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事故発生時の応急措置に関すること Ⅱ、応急手当(雑踏2級)

雑踏警備業務2級検定項目
(令和版)

第4章 人の雑踏する場所における負傷等の事故が発生した場合における応急の措置に関すること

第2節 事故の発生時における負傷者の救護を行うため必要な事項に関する専門的な知識

3 応急手当の実施要領

  • 警備業務は、事件や事故から人の生命、身体、財産等を守るという性格を有することから、一般の人に比べて事故等による負傷者に遭遇する可能性が高い。
  • 警備員は負傷者に対し適切な措置をとることが社会的に期待される。
  • 日頃から救急蘇生法等について正しい知識と技能の向上に努め、不測の事態に備える必要がある。 
  • 応急手当は負傷者に対して、一般の人がその悪化を回避することを目的に行う最小限の諸手当のことです。「応急手当」という言葉は心肺蘇生などの心停止への対応も含めた意味に使われることも多いため、救急蘇生法の指針では、心停止への対応は含まないものとしてファーストエイドという言葉が選択されています。

⑴ 回復体位

  • 反応のない負傷者を仰向けにしておくと、嘔吐した場合に気道が閉塞されて窒息するおそれがあるので、嘔吐物が自然に流れ出るように負傷者を横に向ける姿勢を取らせる必要があります。この姿勢を「回復体位」と言います。

回復体位

上図は「救急蘇生法の指針 2020(市民用)」より引用。

  1. 負傷者を横にし自分の側の腕を自分の方に開く。
  2. 負傷者のもう一方の手を体側に引き寄せ、肩と腰を持ちそのまま静かに引き起こす。
  3. 負傷者の上になっている足を約90度に曲げ、体の安定を図る。
  4. 負傷者の上になっている手をあごの下に入れ、頭を後ろに反らしロを下に向けて気道を確保する。
  5. 口は嘔吐物が自然に流れるよう、斜め下に向かせる。回復体位にした場合は、傷病者の呼吸の変化に気づくのが遅れないように、救急隊が到着するまで観察を続ける。

⑵ 止血

  • 出血している傷口の上に直接、ガーゼ、ハンカチ、タオルなどを当てその上から圧迫して止血をする、直接圧迫法で行うことを基本とする。
  • 止血のさい血液に触れて、感染症にかかることはわずかではあるが、可能であれば念の為ビニール手袋やビニール袋を手袋の代わりに使用する。
  • 直接圧迫法でも止まらない場合、包帯や三角巾などで手足の付け根側を縛る方法もありますが、神経などを痛める危険があります、実施するのであればそれなりの訓練を受けてください。

⑶ 負傷者の搬送

  • 負傷者の倒れている場所や状態が安全でない場合は、必最小限の範囲で安全な場所移勲する必要がある。
  • 首や脊椎に負傷があると思われるときは、医師が来るまで動かさない。

○ 支持搬送

  • 肩を貸して歩かせる方法
  • 支持する者は、傷病者の松葉杖的役割を果たすもので、意識があり歩行可能な傷病者又は片足に軽傷を負った傷病者に行う方法。
    1. 右足を負傷している場合、相手の右手首を自分の右手で握り、相手の右腕を自分の首の後ろへ回す。
    2. 自分の左手で相手の左腰のやや上を抱きかかえ立ち上がらせる。
    3. 左肩を相手の肩下に深く差し入れ、相手を少し吊り上げる。
    4. 相手の右足に振動を与えないようにして歩く。

参考

  • 東京消防庁HPより(https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/)
  • 様々な搬送方法(https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/office_adv/tutorial/hansou/#anch)
  • 支持搬送(https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/office_adv/tutorial/hansou/one_manual1.html#anch)
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⑷ 熱中発生時の対処手順

◎ 熱中症の概要

  • 熱中症とは、高温多湿な環境に長時間いることで、体温調節 機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態を指します。
  • 屋外だけでなく室内で何もしていないときでも発症し、 場合によっては死亡することもあります。
  • 気温が高い中で、体内の水分や塩分などのバランスが崩れ、体温の調節機能が働かなくなり、体温上昇、めまい、体のだるさ、けいれんや意識の異常など、様々な症状を起こします。

◎ 熱中症の応急手当

  • 熱中症とみられる症状が発生した場合の対応。
    • めまい、立ちくらみ、こむら返り、手足のしびれといった症状があれば、涼しい場所へ移動し,安静にしたうえで水分を補給する。
    • 扇風機やうちわなどで風を当てて体を冷やす。特に、首、わきの下、太ももの付け根を冷やす。
  • 次のような症状がみられた場合は、ためらわずに救急車を呼ぶ。
    • 自分で水が飲めない、脱力感や倦怠感(けんたいかん)が強く、動けない場合
    • 意識がなく、全身のけいれんがあるなどの症状がみられた場合
    • 呼びかけに対する反応がおかしい、普段どおりに歩けないなどの運動障害の症状がある場合

○ 熱中症関連のリンク

厚生労働省ホームページより(https://www.mhlw.go.jp/index.html)

環境省ホームページより(https://www.env.go.jp/)

⑸ 救助者としての心構え

  • 屋外における応急処置は、専用の道具がないことが多い。付近にあるものを活用する。
  • 災害等の事故では、ただ積極的な行動だけではかえって危険である。誘導や事故現場の状況把握を行いながら救急隊等の到着を待つ。
  • 野次馬など、余計な口出しをする者がいても、これらの言葉に惑わされることなく、確信を持って適切な応急処置を行う。

 

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