2024年5月19日日曜日

隣人たちの不気味--4



越してきたのが老夫婦だと当初は思ったようだ。だから舐めた。主婦も高飛車だが、坊主も大変な悪ガキだった。何度も警察に引っ張られているという話だった。そいつが、突然電話を貸せと言って入ってくるらしい。母が電話で泣きごとを言ってきた。

冗談だろうと最初は思った。自分の家が閉まっていて、鍵を持っていないらしい。嫌とも言えないのでなすがままになったら、あがりこんで電話で長話をされて買い物にも行けないとこぼした。

非常識も甚だしい。挨拶ひとつできないチンピラがいきなりそうやって他人の家に上がり込む。主婦は夜十時以後は風呂を使うなという。異様な人種だ。老夫婦しか居ないと思った故に違いない。

吸い殻のことがあるので警察にと言ったら、老人しか居ないので余計なことになり兼ねないと案じるのだった。私はしばらく都内で仕事を続けるつもりだったが、もう猶予はならなかった。都内を引き払って一緒に住むことを決意した。

坊主は不良高校生で、もう学校にも行かず周辺のチンピラとつるんで割りさばかりしていた。バイク泥もやっていた。他人の駐車場の前にわざとバイクを置いて出られなくしたりと、そんな悪さばかりしていた。それで警察を呼ばれた時にバイクが盗品であることがバレて問題になった。なので頭も悪いのだとは思うが、それで大人しくなれば良いが一向に変わらない。警察でもある程度以上のことはできないと判断した、その辺だけは敏いチンピラは行状を変えない。夜中ずっと家の前でチンピラ同士で菓子など喰いながらぼそぼそやっており、その喰いカスを当家の庭に放り込むので、それをまとめて引っ掴んで隣りの車にぶつけてやったりもした。そんなでも、親はまったく知らん顔している。

ところがこれどころじゃない困ったことが更に発生するのだ。当時を振り返ると、よくも我慢したものだと、せめて余生を静かにと思っていた父母のことを思うと今でも胸が痛む。

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