こんにちは、きよし弁護士です(弁護士細川潔、埼玉弁護士会、37962)。

 

多くはないですが、男女問題に基づく自死事案の相談もあります。

 

よくあるのは男女関係のもつれから、一方が自死に至るというケースです。既婚者の場合も未婚者の場合も、未婚者の場合は、既に婚約状態にあるときもあれば、交際しているだけのときもあります。

 

男女問題に基づく自死事案は、一般的には、亡くなった方の遺族(相続人)が男女関係にあった一方当事者に対して、不法行為に基づく損害賠償請求ができないかということになります(後述するさいたま地裁のようなケースもありますが)。

 

不法行為に基づく損害賠償請求が認められるためには、その男女の間でどのような行為があったかを特定できるか、特定できたとして不法行為に当たるか、不法行為に当たるとしても自死との間に因果関係があるか、行為者に故意過失があるか等を検討しなければならず、ハードルが高いことが多いです。

 

 

男女関係に基づく自死事案について、裁判例があったので紹介します。

 

まずは自死行為との関係が認められた事案

 

札幌地判平成26年2月5日

被告から継続的に虐待を受けていた原告が、被告から本件暴行を受け、自宅マンションのバルコニーから転落して傷害を負った事案。

裁判所は、本件事故は、被告が原告を非常階段に追い詰め、転落に至る危険な状態を作出しながら転落を防止しなかったか、又は被告の一連の暴行等によって、原告が精神的に追い詰められ、飛び降り自殺を図ったために発生したものであるとして、被告に対し、損害賠償を認めました。裁判所は、本件の具体的事情の下では、被告は、被告が原告に対して暴行を加えることによって原告が自殺を図ることを予見することができたというべきであり、本件暴行と本件事故によって原告に生じた損害との間には相当因果関係があると認めることができるとしました。

なお、本件は未遂事案であり、被害者は外傷性脳損傷等の傷害を負って、両上下肢機能全廃等の障害により身体障害者等級1級になっています。

この事案では、原告は被告に対して、日常的に殴る蹴るの暴行や暴言を行ったりしており、さらに、自死行為当日にも暴行が行われていたようです。

 

次は自死との関係が否定された事案(精神的苦痛に関しては認められています)

 

さいたま地判平成29年7月19日

原告らの子である亡甲が自殺したことに関し、被告(亡甲の交際相手の親)が、亡甲に対して送ったメールにより、亡甲が精神的苦痛を受けて自殺し、原告らが亡甲の損害賠償請求権を相続したとして、また、被告が、亡甲の自殺の原因について、原告らに対して虚偽の事実を述べるなどの暴言を吐き、亡甲の友人に対して、虚偽の事実を流布したことにより、原告らが精神的苦痛を受けたとして、原告が、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償を求めた事案。

自死との因果関係は否定されましたが、精神的苦痛との因果関係は認められました。

 

これらの裁判例を見てみると、男女問題に基づく自死に関しては(自死との因果関係や予見可能性が認められるためには)相手方の行為の問題性が大きい場合(それ自体が刑事罰の対象となるような)でないと、遺族にとって、なかなか難しい結論になると思われます。

 

 

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