0から始める著作権

  このブログでは著作権について解説していきます。

著作権の種類には何があるのか(6)

前回と前々回で、複製権以外の著作権の種類を述べました。いろいろな権利がありましたね。

中でも、公衆送信権は、自分が創作した著作物について、自分だけがWebサイトにアップロードして公衆送信を行うことができるという権利であり、とても重要な権利でした。例えば、貴方が撮影した面白い動画について、貴方が動画配信サイトにその動画を投稿する場合、貴方が公衆送信権を持っているので、貴方だけがその動画を公衆に送信できるのです。公衆送信権を持っていない他人が、勝手に貴方の動画を公衆に送信できないのです。

 

また、二次的著作物を創作する権利と、二次的著作物を利用する権利の2つについて述べ、これらが元の小説や曲を創作した著作者(原著作者)にあることを述べました。

そして、二次的著作物の創作(翻訳、脚色、映画化、編曲など)を他人に任せる場合に、二次的著作物を創作する権利だけを譲渡するのか、二次的著作物を創作する権利と二次的著作物を利用する権利の2つとも譲渡するのか、決めておく必要があると述べました。

 

ここで気が付くことがあります。貴方が撮影した面白い動画についても、その動画の投稿を他人に任せることができる、ということです。仮に貴方が多忙な場合、自分の代わりに他人に動画投稿をしてもらったり、他人が運営するブログやSNSでその動画を紹介してもらうことができます。

その他人が、貴方が面白い動画を撮影することを知っていたら、貴方に対して最近撮影した面白い動画を自分のブログで紹介したいと申し出るでしょう。貴方が愛犬の可愛らしい動画を毎日撮影していることをその他人が知っていたら、是非ともブログで紹介したいと思う筈です。

でも、少し気になることもあります。例えば、その他人のブログが商用のブログであるとき、もしその動画のお陰でブログ視聴数がアップしたならば、その他人だけに利益がもたらされることになります。動画が有名になることは貴方にとって喜ばしいことですが、視聴数アップの利益の幾らかは貴方にあってもよさそうです。

 

実は、貴方が利益を得る方法があります。それは、貴方が、その動画の複製権と公衆送信権をその他人に有償で譲渡するという方法です。すなわち、他人に売り渡すことができるのです。

貴方が、その他人と交渉して、動画の複製権と公衆送信権を譲渡することについて、契約をすればよいのです。

(譲渡契約ではなく、動画(著作物)の利用を許諾するというライセンス契約もあるのですが、これについては後のブログで述べます。)

 

このように、前回と前々回で紹介した、二次的著作物を創作する権利、二次的著作物を利用する権利、複製権、公衆送信権は、他人に譲渡することができます。

小説、音楽、動画以外の著作物についても同様です。例えば、イラストレーターの方が、ブロガーの方に自分が書いたイラスト(美術の著作物)を譲渡することができます。そうすることによって、ブロガーの方は、自分が運営するブログにそのイラストを自由に掲載することができるのです。この場合も、イラストの複製権と公衆送信権を譲渡することになります。

 

また、他の著作権の種類についても同様です。例えば、イラストの場合、ブログに掲載するだけではなく、展示会を開いて展示することもできます。前々回のブログで、展示権という権利を紹介しました。ブロガーの方は、そのイラストについての展示権も譲渡して欲しいと、イラストレーターの方に頼むことができるのです。

どの種類の権利を(どのような条件で)譲渡するのかを契約書にしっかり書いておくことが必要になります。そうしないと、後々トラブルになってしまうおそれがあるのです。

 

したがって、著作権の種類を知ることと、譲渡をする権利が何であるのかを把握すること、そして、契約書に譲渡の内容や条件を書くことが重要になるのです。

 

法律・法学ランキング
法律・法学ランキング

にほんブログ村 資格ブログ 資格取得 ビジネススキルへ
にほんブログ村