お年玉 | ★★片想い10年ロック★★

★★片想い10年ロック★★

ハッピー片想いは片想いをたしなむための作法です。

 

フィクションです。

 

********

 

子どものころから

ずっとお年玉を

貯めていました。

 

お小遣いやお祝いで

お金をもらったすぐに

貯めるようにしました。

 

いつかピアノが

欲しかったから

貯めていました。

 

中学生のころには

30万円くらいに

なっていました。

 

そのころ母の

「知り合い」という

 

若い男の人が

家に出入りいていて。

 

その母の「知り合い」の

男の人がお金に

困っているから

 

貯めたお金を

貸してあげて欲しいと

母から頼まれました。

 

「すぐに返すから」と

母の「知り合い」の人は

言っていました。

 

私は「ピアノ貯金」の

30万円を母の

「知り合い」に貸しました。

 

********

 

その後。

 

数か月して3万円

返済を受け取りました。

 

その後。

 

「ピアノ貯金」が

返済されることは

ありませんでした。

 

もちろん私がピアノを

買える日は来なくて。

 

母がその「知り合い」の

名前を出すことも

ありませんでした。

 

母にそのことを聞くと

ものすごく怒るので

 

子どもだった私は

その話をすることを

避けるようになりました。

 

********

 

その記憶が

消えたわけではなく。

 

ただおかげさまで

それ以来お金を誰かに

貸したことはありません。

 

誰かからお金を

借りたこともありません。

 

そんな私に母は

「あなたは人を

 信用しないから

 

 うまくいかない」と

ことあるごとに言います。

 

今ではそれで

良いと思っています。

 

30万円は大金です。

 

社会勉強には少し

早かったと思います。

 

それでもそれで

よかったと思っています。

 

思うようにしています。

 

思うことにしているのです。

 

********