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「タレント議員いらない」という声があるのになぜ擁立するのか?【政党幹部への権力集中】

「タレント議員いらない」という声は消えることはありません。それでも選挙のたびにタレント議員が擁立されています。それはなぜなのでしょうか。

この記事では、タレント議員が日本の政治文化に投げかける問いに迫ります。

記事内容

  1. タレント議員とは何か
  2. 主な女性タレント議員名(一覧)
  3. 主な男性タレント議員名(一覧)
  4. タレント議員はなぜ擁立されるのか

※本記事は過去に掲載したものを再編集しています

いらないタレント議員とはどのような議員のことか

タレント議員とは何か

日本の政治の舞台には、芸能人やスポーツ選手、文化人など、広く知られる人物が議員として登場することがあります。これらの「タレント議員」は、タレントとしての知名度を活かしており、主に二つのタイプがあります。

●タレントから政治家になった人物
芸能界やスポーツ界などでの知名度を武器に政治の世界に飛び込み、その影響力を発揮しようとする人物のことです。

●政治家からタレント活動をする人物
政治家としてのキャリアを活かし、メディアでの露出を増やすことで、さらなる影響力を発揮しようとする人物のことです。

多くは前者を指しますが、明確に線引きすることは難しそうです。

批判される場合の特徴

「いらないタレント議員」と批判される場合は、多くの場合、政治に関する専門知識や経験が不足しているにもかかわらず、知名度のみで当選し、その後の政治活動が不十分な議員を指していると考えてよいでしょう。このような議員は、次のような特徴が見受けられます。

  • 政策に具体性がない: 知名度が一番の魅力として評価され、政党から白羽の矢が立てられて出馬したため、選挙時に掲げる政策は、具体性に欠け、実現可能性が低い傾向があります。
  • 議会活動の低調: 出席率が低かったり、発言回数が少なかったりすることがあります。
  • スキャンダルや不祥事が多い: 政治家としての責任感や倫理観が欠如している場合があります。

話題になったタレント議員

近年「やめてほしい」などとして話題になったものを、いくつかご紹介しましょう。

「社会常識さえ知らない」“高利貸し”疑惑の中条きよし氏 本誌「やめてほしいタレント議員」ランキング1位だった

今すぐやめてほしい「タレント議員」生稲晃子4位、今井絵理子3位、圧倒的1位の大御所は?【500人アンケート】

  1. 中条きよし(元歌手)/参院議員(維新)106票
  2. 山本太郎(元タレント)/参院議員(れいわ新選組)75票
  3. 今井絵理子(元SPEED)/参院議員(自民)59票
  4. 生稲晃子(元おニャン子クラブ)/参院議員(自民)55票
  5. 須藤元気(元格闘家)/参院議員(無所属)50票

引用元: FLASH

自民党所属の参議院議員であるアイドルグループ「SPEED」の元メンバー、今井絵理子議員が体調を崩し、約1カ月前から国会を欠席しているとのことです。現在は入院して療養に努めているそうです。「モーニング娘。」の元メンバー、市井紗耶香さんが繰り上げ当選しましたが、在職1日で辞職するという珍しい事態も発生しました。

引用元: 週刊女性PRIME

主な女性タレント議員一覧

順不同、現職元職問わず、主な女性タレント議員を、ウイキペディア(Wikipedia)のリンクを付けてご紹介します。

 

扇千景
元女優、政治家。参議院議長、国土交通大臣を務めた。Wikipedia

小池百合子
元ニュースキャスター。東京都知事。Wikipedia

丸川珠代
元テレビ朝日のアナウンサー。参議院議員。Wikipedia

山東昭子
元女優。参議院議長を務めた。Wikipedia

今井絵理子
元SPEEDのメンバー。参議院議員。Wikipedia

生稲晃子
元おニャン子クラブのメンバー。参議院議員。Wikipedia

蓮舫
元タレント。参議院議員。Wikipedia

三原じゅん子
元女優。参議院議員。Wikipedia

三宅雪子
元キャスター。衆議院議員。Wikipedia

金子恵美
元新潟放送勤務。ミス日本関東代表。衆議院議員。Wikipedia

田嶋陽子
元大学教授。参議院議員。Wikipedia

石井苗子
元女優、医師、参議院議員。Wikipedia

橋本聖子
元スピードスケート・自転車競技選手。参議院議員、五輪担当大臣。Wikipedia

豊田真由子
元厚生労働官僚。衆議院議員。Wikipedia

主な男性タレント議員一覧

順不同、現職元職問わず、主な男性タレント議員を、ウイキペディア(Wikipedia)のリンクを付けてご紹介します。

石原慎太郎
元作家。東京都知事および衆議院議員。Wikipedia

青島幸男
元コメディアン。東京都知事および参議院議員。Wikipedia

横山ノック
元漫才師。大阪府知事および参議院議員。Wikipedia

東国原英夫(そのまんま東)
元タレント。宮崎県知事および衆議院議員。Wikipedia

水道橋博士
元お笑いタレント。参議院議員。Wikipedia

中条きよし
元歌手。参議院議員。Wikipedia

橋本徹
元弁護士・タレント。大阪市長。Wikipedia

森田健作
元俳優。千葉県知事。Wikipedia

杉村太蔵
元衆議院議員、タレント活動中。Wikipedia

横山やすし
元漫才師、地方議員。Wikipedia

森田健作
元千葉県知事、元俳優。Wikipedia

義家弘介
元教育者、参議院議員。Wikipedia

ガーシー(東谷義和)
元実業家、参議院議員。Wikipedia

江本孟紀
元プロ野球選手、参議院議員。Wikipedia

 

「タレント議員」を具体的に見てみると、一概に「いらない」とは言えないことがわかります。しかし一方で「タレント議員はいらない」というイメージが払しょくできないのはなぜでしょう。

「タレント議員はいらない」という声が反映されない理由

タレント議員の特徴

タレント議員は、芸能界やスポーツ界、文化界などで活躍し、すでに高い知名度を持つ人物が政治の世界に転身した人物のことです。彼らはその知名度を武器に、選挙戦で有利に戦うことができます。したがってタレント議員は、以下のような特徴を持っているといえるでしょう。

  • 選挙での集票力: 知名度が高いため、選挙において有権者からの支持を得やすい。
  • メディア露出の多さ: タレントとしてのバックグラウンドがあるため、メディアでの発信力が強い。
  • 親しみやすさ: 一般の有権者にとって、親しみやすく感じられることが多い。

国民が政治家に本来求めているもの

「いらない」と言われてしまうタレント議員の特徴を、本来、国民が求めているであろう政治家の特徴と対比してみると以下のようになります。

特徴 タレント議員 国民が求めている政治家
選挙での集票力 知名度が高いため、選挙において有権者からの支持を得やすい 知識と経験に基づいた政策を提示し、具体的なビジョンで支持を得る
メディア露出の多さ タレントとしてのバックグラウンドがあるため、メディアでの発信力が強い 実績と専門知識に基づいて発言し、政策議論で発信力を持つ
親しみやすさ 一般の有権者にとって、親しみやすく感じられることが多い 誠実で透明性があり、有権者との対話を重視し信頼を築く
タレントとしてのキャリアから転身しているが、政治家としての志はいつからどの程度もっていたのかは不明 公共の利益を追求し、社会をより良くするための強い使命感を持つ
政治家としての資質 政治的経験や専門知識が不足していることが多く、議員になってから勉強するという感覚も見受けられる 法律、経済、外交などの分野で深い知識と経験を持ち、リーダーシップを発揮できる
政治家のしての能力 知名度に頼り、具体的な政策立案や議論において限界がある場合が多い 問題解決能力、政策立案能力、交渉力が高く、実効性のある政策を実現できる能力を持つ

本来国民が求める政治家とは、知名度やメディア露出に依存せず、専門的な知識や経験に基づいた政策を持ち、誠実さと透明性をもって有権者と信頼関係を築く人物であるはずです。

つまり「国民が求める政治家」とは、本来、知名度が高いことではないでしょう。

それなのに、なぜ、候補者の知識や経験、志、資質や能力を、国民にわかりやすく提示する仕組みが、いまだにできていないのでしょうか。

「人気投票」的選挙をしたいとしか思えない政党幹部

タレントがなぜ重用されるのかと問われれば、理由は単純です。タレントは全国的な知名度があり、いわば「人気投票」的に選挙ができるからです。

「衆院比例代表選挙」や「参院全国区比例選挙」では、票の期待できる候補者として政党がタレントをスカウトするケースは珍しくありません。むしろ常態化していると言えるでしょう。

では、タレントを、選挙の候補者にしようとするのは一体誰なのでしょうか。なぜ、国民が求める本来の政治家の特徴を、国民に十分に提示する仕組みを作らず、知名度だけを求めるのでしょうか。

首長や地方議員の中には、現在の国会議員よりも力量がある人はいくらでもいます。そんな人を推す声が全国からあがり、その力量をしっかりと検討して、国会議員の候補者を決めないのはなぜでしょうか。

先進国では、国会議員の候補者に対しては、当然のことながら、政治家としての力量や資質などを、日本とは比べ物にならないほど、しっかり有権者が判断していく仕組みがあるのです。

なぜ日本にはないのでしょうか。まるで力量や資質よりも「人気投票」的に、知名度優先で選挙をしたいという意向が働いているかのようです。

 

さて、国会議員のタレント候補者は、政党幹部がタレントをスカウトしています。

政党幹部が、「人気投票」に勝てそうなタレントを候補者になってほしいと口説き落とし、承諾が得られたら、タレント候補者の誕生です。

その後、政党幹部から全国の党員や地方議員に「今度の選挙はこのタレントが候補者です」と、鶴の一声のように知らされるのです。選考過程の詳細はわかりません。そして「あと、ヨロシク!」で選挙が始まると言えるでしょう。

《 他の先進諸国では、地方議員として能力を磨いてから国会議員に挑戦する仕組みが出来ていることを次の記事では解説しています。 》

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保身を図る現職国会議員から見たタレント議員

タレントを国会議員の候補者にしたいという声は、一般の党員や地方議員からはほとんど聞いたことがありません。

選挙区の有権者や党員は、地元に貢献してくれる国会議員が欲しいのです。

地元で活躍する地方議員や首長の中にも、国会議員として十分に活躍できる実力をもつ人材がいるものですが、そういう人材を煙たく思っているのが、実は、選挙区の現職国会議員という声もあります。

選挙区の現職国会議員は、自分の地位をいつか脅かすかもしれない政治家としての力量のあるライバルは、同じ土俵で国会議員にならないよう、排除したいのが本心なのかもしれません。

ですからたとえ比例代表選挙であっても、自分の選挙区で、自分より実力のありそうな地方議員や首長が候補者になられては困るのが本音なのでしょうか。

それよりも、政治のことなどよくわからないタレントを据えたほうが、自分の立場は安泰でいられるというのが本音ではないかと、疑う声すら聞こえてきます。

つまり知名度が無いと当選できないと言うのは詭弁なのかもしれません。真に国民がのぞむ理想とする政治家を生む、わかりやすい政治と選挙の仕組みを作っていくことが責務のはずです。

《 日本の政治システムは、志や能力があっても国会議員になれない風土がある原因を次の記事では分析しています。 》

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政党や派閥は数を確保するため、イエスマンが欲しい

政党の上層部からは「次の国会議員の候補者はこの人です」とお達しがあるだけで、政党の候補者選考の過程に、政治家としての力量や資質、経験がどのように考慮されたかは、党員にすら確かめる手段がありません。

政党が国会で持つ力とは、結局のところ議案採決を左右する国会議員の数なのです。

また自民党を例にすれば、派閥の力とは、その派閥に所属する国会議員の数なのです。

数の勝負が多数決ですから、いちいち意見する議員よりも、イエスマンの議員が多い方が、派閥の幹部にとっては好都合でしょう。

タレント議員は派閥が数を確保するためのイエスマンとしてスカウトしているのかもしれません。

知名度だけで選ばれる議員の役割

知名度だけで選ばれる議員の役割はこう表現できます。

①選挙で当選して政党や派閥の議席数確保に貢献すること
②国政選挙や地方選挙にマスコット的な存在として、政党や派閥の候補者を応援して議席数確保に貢献すること

数の確保のために存在させられているのが、もしかしたら「人気投票」的選挙で勝ち抜いてきたタレント議員なのかもしれません。

タレント議員の苦悩

政党と派閥に貢献するだけであり、日本の政治に実質的な貢献が求められていないタレント議員。

そのことは本人も当然意識せざるを得ないでしょう。政治経歴が無く知識も経験も不足していることはなによりも気にするところとなります。

これはある意味残酷な処遇ではないでしょうか。タレントの時よりも報酬が少ないとの発言が、あったともいわれていますが、だとしても、報酬に見合わない働きしかできないことを自覚したとき、人は平常心を失っていくものです。

日本のためにと出馬を要請され、純粋な気持ちで国会議員になったとしても、政治家には政治家としての力量が必要です。タレントとしての力量とは違う力がいるのです。

そこに気が付くころには、自分を乗せてくれていた神輿の担ぎ手はいなくなっている。これがタレント議員が味わう最大の苦悩ではないでしょうか。

いらないタレント議員はなぜ擁立されるのか【まとめ】

  • タレント議員は知名度を活かして当選を目指す立場
  • 「いらないタレント議員」は知識や経験が不足し、政治活動が不十分
  • 女性タレント議員には小池百合子氏や今井絵理子氏などがいる
  • 男性タレント議員には石原慎太郎氏やガーシー氏がいる
  • タレント議員は一概に「いらない」とは言えない
  • 一方で常に「タレント議員はいらない」と批判がある
  • 政党は知名度の高いタレントをスカウトして選挙で有利に戦う
  • 現職国会議員は実力あるライバルよりもタレントを好んでいる疑いがある
  • 政党や派閥は数を確保するためにイエスマンを求めているのか
  • 知名度だけで選ばれる議員は議席数確保に貢献している
  • タレント議員は政治的経験不足で苦悩する
  • タレント議員は報酬に見合う働きができず、失望することが多い

 

タレント議員と非難される人の現在の状況は、彼ら彼女らの政治キャリアにおける数多くの挑戦と変遷を象徴しているかもしれません。

国会議員としての道のりは、明るいスポットライトの下での輝かしいスタートから、個人的な問題や公の批判による苦悩まで、多岐にわたっています。

しかし、タレント出身の政治家が直面する困難は、単に個人的な問題に留まらず、日本の政治システムと有権者の期待との間に存在するギャップをも浮き彫りにします。

この事例から、我々有権者は政治家を選ぶ基準、政党が候補者を選ぶ基準、そしてメディアが政治報道を行う方法について、再考する機会を得ることができるのではないでしょうか。

タレント議員はいらないとする批判が、日本の政治におけるより広範な議論と改革の触媒となることを期待しています。

 

>本ブログ3つの特色

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【①地方議員向けに特化した情報】
既存の議員関連情報(マスコミ報道や選挙マニュアル等)は国会議員を想定したものが中心です。地方議員の実情に合った情報をお探しの方におすすめです。

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連続6回当選の元県議会議長が、勝ち抜いてきたノウハウを公開しています。保守三つ巴の熾烈な選挙戦や、他の候補者の選対として培ったノウハウもご紹介します。

【③ 地方議員と支援者への応援情報】
官僚・国連勤務・県議経験者の筆者が、地方議員からは見えにくい「国会議員と地方議員の違い」「他国と日本の違い」をふまえて解説しています。選挙法規等は議員目線で読み解いています。議員活動を支えた妻も、人材育成業の経験を活かし、わかりやすい情報を目指して執筆に加わっています。