いらっしゃいませ、TVXQ蘭珠館へようこそ。
最近日本では、韓国ドラマのリメイク版が多い気がしますけど…
前から思っていたんだけどね、
日本のドラマや映画って、
ベタを避けようとして狙いの矛先が視聴者を無視する方向に持って行く癖がありますよね。
専門分野を舞台にする緊迫感も時には面白いけど、
もっと単純で、あ~やっぱりこう来たかを望んでいる人って多いと思うんだけど…
そういう意味では韓国のドラマって、どこか日本の良き時代を匂わせる、
安心感みたいなものがあります。
韓流…と言う言葉が広がったのは、
日本のおばさまたちがその、日本が忘れたくすぐったい部分を刺激されて熱狂したのが始まり。
コミック本の実写化、小説の実写化が主流の現代は、
つまりは、こんなドラマや映画を作りたいと脚本を起こす人材が乏しいと言うことでしょうか?
頑張って欲しいなぁ…オリジナルでその世界観を描ける人。
なんて知ったような口をたたいても、しょせん素人の戯れ言。
私は私の世界だけでちまちまと腐るのがお似合いです。
蘭珠館、開館いたします。
あれほど激しく…ライブを一日に3本こなしたくらいのエネルギーを使い果たした割には、
もうこの辺でやめておこうか、と言う気持ちが一切起きないのはなぜなのか。
マッサージで身も心もほぐれた俺たちは、シャワーを済ませて管理人の誘導に従った。
薄暗い廊下を進む管理人の後について、次の場面を妄想し指を絡ませる俺たちの前に、
館の職務と切り離す目的で設置された扉が現れた。
ゲストルーム入り口。
俺たちが案内されたのは、いくつもの部屋を通り過ぎたその奥に、
ひときわ大きな両開きのドアで迎える『SweetRoom』だった。
『今日はお疲れ様でした。
どうぞごゆっくりとお休みください。』
この部屋が今日の舞台のクライマックスと位置づけるなら、
到底ゆっくりなどという曖昧な時間は存在しない。
第一、管理人の表情は少しも隙が無く、いつでも出動の準備は整っていると語っているかのようだ。
開いたドアの先に登場したのは、軽く会釈をする女性だった。
真っ白なレースのマスクとグローブが清潔感を醸し出すその女性は、
胸に『Lavender』と刺繍されたウェアを着用している。
『本日最後の紹介となります、ベッドメイキングを担当しました『Lavender』でございます。』
優しく微笑むLavenderさんを見てまず感じたのが、
確かな仕事で客をもてなすプロ意識が高く、
それでいて安心感が半端ないと言うこと…
この女性の手で仕上げたベッドは、絶対に快適に決まっている。
そうでなければ管理人がわざわざベッドメイキングの担当者を紹介する訳もなく、
ましてや刺繍の名前入りウェアなど、作るには至らないのが普通だ。
何が違うのだろう…
『初めまして、Lavenderです。
本日はご夫婦のための特別メニューといたしまして、
秘伝のアロマオイルをしみこませたシーツと、
お二人のいかなる動きにも対応する、音の静かなスプリングマットをご用意いたしました。』
Lavenderさんがクスリと笑った。
その瞬間、呪文に縛られたような感覚が走り、俺たちは急にそわそわし始める。
『私は本日向かいの部屋に待機いたしておりますので、
何かご用命の際は、壁に設置されたボタンを押してください。
すぐに対応させていただきます。』
言われるがままに壁をまじまじと見つめる俺たちは、
このボタンを押す必要性が必ず訪れる事を察知し、身震いした。
間もなく部屋を出る管理人とLavenderさんを見送り、
とうとう二人きりの長い時間が与えられた。
いきなりベッドで重なりたい気持ちはあるが、
そう何度も経験できない蘭珠館での時間を楽しむために、
まず俺たちは冷蔵庫から冷えたビールを取り出した。
それはよくリサーチされていて、チャンミンが特に好んで飲む銘柄が並んでいる。
俺が好きな甘いイチゴも…どんな贅沢なものより一番テンションの上がる棒付きアイスも…
サニタリールームには蘭珠館オリジナルのアメニティーグッズが揃い、
バスルームに至っては、謎のリクライニングチェアが部屋の半分を占領している。
一つ一つ確かめる時間はまだある…
俺たちはビールで乾杯して、今日一日の出来事をおさらいした。
『俺たちさぁ…
こんなに理性が働かない生き物だったのかって、ちょっと心配になった(笑)』
『僕も最初はそう思いました。
でも、ここは本能だけを扱う蘭珠館ですよ。
僕たちが不快じゃなければ、それでいいんだと思います。』
『お前にそう言われると、また欲しくなる…』
『ちょ…まだビールが一口目なのに!
ちょ…ちょ!!』
『…不快じゃないんだろ?』
『そう…ですけど…』
『じゃぁ黙ってろ』
俺はビールを味わう時間さえ惜しむように、
チャンミンをアロマオイルのしみこんだシーツに沈めた。
この部屋に通されてわずか10分の出来事だが、俺にはその数倍の時間に感じていた。
『何だか背中がゾクゾクする。
ん…でも不快じゃない。』
『だろう??
この館秘伝のアロマオイルなんて、癒やしのためにあるんじゃないんだよ。』
そう言って俺はチャンミンの両手の自由を奪い、
ありとあらゆる箇所をアロマの誘いに逆らわず攻め入った。
幸せだった…
これまで以上にチャンミンを愛する自分を確認できたことが、嬉しくてたまらない。
程なくして自然に照明が暗くなり、ベッドだけがぼんやりと浮かび上がる演出が始まった。
どこかで見られているのか、このタイミングでの演出には蘭珠館のストイックさを感じるが、
俺たちの心理に直で訴えるもてなしならば、それを拒む理由もない。
Lavenderさんが言っていた特別なスプリングマットは、
俺がどれほど揺さぶろうと、チャンミンがどれほどもがこうと、
興ざめする音は発せずに、ただ俺たちの動きを補佐する優れものだ。
何もかも計算し尽くされた、俺たちのためだけの空間である事は間違いない。
『そこで相談なんだが、チャンミン…
俺そろそろ…』
『ダメです!!
お先に僕が打ち上げます!!』
そう言うか言わずかのうちに、部屋の天井から七色の花火が降り注いだ。
その勢いに乗じて、俺の花火も炸裂した。
しかし、背中に当たる火の粉のヒリヒリ感も引かぬうちに、
俺たちはまた趣向を変え、夫婦の営みに熱中した。
果てることのない愛という名の欲望に突き動かされ、
かれこれ10発の花火を打ち上げたところで、
さすがのチャンミンにも疲労の陰が現れて、やむなく俺は壁のスイッチを押した。
『どうされましたか?』
その声はベッドサイドのスピーカーから聞こえた。
『シーツを替えてもらって良いですか?』
『かしこまりました。
すぐにお伺いいたします。』
それは深夜には不向きな、明るい声だった。
続く
そのシーツにしみこんだアロマオイルの香りなどどうでも良いから、
二人の汗やエキスを信者に分けてもらえないかしら
美味しいお仕事ですね、二人の担当のベッドメイキングって!
しかも事後に呼ばれるんですよ
たまらんっ
まぁでも、やっぱり管理人が一番でしょうね。
絶対に一部始終を目撃してるはずですから
そんな立場に感謝しながら、本日の蘭珠館、これにて閉館でございます。
またのお越しをお待ちいたしております。
お出口ご案内は…
『シーツを替えて欲しいとは言ったものの、
理由を聞かれたら全部答えてしまいそうで怖い!』
聞きますけど、何か??
一人妄想が始まったようです。
正気に戻るまでしばらくお待ちください。
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