フィクションです。
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子どものころから
ずっとお年玉を
貯めていました。
お小遣いやお祝いで
お金をもらったすぐに
貯めるようにしました。
いつかピアノが
欲しかったから
貯めていました。
中学生のころには
30万円くらいに
なっていました。
そのころ母の
「知り合い」という
若い男の人が
家に出入りいていて。
その母の「知り合い」の
男の人がお金に
困っているから
貯めたお金を
貸してあげて欲しいと
母から頼まれました。
「すぐに返すから」と
母の「知り合い」の人は
言っていました。
私は「ピアノ貯金」の
30万円を母の
「知り合い」に貸しました。
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その後。
数か月して3万円
返済を受け取りました。
その後。
「ピアノ貯金」が
返済されることは
ありませんでした。
もちろん私がピアノを
買える日は来なくて。
母がその「知り合い」の
名前を出すことも
ありませんでした。
母にそのことを聞くと
ものすごく怒るので
子どもだった私は
その話をすることを
避けるようになりました。
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その記憶が
消えたわけではなく。
ただおかげさまで
それ以来お金を誰かに
貸したことはありません。
誰かからお金を
借りたこともありません。
そんな私に母は
「あなたは人を
信用しないから
うまくいかない」と
ことあるごとに言います。
今ではそれで
良いと思っています。
30万円は大金です。
社会勉強には少し
早かったと思います。
それでもそれで
よかったと思っています。
思うようにしています。
思うことにしているのです。
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