十九景 王子音無川堰埭世俗大滝ト唱

歌川広重の「名所江戸百景」の十九景、王子音無川堰埭世俗大滝ト唱。元の絵はこちらです。


版画のタイトルがむつかしいですが、まず音無川は今も東京都北区・王子あたりを流れる石神井川の別称。堰埭(えんたい)は当地に灌漑目的で作られた大きな石堰のことで、この堰のことを世俗の人は大滝と呼んでいるよ、という意味(だと思います)。

この石神井川、昭和33年の台風で氾濫したのを機に大きく改修されバイパス水路が造られており、残念ながら大滝こと石堰は現存しません。ただ、跡地に造られた親水公園はなかなか良い感じで、ちょっと無理して見立てると(ちゃんと桜も咲いてるし)元の絵の雰囲気が感じられなくもありません。

ということでこんな風に撮ってみました。


これはなかなか良い塩梅なのでは、と個人的には気に入りました。

この親水公園、十七景の飛鳥山から目と鼻の先で水平距離にして数百メートルと離れていません(丘の上と谷の底なので垂直距離はけっこうある)。付近にはちょうど桜が咲き誇っており、そぞろ歩く花見客は口々に「(桜の名所で知られる)飛鳥山より綺麗かも」などと称えている人多数でした。

GWが終わるこのタイミングでようやく今年の”名所江戸百景・桜めぐり”が終わりました。東京住まいが長いわたしですが、こちらのように、まだまだ知らない桜の名所がたくさんありそうです。たぶん来年の桜の季節も百景の撮り歩きは続いているでしょうから、また新たな桜との出会いが楽しめそうで、まことに有難いことです。

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