こるね酒

原則毎日AM11時更新+α。日本酒好きのホルン吹きです。飲んだお酒を、ジブリ映画のキャラやシーンに例えながら紹介します。異論反論大歓迎。日本酒に詳しくない方でも、ジブリ作品に詳しくない方でも楽しんでいただけるように書いていきます。

弐式 > フィオ(紅の豚)[ジブリ酒]

弐式(にしき) 進化系酒母四段仕込み】

納得の 酒母で四段で ダブル酵母

弐式

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はじめましてのお酒、弐式さん。不屈の蔵、新潟県柏崎市・原酒造さんお酒です。

原酒造さんの代表銘柄は「越の誉」。文化11年(1814年)に創業した後、順調に繁盛して、明治時代には柏崎を代表するお蔵さんになりました。
しかし、創業から100年が経とうとする頃、原酒造さんは窮地に立たされます。それが明治44年(1911年)に柏崎を襲った桐油屋火事。柏崎は元々地形的にも大火の多い土地で、この時も全焼633戸という大きな被害を出します。お蔵さんは全焼、取引銀行も倒産、原酒造さんは全財産を失います。

その後、なんとか復興して再び成長を続けるものの、今度は2007年の中越沖地震で酒蔵が全壊してしまいます。それでも原酒造さんは諦めません。幸い休日で社員全員が無事だったこと、そして生産設備がある程度は生き残ったこともあり、2カ月半で通常業務ができるところまで復旧します。この文章だけ読むとそれほどのピンチではないようにも思えますが、公式サイトにある被災時の写真を見ると、とてもそんなことは言えません。建物が倒壊しており、人的被害がなかっただけでも奇跡的です。真夏だったこともあり、復旧までには想像を絶する苦労があったことと思われます。

そんなお蔵さんですが、今回いただくのは、未来を向いたお酒。「進化系酒母四段」を用いた新ブランドの弐式さんです。

ついこないだ、「百式」に見える「百弐」というお酒について触れたばかり。漢字が似すぎていてゲシュタルト崩壊しそうです。弐式を模式化したラベルデザインも良いですね。読めないけど。この2つの文字を繋ぐ線は『「一本筋が通った酒造りの姿勢」を表すとともに進化系酒母四段のキーとなる「2つ」という概念を表現』しているのだとか。

酒母四段という手法は、かつては増産目的で行われていたんだそうです。それをクオリティーファーストで改良・発展させたのが、「進化系酒母四段」。
通常のお酒は、酒母を造った後、3回に分けてお米と水を足していきます。それが三段仕込み。それをもう1回追加するのが四段仕込みで、甘味が出やすくなります。酒母四段ということは、ここにお米と水ではなく酒母を足しているということでしょうね。しかもこのお酒、酵母も2種類使ってるんです。いったいどんな味わいになってるんでしょう? 楽しみ!

それでは、いただきます。

香り爽やかフルアルふわん。メロン&青リンゴのフルーティーさと、気持ち良いアルコール感。

口に含むと、酸ほの甘。なるほど酒母四段。酒母っぽい酸が中心にあるけど、それが四段の甘味でやわらかくなって、甘酸っぱくてめちゃくちゃ美味しい!!
酵母が1801号と7号というのもなんとなくわかります。1801号の華やかさと7号のマスカットっぽさの両方を感じます。
そしてそれらが、とても上手に融合してる。酒母酒みたいな酸っぱさも、四段仕込みの豊かな甘さも、1801の派手さも7号の爽やかさも、全部がちょうどいい。それぞれの特徴を出しつつ突出してはいません。凄いバランス感覚!!

ジブリで例えると「紅の豚」のフィオ。甘酸っぱい若さが残ってるけど技術者としてめちゃくちゃ優秀。そして逆境にも負けない芯の強さがあります。なによりかわいい!

好き度:★★★★☆

越の誉

弐式
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【DATA】
蔵元:原酒造株式会社(新潟県柏崎市)
造り:純米吟醸 生酒 酒母四段仕込み
精米歩合:麹米50%、掛米60%
アルコール度数:15% ・・・ 普通
酵母:協会1801号酵母&協会7号酵母
製造年月:2024年4月

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