とある内科医の病棟マニュアル

とある内科医の病棟マニュアル

呼吸器内科医が日常診療の考え方を綴る備忘録

肺結節影のフォローアップ

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CT画像所見の分類

  • Pure GGN:すりガラス影のみで形成
  • Part-solid GGN:すりガラス影と一部軟部組織陰影
  • Solid nodule:軟部組織濃度で形成

✅Pure GGNは悪性腫瘍であれば上皮置換型の発育であり、増大スピードは比較的緩やか。一方でSolid noduleは進行するスピードが速いため注意する。

 

腫瘍径による良悪性の鑑別

The 32nd Diagnostic Imaging Seminar 結節の鑑別

 

腫瘍の形態による良悪性の鑑別

 

倍加時間(doubling time)による鑑別

  • 肺癌:1ヶ月~200日(分化型腺癌だとかなり遅いこともある)
  • 良性腫瘍(過誤腫など):2年以上
  • 炎症性疾患:1ヶ月以内

 

肺結節影のスクリーニング検査

CEA、CYFRA、ProGRP(腎機能障害がある場合はNSEを提出)、QFT、抗MAC抗体、β-Dグルカン、アスペルギルス抗原、クリプトコッカス抗原、転移性肺腫瘍が疑わしい場合はそれぞれの腫瘍マーカー

<以下を適宜追加>

造影CT、CA19-9、RF、抗核抗体、MPO-ANCA、PR3-ANCA、sIL-2R、ACEなど

 

肺結節のフォローアップ

低線量マルチスライスCTによる肺がん検診:肺結節の判定と経過観察 第5版を参考に作成

 

以下は筆者の考え方

✅Solid noduleは最初は1~1.5か月後フォローくらいが良いと思う(低分化のものだと進行が速い可能性があるため)

ガイドラインでは、5mm以下はフォローアップの対象外としているが、5mm以下でもフォローした方が無難。最初の3ヶ月後にフォローを行い、もしも増大傾向がなければ半年~1年後フォローで良い。

✅一般的にはSolidは2年、Sub Solidは3年変化なければ良性の可能性が高い。しかしGGNは3年以上経過しても癌のことがあるため注意を要する。(筆者はGGNであれば最低でも4年間フォローし、希望があれば年1回のフォローを継続している)

 

フォローするときの注意点

✅必ず手術の選択肢を提示する。

✅胸膜に近い病変(胸膜播種を起こしそう)は早めにフォローする。

✅Solid成分の多い病変は早めの間隔でフォロー

粗大石灰化を伴うものは基本フォローしなくていい。

CEAは10以上、シフラ6以上はおかしいので肺癌の可能性に留意する。

 

気管支鏡検査施行後の対応

悪性だった場合 

腫瘍の治療を行う

良性だった場合

経過観察とする。
腫瘍すべてを生検したわけではないので100%良性とは言えないが、悪性はかなり否定的である。もしも今後大きくなるようであれば、気管支鏡再検や手術も検討されると説明する。

取れなかった場合
  • 再検査で取れそうなら、時間をおいて再生検を試みる。
  • 取れそうにない、あるいは悪性腫瘍の可能性が濃厚の場合は外科的肺生検を勧める。

*CTガイド下生検を考慮する状況は?
気管支鏡で生検できない症例・気管支鏡ハイリスク症例で
❶手術適応外の悪性腫瘍が疑わしく、他に安全に生検できる部位がない場合
❷組織診断が治療方針に大きく関わる場合

気管支鏡でアプローチ困難の場合
  • 悪性腫瘍が疑わしい場合 ⇒ 外科的肺生検を勧める
  • 良性腫瘍が疑わしい場合 ⇒ 外科的肺生検も提示した上で経過観察をやんわりと勧める
  • 悪性か良性か判断が難しい場合 ⇒ 外科的肺生検を提示する。手術が躊躇われる場合には ① CTで経過観察を行い、大きくなるようであればオペ ②PET-CTを評価してみる(SPN Malignancy Risk Scoreも参考にする)

 

同時性多発肺癌の考え方

追記します

 

転移性肺腫瘍の考え方

追記します

 

 

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