ANA、廃車対象のGSEを自社改造 94年製ベルトローダー、EV化で再利用へ

全日本空輸(ANA)は5月20日、経年で廃車対象となったベルトローダーを電動車両(EV)に改造し、メディアに公開した。夏ごろを目処に空港内で運用を始める。ANAによると、地上支援車両(GSE)をEVに改造するのは国内航空会社として初めての事例だという。

改造元のベルトローダーは1994年に導入され、2022年まで成田空港で使用されていたもので、EV化はGSEの保守整備を担う全日空モーターサービス(ANAMS)が担当した。構造設計から電気回路の組み上げ、施工までANAMSの社員が一貫して手掛け、約2年かけて完成。今年2月27日に通電を確認し、3月7日に走行・荷役稼働試験が成功した。

▲EV化に伴って搭載された走行モーター(左)、荷役モーター

EV化したベルトローダーは、エプロン等に設置された充電器から車体のリチウムイオンバッテリーに充電。バッテリーから供給される電力で、走行モーターと荷役モーターを稼働させる。1回約60分の充電で、羽田空港で1日稼働できる想定だという。二酸化炭素(CO2)排出削減効果のみならず、輸入価格が高騰しているEV型GSE車両を自社開発することで、経済的なメリットも見込む。

▲国内線で運航中の特別塗装機 「ANA Future Promise Jet」2号機(ボーイング787-8型機、機体記号:JA874A)

車体デザインは、ESG経営に関する取り組みの象徴として運航している特別塗装機 「ANA Future Promise Jet」や「ANA Future Promise Prop」に合わせ、水と緑をモチーフにした。今後、国土交通省航空局(CAB)への申請や実証実験を行い、実用化を目指す。

▲全日空モーターサービス 辻村和利社長

一般的なベルトローダーは平均20〜25年使用されたあと廃棄されるが、ANAでは、EV化によりさらに15年程度の使用を想定しているという。ANAMSの辻村和利社長は、今年度はさらに2台をEV化し、2025年度以降は別な車種のEV化にも取り組みたいとしている。