むことなども反映している。
最新では以下の記事がでました。
米利回り逆転、戦後最長 軟着陸シナリオに懸念
景気後退の予兆、過去10回不況入り
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結論は、景気は減速し後退する
米経済は本当に強いのか 消費堅調、雇用は過熱和らぐ
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・個人消費は堅調
・雇用の過熱感は和らぐ
・金利高で住宅販売は低迷
・企業の景況感は「不況」水準
・物価はなおFRBの目標上回る
と、現状の経済指標を紹介した記事でした。
金利・物価・景気、そして政治(地政学)が、経済の変動要因です。
インフレは長期化し、可処分所得は減じるので、個人所得は減少に転じるでしょう。
そうなれば、GDPの7割を占める個人消費も陰りを見せるでしょう。
景気は減速(GDP拡大ペースが鈍る)し、後退(GDPは2期連続減少)する。
これが前回から書く、天星人語の読み(占い ´艸`)です。
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(注)
青字と図は日本経済新聞。